宇津ノ谷峠(海抜百七十二メートル)は薄暗い細い峠道である。
この峠については、歌舞伎に『蔦紅葉宇都谷峠(つたもみじうつのやとうげ)』という演目がある。
ちなみに宇都谷峠とは宇津ノ谷峠のことである。
まあ、どんな話かというということで、ウィキペディアのあらすじを引用してみた。
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貧しい家の娘、お菊は弟の文弥が幼い頃、石の上に誤って落としてしまい失明させてしまう。その償いにお菊は吉原へ身売りして、作った百両の大金を文弥にもたせ、京へ上らせて座頭の官位を取らせようとする。
途中の鞠子宿で胡麻の灰、提婆の仁三(だいばの にさ)は文弥の大金を狙うが、同宿の伊丹屋十兵衛に取り押さえられる。文弥と十兵衛が宇都谷峠まで来たところで、十兵衛は初めて大金のことを知り、自分の主人のために借金を申し入れするが断られてしまう。一度は考えを改めた十兵衛だったが、結局は文弥を殺して金を奪ってしまう。だが、その一部始終を見ていたのが辻堂に身をひそませていた仁三であった。
実は十兵衛の主人尾花六郎左衛門と文弥の父小兵衛はお家騒動をめぐる旧敵同士。しかも、十兵衛の借金はもとはと言えばお家騒動に絡む金子であった。そんな因果関係をも知らず、十兵衛は百両を元手に江戸で居酒屋を開くが、座頭の亡霊が十兵衛とその妻を悩ませるようになり、さらに落とした煙草入れをネタにして提婆の仁三によるゆすりが始まる。十兵衛は口封じに女房を手に掛けたあと、仁三を鈴ヶ森へ誘い出して殺害するが、かけつけた古今や彦三から事実を知り、因果の恐ろしさに切腹して果てる
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という、なんともはや複雑な因縁めいた恐ろしい話。
註釈:胡麻の灰
旅人を脅したり、だましたりして金品をまき上げる者。もと、高野聖(こうやひじり)のいで立ちで、有り難い護摩の灰と称して押し売りをした者のあったことからの名という。
峠を越し、岡部の宿に着いた。
足元をみたら、CW-Xのタイツに「引っ付き虫」が・・・。
こいつが、タイツに沢山ついていた。
虫といっても、動く虫ではない。
人や動物に種子を運ばせて生育範囲を広げる植物を一般に 「引っ付き虫」というのだ。
しかも、コイツはなかなか剥がれない。
強力な接着力なのだ。
東京では見ない引っ付き虫である。
いったいなんという植物なのかネットで調べたら、北アメリカ南東部原産のアレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)という帰化植物であった。
こういう植物は、たいてい見た目が平らにはみえる接着面の毛が、マジックテープのようなフック状となっているのだが、たぶんこれもその類の植物だと思う。
これは、なんとも可愛い花が咲くみたいで、以下に写真を添付する。
とても可愛い花だが、都市部でも生活できるたくましさがあり、温暖化の影響もあって、ものすごい勢いで分布を広げ日本全土に広がりつつある舶来インベーダー植物であるらしい。
わずかな空間さえあれば、日陰であろうが日向であろうが見る見るうちに成長し草なのに木のような根っこを張り、簡単には引き抜けないまでに生長するというのだ。
次の写真は岡部の柏屋歴史資料館である。
気分的には、食事してから見学がてら一休みしたい場所だった。
ただ、資料館入り口に
「奥の料理屋で食事したら、タダで見せてやる」
みたいなことが、書かれているので、
「てやんでぇ!」
とばかり、スルーパス、無視することにした。
空腹状態だったということもあるが、料理とセットというのが無性に腹が立ち気に入らない。
料理屋は料理で勝負し、資料館はそれだけで有料にすればいいのだ。
わずか入館料300円だが、観光資源セット商法なるものが拒否反応を起こしたのだった。
なにせ、ザックには今まで頑張って背負ってきた昼飯のオニギリが入っている。
そこで、資料館から10m先の公園の常夜灯の前に胡坐をかいて、昼食とすることにした。
おにぎりをパクつくこと4個、「うまいッ!」
やはり、ランニングにはオニギリ(御握り)である。
オニギリというと放浪の天才画家、山下清がうかんでしまう。
「ぼ、僕は頭が悪いので、お腹が減ったら、他人におにぎりを作ってもらいなさいと、死んだお母さんが言ったノデ~」
だが、実際は特に好きだったわけでなく、また、お金も送金してもらったり、バイトしながらの放浪だったので何でも好きなものを食べることができたと聞いており、あれは、ドラマ上の演出だったらしくチョッとイメージダウンなのだが、俺の中では、ウソでもいいから、あのダ・カーポの歌う「野に咲く花のように」+「オニギリ」=「山下清」なのである。
山下清の東海道五十三次
岡部で清は画集「東海道五十三次」でこう書いてます。
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峠の景色
すこし苦労したけど 峠まできてよかったな
いまでは峠はたいてい本道からはずれているので
汽車みちなどあるいてたら いくことはできないな
宇津谷峠の景色はいいので描きやすい
むかしの話ですが ここはおっかないところだということだな
ぼくが絵にしようと思って見物していたとおんなじ場所から
明治天皇もみたという話をきいたが
景色はおともやなんかあんまり大ぜいでみると
つまんないんだけどな
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おにぎり→ランニングで失われた水分と塩分を補給し、そしてエネルギーになりやすい炭水化物。
ウィキペディアによると、塩(塩化ナトリウム)をおにぎり付着させることで、小腸で米のデンプンが分解されたグルコースとナトリウムとの共輸送によりグルコースの速やかな体内への吸収を助ける、のだそうだ。
芸能人ランナー、よしもとの太平サブローも次のように言っている。
参考:おにぎり100選
下の写真は岡部の小野小町の姿見の橋(とても小さい橋で、気づかずに通り過ぎてしまうような橋)
小野小町といえば、世界三大美女で有名であるが、自分としては思い出深いことがある。
あの嫌なもがき苦しんだ高校2年の古文先生の影山女史のキツイお言葉、
「夏休みの宿題として百人一首の歌を全部暗記しなさい
休み明けにテストします」
そんでもって、なかでも小町の絶対忘れない歌、
「花の色は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」
まさしくこの橋での小町は、上の歌と同じ心境なんですね。
だけど、俺はこの橋の上じゃ、辛い試練が思ひだされるのです。
「偏差値は 移りにけりな いたづらに わが身世にふる 赤点の雨」
(つづく)
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