中国ファーウェイの高性能スマートフォンの衝撃・・米国、
対中制裁強化か
中国のファーウェイが先月末サプライズ公開した高性能スマートフォンがもたらした衝撃が続いている。米国の対中国技術制裁が一層強化され、米中間の技術戦争が拡大するとの展望が出ている。
ロイター通信は5日(現地時間)、グローバル投資銀行ジェフリーズの話を引用し、最近のファーウェイによる新型スマートフォン公開以後、米商務省産業保安局が調査に乗り出す可能性があり、米国議会が準備中の対中国制裁法案にはるかに厳格な技術制裁が加わる可能性があると報道した。ジェフリーズはこれに関する報告書で「全般的に米中間の技術戦争が拡大する可能性がある」と分析した。
米国はドナルド・トランプ前政権時代からファーウェイの製品が米国の国家安保を脅かす恐れがあるとし、米国企業の対中輸出を阻んできた。2019年5月にはファーウェイを米商務省の「エンティティリスト」(取引制限リスト)に載せ米国企業による輸出を阻み、2020年8月には米国の技術が入った外国製品も規制対象とした。代表的な例が先端半導体を生産するのに必須のオランダの企業ASMLが独占生産する極紫外線(EUV)露光装備だった。そのため、ファーウェイは第5世代(5G)スマートフォンを生産できなくなるという見通しが支配的だった。
バイデン政府は昨年10月、さらに一歩進んで中国全体を対象に先端半導体の製造装備と先端半導体の販売を事実上禁止した。今年8月には米国資本が先端半導体、人工知能(AI)、量子技術に関連する中国企業に投資することも禁じた。
しかし、ファーウェイの新型スマートフォン「Mate 60 Pro」の性能と、それに使用されている半導体の細部事項が公開され、米国が力を入れてきた対中国技術制裁の効果に対する疑問が徐々に大きくなりつつある。このスマートフォンは、サムスンやアップルなど他社が発売した5世代(5G)スマートフォンと同等の性能・速度であることが分かった。結局、中国の半導体生産能力が予想よりはるかに優れていることが確認されたわけだ。
カナダのオタワに本社を置くテックインサイトは、「Mate 60 Pro」を分解し分析した結果、このスマートフォンに使われた半導体に7ナノ(ナノメートルは10億分の1メートル)技術が適用されたとみられると伝えた。中国メディアの「財新」(Caixin)などは、この半導体はファーウェイが自主開発した「Kirin 9000s」で、中国最大の半導体委託生産(ファウンドリ)会社である中芯国際(SMIC)が製作したと報じた。この話が正しければ、米国が期待していた中国抑制の効果はなかったことになる。
7ナノ半導体はサムスン電子が2018年に量産に成功した。依然として世界最高の半導体製造能力を誇る韓国・台湾とは5~6年程度の技術格差が存在する。だが韓国内外の半導体業界は、中国が14ナノ技術水準に留まっていると推定してきた。中国中央テレビ(CCTV)は、中国専門家の話として「最も先進的な技術とはまだ大きな格差があることを認めなければならない」としながらも「西側は先進製造工程の5G半導体から3~5年の格差があると見ているが、それは彼らの技術進歩の速度に合わせて判断したもので、我々はその速度を超越できる」と主張した。テックインサイトのダン・ハッチソン副社長は、「中芯国際の技術の発展が加速しており、7ナノ技術の収率(不良品が出ない確率)に影響を及ぼす問題が解決されたとみられる」と話した。
ただし、中国が7ナノチップを合理的な価格で大量生産できるかは疑問だという指摘もある。Mate 60 Proは発売から数時間で売り切れるなど、限られた数量で出荷された。投資銀行ジェフリーズは「ファーウェイのスマートフォンに使われた半導体の在庫が制限されているとみられる」として「米国の制裁前に備蓄しておいたTSMCの半導体を使った可能性もある」と分析した。
中国官営メディアは連日、中国が米国の技術封鎖を突破したと報道している。中国官営のグローバルタイムズは、「米国はスマートフォン分解だけでなくその上を見よ」という社説を通じて「米国はスマートフォンを分解すること以外にも、中国の技術発展や革新に対する概念を解体し、再構成しなければならない」として「最近数年間、ファーウェイだけでなく多くの中国企業が、米国が制裁した航空宇宙、太陽光、エネルギー分野でかなりの進展を成し遂げた」と主張した。
中国政府が半導体産業活性化のために3千億元(約6兆円)規模の基金を追加で造成するという報道も出ている。ロイター通信は事業関係者の話として、半導体製造装備を中心に投資する新しい基金が造成されると伝えた。中国財務省が基金の規模の20%である600億元(約1.2兆円)を拠出するという。
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