寝静まる町に 目が覚めて
誰も知らない朝焼けを見てる
ツラいことは眠ってる間に忘れていいよ
僕のこともイヤなら過去に忘れて
あなたが生きていることを
僕は証明できないけど
あなたが生きていけることを
朝陽だけが見つめてる
そんな あなたの朝
あなたが見つめる生の意味
僕は一緒に見つめられない
あなたが知りたい生の意義
朝陽だけが見つめてる
そんな あなたの朝
風の噂で 若いころの友だちが
ダメになったと聞いた
どんなに遠くへ振り返っても
とっくに友だちの姿はなかった
何年か前に逢ったとき
幸せになったと言っていたけど
冷たく厳しい世間の中で
自分は冷たく厳しい壁になった
誰かに何か言うとしたら
前進しながら
「自分の人生だから」とまき散らすしかない
自分が倒れて困っても 誰も助けに来やしないさ
どこの病院がいいか 誰に聞けばいいか
困ることもあるさ
疑心暗鬼になることもない
そこまで捨てた世の中じゃないさ
誰にどんなことを言われても
役に立つ意見なんてろくに聞いたことがない
「自分を大事にし過ぎじゃない？」って言われても
自分を誰が大事にするの
自分を大事にする人は自分しかいないから
最後まで自分しかいないから
女性の出世は結婚って聞くけど
結婚してからあっという間の毎日
結婚してるから言えること
女性も男性も社会的出世が出世だと思う
割に合わない結婚生活だけど
先行きを見通して
最終的にはお骨になる
主人のお骨とわたしのお骨
お骨は骨壺に収まって 成仏するんだかしないんだか
主人もわたしも空にでも行って
その後のことを諦観してるのかな
さよなら 世の中
さよなら 皆さん
わたし お骨になりました
そんなこと考えてたら
これから先が 案外楽に思えた
こんにちは 世の中
こんにちは 皆さん
わたし お骨になりました
空の上から皆さんを見守って
密やかに旅立った後 空を舞うのでしょう
ねえ 現在（いま）もひとりでいるの
ねえ 僕と同じように自由でいるの
同じ青春 同じ歩幅で 僕等は歩いてた
ねえ あのころのことも忘れたの
ねえ 僕のことくらいは覚えてるの
もしも また逢えたなら
あなたを抱きしめないよう 気をつけないと
繰り返すことから 抜け出した僕等は
やっと 自由を手に入れたの
ふたりの世界から 逃げ出した僕等は
やっと 自分を取り戻したの
目と目を合わせて あのとき僕は驚いて
あなたを引き留めてはいけないと 気づいたの
やっと ふたり 自分を取り戻したの
もう戻ることはないと…
秋の日のある昼下がり
ネコのタイがいつものように
眠っていた
僕はぼんやりとこんな幸せが
いつの日か消えると思った
まだ若いネコのタイが
いつか年を取っていなくなる
いつの日か 消えてく
タイが消えた日
それは この秋のあの昼下がり
消えるなんて想像したから
タイは僕の部屋にいながら
僕の中から消えた
僕はいるよ 僕はいるよ
タイがそう主張して
僕が夜になってベッドに入ると
やってきて 腕枕に眠った
僕がいるよ 僕がいるよ
タイがそう主張して
僕が夜になってベッドに入ると
やってきて 腕枕に眠った
ごめんねタイ ごめんねタイ
タイが死ぬことなんて想像して
でも僕はタイのいつか来る不在を悟って
タイを腕枕に 眠った
タイを腕枕に 眠った…
