[朝中国境1334キロを行く]
「新鴨緑江大橋」とも呼ばれる「朝中鴨緑江大橋」は、中国最大の国境都市丹東と北朝鮮最大の国境都市新義州を結ぶ。中国政府が22億2千万元(3億4千万ドル)をかけて建設した4車線の大型吊り橋で、両国を結ぶ最長で最新の歩道橋=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社
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新義州の「朝中鴨緑江大橋」はいつ開通するか
「新鴨緑江(アムノッカン)大橋」とも呼ばれる「朝中鴨緑江大橋」は、中国最大の国境都市丹東と北朝鮮最大の国境都市新義州(シニジュ)を結ぶ。中国政府が22億2千万元(3億4千万ドル)をかけて建設した4車線の大型吊り橋(長さ3016メートル)で、両国を結ぶ最長で最新の歩道橋だ。2009年10月の中国の温家宝首相の訪朝の際、建設に合意した。2010年5月、金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中の際、胡錦濤中国国家主席と合意した「黄金坪(ファングムピョン:鴨緑江下流)・威化島(ウィファド)経済地帯」の創設とともに「金正日総書記の中国式開放決心の象徴」(イ・ジョンソク元統一部長官)だ。晩年の金正日総書記が後継者の「息子の金正恩(キム・ジョンウン)」に残した国家生存戦略が中国式開放であることを象徴する物理的実体だ。
しかし、朝中鴨緑江大橋は2015年秋に完工したものの、8年余りがたった2023年10月に至るも開通できずにいる。放置されているわけではない。大橋南端の新義州側に10階建てのマンション10棟あまりが新築され、「時々公務車両が大橋を行き来する」と丹東の消息筋が伝えた。4年ぶりにここを視察したある北朝鮮研究者は、「変化を望んでいるが、変わらない北朝鮮を示しているようだ」と語った。朝中鴨緑江大橋が開通するかどうかは、北朝鮮開放の試金石の一つだ。
集安の北朝鮮食堂「妙香山」と「鴨緑江国門景楼」の韓国人立ち入り禁止
中国国務院は2016年1月、吉林省延辺朝鮮族自治州を丹東市とともに「超国境観光合作区」に指定した。吉林省の鴨緑江や豆満江(トゥマンガン)沿いの国境地帯の集安市、長白県、図們市、琿春市は観光客の誘致に熱心だ。ところが、辺境の観光地で韓国人観光客に対する「規制」はむしろ強化されている。
吉林省集安市で唯一の北朝鮮食堂である「妙香山」は、裕福な中国人と朝鮮族が好んで訪れる人気レストランだ。中国大都市の多くの北朝鮮食堂が「平壌(ピョンヤン)料理」を専門としているのに対し、「妙香山」は鴨緑江を挟んで集安市と向き合う慈江道(チャガンド)の道庁所在地である江堺(カンゲ)から来た人々が「江堺料理」で差別化戦略を展開したおかげだ。しかし、韓国人は「妙香山」の江堺料理を楽しむことができない。「立ち入り禁止」だ。「妙香山」の女性店員が公演の際によく歌う北朝鮮の歌「お会いできて嬉しいです、同胞の皆さん、兄弟の皆さん」の「同胞」と「兄弟」に朝鮮族の同胞は含まれるが、韓国人は含まれない。
鴨緑江中流の国境都市である中国吉林省集安市と北朝鮮慈江道満浦市(マンポシ)を結ぶ国境通過地点にあるため鉄橋・人道橋と満浦市の全景を一望できる「鴨緑江国門澄楼」にも、韓国人は登れない。集安市政府が「外国人」の出入りを許可していないからだ。ここを頻繁に行き来するという集安市のタクシー運転手は「入場料60元を払って国門景楼に登って万浦(マンポ)を見たがる外国人が韓国人以外にいると思うか」と問い返した。延辺で長い間旅行業を営んできた朝鮮族同胞は、「これはすべて尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のせいだ」と不満をあらわにした。
集安~万浦鉄橋は中国が朝鮮戦争への参戦を公式決定する前の1950年10月11日、偵察部隊が北朝鮮に入った歴史に関わっている。鴨緑江国門景楼が「抗米援助第1渡」を観光客を呼び寄せる宣伝文句に掲げた背景だ。「万浦人道橋」は解放後、朝中国境に北朝鮮が建設した唯一の橋梁だが、金正日総書記と金正恩委員長時代に工事が続き、2016年に完工した。
慈江道の鴨緑江沿いの鉄路を北朝鮮の貨物列車が走っている。貨物列車の後ろに「食糧難」の象徴である「個人畑」と造林して間もない木々が見える。辺境地域踏査の経験が豊富な人たちは「貨物列車と自動車の運行が前より多くなったようだ」と語った=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社
鴨緑江と豆満江沿いの鉄条網
2023年9月、朝中国境で最も目立つ風景は鴨緑江と豆満江への接近を妨げる鉄条網だ。2020年1月末、新型コロナウイルス感染症の大流行による国境閉鎖後、より緻密になり、より高くなった。中国側には緑色、北朝鮮側には無彩色の鉄条網が果てしなく続く。
中国地方政府などは川辺のあちこちに「調和のとれた国境を構築しよう」と案内板を立てている。中国当局の考える、「文明化された国境住民」が守らなければならない事項は次のようなものだ。「違法密売密輸、アヘンを売る違法犯罪活動を禁止する」、「朝鮮側に物品を投げられないようにする」、「観光客が朝鮮軍人に向かって写真を撮れないようにする」、 「国境地域で越境できないようにする」などだ。
延辺の琿春市防川など人が多く集まる国境地帯の有名な観光地には「ここは国境地域です。国境越しに(向こうの人を)挑発または撮影はしないでください」とか、「国境地域では無人航空機などの空中浮揚体を飛ばすことができません」という横断幕がかかっている。川幅が狭くなる国境農村の入り口には「不法越境の人を通報すれば2千~2万元」を支給するという横断幕がかかっている。
要するに、中国側の鉄条網は脱北と(北朝鮮制裁違反の)密輸・密売だけでなく、対岸の北朝鮮側を撮影して刺激的に編集した動画で、北朝鮮を政治的に非難したり、金儲けの手段にしたりしようとする韓国と中国のユーチューバーなどの接近を防ぐための多目的な遮断装置だ。延吉の朝鮮族事業家は「国境地帯の密輸取り締まりが非常に厳しい」と語った。「より高く、より多くの鉄条網」は伝統的に北朝鮮の「後方」だった中国東北地域が1992年8月の韓中国交正常化後は「政治的に危険地帯になった」として取り締まりを要求してきた北朝鮮の認識に、中国政府が共感するようになったことを示している。鴨緑江と豆満江沿いの朝中国境地域において、韓国人は「政治的に厄介な存在」だ。
北朝鮮で最も立ち遅れた地域と呼ばれる両江道鴨緑江沿いには、農村全体を再開発する工事が行われているところが多い。華やかな色の新築文化住宅やマンションと今にも崩れそうな古びた平屋住宅、村の再開発現場などが村の風景を変えている=イ・ジェフン先任記者//ハンギョレ新聞社
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丹東・琿春/イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )