やあよのブログ

コツコツと詩を書いています。楽しく読んでいただければうれしいです。

ひとりぼっち

2021-08-31 05:37:44 | ポエム
誰を信じているの なにを信じているの
愛する誰かがいないと 殺伐とするくせに

友だちを探すにも どこにも当てはない
初恋の彼女は とうに誰かと結婚していて

今朝も 夜明け前に目が覚めた
寝室のドアの向こうに ネコのタイが待っていた

ひとりぼっちで なにを待っているの
ひとりぼっちで 僕を待っていたの
ひとりぼっちで 大人になっていくの
ひとりぼっちで 誰を愛そうというの

若いころの仲間とも とっくの昔にはぐれて行った
あのころのこと おぼろげにしか 思い出されず 
現在(いま)を生きてる

現在(いま)を生きてる…


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新天地

2021-08-29 10:41:30 | ポエム
アイツが新天地へ旅立っていった
僕等がどこかへたどり着くのはいつだろう

いつの間にか通りすがりの人が 遠い赤の他人になって
関係ない物事が増えすぎて 夏の光は白々と前方を照らして

さようなら また逢えるなら
人らしい笑顔で 微笑んであげたい

新天地
最後の場所は 訪れる人も少なくて
最期のときを 人に知られるはずもなくて
いつものように 買い物の人波に紛れ
流れていく 川の流れのように 癒されて

自分の保護者は自分だから 最期まで自分に責任を持って

溢れては消えていく ノスタルジー
溢れては消えていく ノスタルジー…



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Everyday

2021-08-27 18:43:07 | ポエム
ようやく 金曜の夜になった
明日は 都内の嫁さんの生家に寄る

「生きてるうちに 親孝行したいの」
僕の親はもうふたりとも 他界したからなあ

あさっての日曜は 車でどこかへ行こうか
若いころパワフルだった嫁さんは 週末エンジン全開じゃないと
気がすまないらしい

「若いねって言われてるよ」って 嫁さんにささやかれた
「ああ そうかな」って答えたら 
「わたしがそう言われるのよ」って
「じゃあ おやすみ」って 嫁さんが言うから 
「おやすみ」って答えたら
「あら ネコのたいちゃんに言ったのよ」って
煙たそうに 言われた

そろそろ 散髪に行って来よう 近ごろ 髪がヤバくなってきたなあ
ボヤきながらも こんな毎日を愛している 嫁さんがいるから


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A Summer Star

2021-08-25 22:38:45 | ポエム
はじめて会った日のあなたを いまも想い出せる
出会った土地を離れたあなたを いまも想いたい

いまごろどこでどうしてるの あえて探したりしないけど
人らしい感情を持ったあなたのこと たしかに愛してた

わたしが元気なのは きっと知ってるでしょう
元気なだけが取り柄だから また逢えた時があればきっと

A Summer Star
蒸し暑い夏の夜 眠れずに
恋していたころを想う もしもまた逢えるよう届けたい
あのころのふたりは別れたけど あなたもきっと元気だから

もしも あなたにまたはじめようと言われても
戻れないこと知ってるから あなたに笑ってしまいそう

A Summer Star
蒸し暑い夏の夜 持て余し
恋していたころを想う もしもまた逢えるよう届けたい
あのころのふたりはもういないけど わたしはいつも元気だから

もしも あなたにまたはじめたいと言われても
帰れないこと知ってるから あなたに笑ってしまいそう

いま 流れ星が見えたわ 
あの星に願った できるなら もしもまた逢えるよう届けたい

あなたへ…


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バースデーケーキ

2021-08-18 22:40:23 | ポエム
 今日も暑いのに、妻が朝から買い物へ出かけて帰ってきた。今日は僕の誕生日だ。高校生になる息子は「ケーキが食べられる!ケーキが食べられる!」とはしゃいでいた。
 午後になって、妻は夕飯作りに取り掛かり始めた。洋風煮物のにおいがする。僕の好物のカレーだ。息子も喜んでいる。
 「今日はサラダを買ってきたの。バジルチーズのと、海老とイカの明太子サラダよ」
妻の言葉に僕と息子はすっかり気をよくしていた。
 「そうそう、バースデーケーキも用意したわよ」
給料日前だというのに、妻は近所のケーキ屋の苺のショートケーキも人数分用意していた。
 妻が夕飯の支度をしている間、僕はTV、息子はPCでYou Tubeの動画を観ていた。妻がなぜかため息をついている。ため息がカレーの湯気にかき消されている。
 「できたわよ。食べて」
 「わー! うまそうー!」
 いい年して誕生日を祝ってもらえることに感謝していた。よくできた妻だとも思っている。好物のカレーもいつもどおりおいしい。買ってきたというサラダも格別だ。
 「ケーキ、食べていい?」つい、自分から催促してしまった。
 「お母さんも食べなよ」息子が妻を呼んで誘ったが、妻はシンク前でなにかこちらに背を向けて片付けでもしているようだ。
 「全部食べちゃうよー!」息子が無邪気に笑って言った。
 妻の様子がおかしい。そう気づいたのはそのときだった。
 「どうして全部食べちゃうの… どうして全部食べちゃうの… 毎日毎日、どうして全部食べちゃうの…」
 妻が涙をにじませて、こちらをにらんでそう言った。なにが起きたのか僕にはわからなかった。息子も黙っていただけだ。
 「疲れてるんじゃないの?」僕はかろうじて妻にそう言った。
 「どうしてお盆休みなんてあるの… どうしてお盆休みなんてあるの…」
 「疲れてるんじゃないの?」息子が気遣うようにおどおどした様子でそう言った。
 「寝るわ…」妻がバースデーケーキも食べないで部屋を出て行った。
 ダイニングに取り残された僕と息子は無言で料理とバースデーケーキをたいらげた。そういえば妻はなにも手を付けていないままだった。


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