その壱 まいわし
藩と藩との争いに巻き込まれ
試合をすることになったのは
赤鰯とバカにされている赤岩
赤鰯とは赤く錆びた刀のこと
刀が錆びて赤くなれば
赤い鰯のように見える
腑抜けた武士のことを嘲って言う
その腑抜けが藩を代表して
相手藩と闘うことになったのだから
身内からも妬まれてしまう
その原因を作ったのが殿様
自分のせいで試合をするハメに・・・
その殿様は
暴れん坊将軍のように
旗本の三男坊と称して
庶民の暮らしというか
おけら長屋と親しくしている
そうとは知らない長屋の連中は
本人を前にして
殿様が悪いと
悪口を言いたい放題
さて試合はどうなる事やら
その弐 おてだま
おけら長屋に
お浅という歳は三十半ばくらいの女が越してくる
ところがひと月もたたぬうちに
忽然と姿を消してしまう
お染はほかの長屋で
お浅によく似た女が
長屋に住む男たちをたぶらかし
お金を騙し取られていたという噂を耳にする
おけら長屋ではどうも大家の徳兵衛
隠居の与兵衛が騙されたらしい
その参 すがたみ
聖庵堂の医師の助手 お満は
木田屋という江戸でも指折りの薬種問屋の娘
その木田屋の大番頭が
おけら長屋の万造、松吉に
頼みごとをしてくる
お萬の兄の秀太郎が
吉原の花魁に入れ揚げてしまったと
主の宗右衛門や世間に知られることなく
穏便に諦めさせる手立てはないものかという
相談だった
花魁とはどういうものか
よく時代劇で観る花魁道中とは
呼び出し昼三(ちゅうさん)と呼ばれる
最上の花魁が
仲ノ町を通って引手茶屋まで行くこと
呼び出し昼三と遊びたければ
最も格の高い妓楼である惣籬(そうまがき)(大見世)に上がるしかない
惣籬に上がるには
必ず引手茶屋を通さなくてはならない
客はまず引手茶屋に上がり
豪勢な宴席を設け
そこに花魁を呼び
一緒に妓楼へと登楼する
だいぶ複雑
初会は対面するだけで
話もできず目も合わせられない
二度目は対面
三度目でようやく話ができ
気に入られれば床を共にできるというわけ
そこで万造は妓楼に出入りしている
髪結の弟子ということで
お満をその花魁に会わせ
秀太郎が諦めるようにしてほしいと
頼むことにする
この話では
その紫月花魁の悲しい生い立ちや
悲恋など泣かせてくれる
その四 かんざし
八五郎とお里の娘 お糸が嫁いだ左官の文七
御蔵前片町にある金物問屋 大和屋
仕事が終わったのに
出来が気に入らないと代金の払いを渋っている
その五 うらかた
「その弐 うらかた」に登場したお浅は
その四の話の金物問屋大和屋の娘だった
母が亡くなり
父親に後妻がきた
その後父親も亡くなると
後妻と番頭に追い出されていた
文七への代金を払わせ
お浅の仇も打ちたいと
おけら長屋が立ち上がる
笑いあり 涙あり
古典落語のテイストと紹介されているけど
江戸の下町好き 落語好きには
たまらない話ばかり
どこから読んでもおもしろい
全話読切快作!!
ドラマ化は?
万造は誰がいいか?
がさつな人???思いつかない
図書館で借りると
最初の一巻目あたりは
かなりくたびれた本だったけど
九まで来るとかなりきれいです