越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

しばらくお休みです。

2011年11月28日 | キューバ紀行

キューバに行って、調べ物や書き物をするので、すみません。しばらくこのブログはお休みです。

ネットはいまだに電話回線なので、

ランケーブルを持って行ってもつながらない。

WFiはハバナの高級ホテルに行けば、1時間1000円ぐらいで

できるのですが、

こちらの泊まる民宿にはそんなものはないのです。

地方にいったら、さらに状況はわるくなる。

というわけで・・・・。

でも、状況が許せば、ときどきアップいたしますので、よろしくお願いします。

出発前に、いろいろと短い原稿を書きました。

『新潮』1月号には、中村文則の新作『王国』の書評。

『すばる』1月号には、アルゼンチン映画の評。

『ブルータス』1月号には、初心者へのSFのすすめ。

などなどです。

 

 

 

 

 

 


死者のいる風景(第4話)キューバ/エル・コブレ(12最終回)

2011年11月28日 | キューバ紀行

 

 私の中では、まずかったなという気持ちと

 いい映像が撮れたという気持ちが相半ばしていた。

 その日、宿に戻ると、

 カメラの中のメモリーカードに保存した画像や動画を

 ノートパソコンに移し替える

  作業をした。

 なぜか、ビデオで撮ったあの最後の儀式のシーンだけは取り込めない。

 その後も、

 毎日のようにメモリーカードの画像や映像をパソコンの中に取り込んだが、

 そのシーンだけは取り込めなかった。

 あるとき、私はカメラに保存してあったその動画をうっかり削除してしまった。

 私は、非常に落胆した。目の前が真っ暗になった。

 翌日、私は自分自身に言った。

 やっぱり保存してはいけないものだった、

 人に見せびらかすものではなかったのだ、と。

 後日、ホルヘが私にぼそっと言った。

 「こういうキューバの諺を知ってるかい。

 『オオカミと一緒に歩く者、吼え方を学ぶ(エル・ケ・コン・ロボ・アンダ・アプレンデ・ア・アウリャール)』って」

 私は、時間をかけて、ホルヘたちからその「吼え方」を学ぶことにした。

(『Spectator2011年秋・冬号)