前国家情報院次長「尹大統領『全員捕まえろ』
電話で指示…一言一句覚えている」
国家情報院(国情院)のホン・ジャンウォン前1次長は4日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾裁判に証人として出席し、尹大統領が「全員捕まえろと指示した」という従来の供述を再び確認した。ホン前次長は非常戒厳当日、尹大統領と電話で話した内容を「一言一句、すべて覚えている」とし、その後、ヨ・インヒョン前防諜司令官と電話で話し、逮捕者リストを書き取った状況についても詳細に証言した。
ホン前次長はこの日、尹大統領から「全員捕まえろ」という指示を受けたのかという国会側代理人団の質問に「そうだ」と答え、「とにかく防諜司令部を支援しろという指示を受け、防諜司令官に電話して何を支援すればよいかを尋ねたところ、逮捕者リストとともに位置追跡を要請された」と答えた。
ホン前次長はこれに先立ち、国会に出席し、昨年12月3日午後10時53分ごろに尹大統領から電話がかかってきたと述べ、「これを機に全員捕まえろ。全部片づけろ。国家情報院にも対共捜査権を与えるから、まず防諜司令部を助け、支援しろ。資金はもちろん人材もとにかく助けろ」と言われたと供述した。
ホン前次長はヨ前司令官から伝えられたリストをメモするうちに、「何か間違っていると思った」とし、「防諜司令部がスパイ団事件を摘発して進めているとばかり思っていたのに、リストを見ると自分が思っていたこととは大きく異なり、今もこれらの方々をなぜ逮捕し、拘禁・聴取しようとしたのか、理解できない」と述べた。
この日の裁判では、ホン前次長が書き取った逮捕者リストのメモも公開された。ホン前次長は、12月3日に非常戒厳が宣布された直後、関連内容を報告するためチョ・テヨン国家情報院長の公館を訪れたところ、午後10時53分に尹大統領から電話がかかってきたと語った。
さらに10時58分と11時6分にヨ前司令官との通話が続き、ホン前次長は「当時、国情院長官の官舎の入口にある空き地にいたため、立ったままメモ用紙に書いた」と答えた。ホン前次長は「事務室に行ってもう一度読み返したら、自分が見ても読みにくかったため、補佐官を呼んで『清書してくれ』と指示し、書き直した」と述べた。
ホン前次長は法廷のスクリーンに映し出されたメモを指さし、「清書されたものが補佐官の字であり、下の殴り書きが私の字だ。左利きなので字が傾いており、読みづらいところがある」と説明した。また「(逮捕者リストを)書き留めるうちに、何なんだこれは、と思い、後ろの内容は半分ほど書いて、それ以上書き進めなかった。後で記憶を辿って書いてみると14人、16人くらいだったと覚えている」と語った。
これに対し尹大統領と代理人団は一斉に「とんでもない話」だとし、ホン前次長を攻撃し始めた。尹大統領は「国情院には捜査権がなく、検挙どころか位置追跡ができない。あり得ない話だと思う」と述べた。尹大統領側が逮捕者リストの真偽について攻撃的な質問を続けると、ホン前次長は「私は作戦を指示したり責任を負う責任者ではない」とし、「是非を問うわけではなく、聞いた話を伝えているだけだ」と反論した。
尹大統領代理人団はユーチューバーが騒ぎ立てたホン前次長の対北朝鮮工作金横領疑惑についても質問した。これに対し、ホン前次長は「巷で(私が)100億ウォン(約10億6150万円)以上の対北朝鮮工作金を横領したという噂が流れているが、保守ユーチューバーの話どおりならば、検察総長まで担った大統領が私を国家情報院に2年半も勤務させただろうか」と問い返した。
ホン前次長は証人尋問後、記者団に「防諜司令部のスパイ捜査を支援しろと指示した」という尹大統領の主張に対し、「大統領から電話がかかってきたのは(非常戒厳当日が)初めてだった」とし、「上の人物が実に久しぶりに電話で指示した内容だから、ほとんど一言一句まで覚えているのではないかと思う」と語った。
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