私はホルヘに写真を撮る許可をもらって、
この最後の儀式のところだけはビデオに撮った。ホルヘは最初から写真を
撮っても構わないと言ってくれていたのだが、
それまでは観察だけして、カメラはバッグの中にしまっておいたのだった。
神がかりというのは、まさしくオリチャ(守護神)が
人間に乗り移ったわけだから、
すでに人間でない神聖な存在になっている。
それを映像に撮ることは許されない。
私は、強烈な目の輝きを見せる老婆に、
なぜ撮ったのだ! と恫喝された。
「ホルヘが・・・」と、私は言い淀んだ。
ホルヘがすぐに気づき、間を取り持ってくれた。
(つづく)