さっき、机を整理していたらメモが出てきた。
正月のNHKの番組で、思想家の吉本隆明氏が話していたことを走り書きしたものだ。
二十代のころ、ちょっと吉本氏にはまってしまって、何冊も読んだ。
結構面白かったという記憶がある。
きちんと理解しているかはまた別の話であるけれど。
走り書きのメモにはこう書いてある。
「言葉にとって美とはなにか」
自己表出とはきれいなものに触れたとき心から発する言葉(ひとりごと)
指示表出とはコミュニケーションとしての言葉
芸術(言語)は自己表出と自己表出との出会い
吉本氏は人が美に触れたときに、思わず発するアーとかウーンとかが、言葉の根源だとする。
その感動をきちんと人に伝えるには、物語(小説)であったり、絵であったり、音楽であるが、その感動を伝える手段が芸術だ、というのである。
吉本氏は車椅子に座り、もうヨレヨレになりながらも、少年のような瞳で自分の思想を語っていた。
そのまっすぐな姿に、おもわず感動してしまった。