北朝鮮、3日連続で「無人機ビラ」談話発表…
「米国に韓国を制止するよう要求」
「米の連帯責任」·「無人機浸透の再発防止要求」メッセージ
北朝鮮は14日、「平壌(ピョンヤン)への無人機(ドローン)ビラ散布」の企画と実行の主体を「大韓民国軍部」と名指しし、米国に対しても「主権侵害」に対する責任を問うと警告した。ドローンを北朝鮮領空に飛ばしたのは韓国軍の行為であることが明白なので、停戦協定管理の責任を負う米国がこれを統制すべきだという趣旨とみられる。南に向けては連日強硬な談話を発表し、相応の軍事措置を警告する一方、米国に対しては軍事的緊張がこれ以上拡大することを北朝鮮も望まないというシグナルを送ったわけだ。
■米国に韓国の「制御」を要求
朝鮮労働党中央委員会のキム・ヨジョン副部長は14日夜に発表した談話で、「我々は平壌(ピョンヤン)への無人機事件の主犯が大韓民国軍部のクズどもであることを明確に知っている」としたうえで、「核保有国の主権が、米国人が手なずけた雑種犬によって侵害されたとすれば、それらを育てた飼い主が責任を取らなければならない」とし、韓国と米国を同時に非難した。これに先立ち、北朝鮮は13日、北朝鮮軍事当局が軍事境界線一帯の前方部隊に「完全射撃準備態勢」を整えるよう指示した事実も公開した。
キム・ヨジョン副部長の同日の談話は「ドローンによる(対北朝鮮)ビラ散布」を韓国軍の仕業と断定すると同時に、国連軍司令部を通じて停戦協定の維持・管理を担っている米国が韓国を制御し、ドローンが北朝鮮に来ないよう制止すべきという要求とみられる。北韓大学院大学校のヤン・ムジン教授は「キム・ヨジョンが3日連続で異例の談話を出したが、荒々しい言葉を使う一方、再発防止のための武力示威に重点を置いている」とし、「米国が停戦協定の管理監督を疎かにしたと非難しながらも、『ドローンの浸透』の再発防止に積極的に乗り出してほしいというメッセージが含まれている」と分析した。ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク客員研究員も「韓国側がドローンを送ったなら、米国が知らないはずがないと判断し、米国に連帯責任を問うと同時に、米国に韓国を制止するよう求めている」と診断した。
国連軍司令部はこの日、キム副部長の談話が出る前に「国連軍司令部は現在、この問題について停戦協定を厳格に遵守しながら調査している」と明らかにした。
■心理戦から「斬首作戦」への局面転換と判断か
北朝鮮は今回の「ドローン事件」を、以前の対北朝鮮ビラ対応とは根本的に異なる局面と判断し、「武力衝突も辞さない」軍事的対応態勢に切り替えた。北朝鮮の国防省報道官が、国境線付近に「戦時定員編制で完全武装した8個砲兵旅団を13日20時までに射撃待機態勢に転換させ、各種の作戦保障事業を完了せよ」という指示が下されたと発表したのがその例だ。
ドローンはロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争で「21世紀戦争」の最も重要な武器として使われている。北朝鮮は、対北朝鮮ビラ散布とは違って、ドローンの侵入を「軍事的攻撃行為」(11日、キム・ヨジョン談話)として捉え、以前とは異なる対応に乗り出した。北朝鮮は今月3日と9、10日に大韓民国のドローンが平壌市中区(チュング)域上空に侵入し、ビラを散布したと主張したが、専門家らはこの主張どおり、韓国側が送ったドローンが朝鮮労働党中央委員会本部庁舎がある平壌中区域まで到達したとすれば、「金正恩斬首作戦」を遂行する能力を示したものだと指摘する。今年5月以降、韓国側が北朝鮮に向けてビラを送り、北朝鮮側が韓国に向けて汚物風船を飛ばすなど、南北間で「心理戦」が日常と化していたが、ビラではなく弾頭を積載した自爆ドローンが中区域に到着したとすれば、これは北朝鮮の最高指導者を狙った作戦実行能力を裏付けることで、はるかに危険な局面への転換を意味するとみているのだ。
■「二つの国家」に向けて国内政治に活用
北朝鮮が「ドローン侵犯」を掲げて対南強硬対応を強調するのは、国内的に統一を消し去り、「敵対的な二つの国家」を実現しようとする政治的思惑が大きく働いた結果とみられる。特に北朝鮮は、これまで公の言及を避けてきた対北朝鮮ビラ問題を、住民全員が読む「労働新聞」を通じて大々的に報道するなど、以前とは全く異なる姿を見せている。チャン・ヨンソク研究員は「これまで『南半部統一革命』を掲げ、住民たちにいつかは統一を通じて豊かに暮らせるようになると言ってきた北朝鮮が、統一を消し去り二つの国家にしようとする憲法改正をするのは、アイデンティティを変える非常に難しい作業」だとし、「ドローンの状況を国内政治に利用しようとする政治的意図がうかがえる」と分析した。
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