「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました。
国内金融機関の企業への融資、特に、中小企業への融資については、社長の個人保証額=融資額となっていることが、いろいろな弊害をまねいているという意見があることから、一定の要件を満たす場合には、個人保証を求めないというものです。
地方銀行で20年以上勤務した経験のある公認会計士・中小企業診断士・税理士の私は、当該ガイドラインに期待する面と危惧する面の両方の考えを持っています。
このブログで、当該ガイドラインの解説と私の考え等を述べさせていただこうと考えています。
中小企業金融の現場経験者であり、現在は、中小企業向けの経営コンサルタントをしている立場から、他の専門家には分からない問題点もあると思います。
そのような点に、ズバッと切り込んでいくつもりです。
いつまで続くか分かりませんが、頑張ってみます。
さて、個人保証の問題ですが、私の考えは、次のとおりです。
現状は、なんでもかんでも、融資額と同額の社長の個人保証をもらっています。これは、あまり芸がないというのが私の考えです。
なぜなら、融資額と同額の社長の個人保証をもらっても、社長が、それに見合うだけの財産を持っていなければ、意味がないことが多々あるからです。
融資する会社の経営成績、財政状態、キャッシュフローの状況、担保の価値、管理状況、経営環境、社長自身の財産の状況、融資内容・リスク、返済条件、金利等を考慮して、融資毎に、社長の保証額を決めるべきだというのが私の考えです。
社長の保証金額を、0%か、100%かという問題ではなく、会社毎、融資毎に違っていいということです。
これって当たり前のことだと思うんですが、金融機関も面倒くさいんでしょうかねぇ。
この辺りの社長の個人保証についても、拙著「本音を言わない銀行、言っても解らない中小企業の社長」に書かせていただきました。
左のおススメの本から購入可能です。是非、ご一読ください。
では、また。
地方銀行に勤務している時代から、多くの中小企業の社長さんとお会いすることができました。
会社が窮地に陥っている中小企業の中には、頑なに昔からの自分のやり方に固執して、それを変えようとしない社長さんもいらっしゃいました。
時代の変化、お客様の変化といったものは考えず、ただ頑固なだけ、変化することを恐れているだけというようにしか、私の目には映りませんでした。
本当に会社を黒字にしたいと思っている?
こんなことを投げ掛けてみたくもなります。
地方銀行員時代は、そんな社長を見て腹を立てたり、何とか変わってもらいたいと、いろいろ手をつくしたりもしました。
でも、最近は、あきらめています。はっきり言って無理です。そこまでに頑な人を変えることなどできません。
ただ時代の流れが、このような頑なさに戻ってくることを祈るのみです。
こんなかんやが書かれた拙著「本音を言わない銀行、言っても解らない中小企業の社長」は、左のおススメの本から購入できます。
「本の題名は素晴らしい。」「現実は、題名のとおりや。」等と褒められたりします。(題名だけは・・・。)
是非、ご一読ください。
52歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。
中小企業の貸借対照表・損益計算書等の決算書は、その中小企業の経済的実態を表すものです。
ところが、中小企業の経済的実態と中小企業の決算書が示す実態が違っている場合があります。いわゆる粉飾決算です。
この中小企業を改善、又は、再生しようとするときは、まず、決算書を修正して、経済的実態を表すように、つまり、本来の決算書に修正する作業からスタートします。
そうすることで、中小企業の問題点、悪さ加減、今後の方向性等が見えてくるからです。
しかし、経済的実態が悪い場合、決算書を本来の形に修正できないことがあります。
一つは金融の関係で、悪い決算書を金融機関に見せられない場合です。
もう一つは、許認可の関係で、悪い決算書を官公庁に提出できない場合です。
金融機関は、決算書を修正して、中小企業の経済的実態を評価しています。問題となるのは、許認可の関係で決算書を正しい表示にできない場合です。
許認可を維持するために、利益が多くでるような粉飾処理を続けていくと、まず、改善、再生は、難しくなります。
傷が大きくならないうちに、気が付いて、正しい方向に向かえば、間に合うかもしれません。
私が仕事であった社長さんです。
一人は、親戚から引き継いだ中小企業に不良資産があることが判明し、それを隠しながらも(いわゆる粉飾です)、こつこつと業績を回復させていかれた方です。この社長は、その好業績により不良資産を処理し、数年後には、決算書を正常な状態に持っていったのです。しかも、金融機関からの借入金をゼロにしたのです。スゴイ!
もう一人は、若いころに自ら会社を立ち上げた方です。最初は粉飾決算をして、現金を手元に残るようにしたそうですが、あるとき、自社の決算書を見て、何が正しくて、何が嘘かが分からなくなった、正しい実態が分からなくなったと感じたそうです。そのときから一切粉飾はしなくなり、今では、超優良企業になることができたのです。こちらもスゴイ!
しかし、残念ながら、こんような社長は、ごくわずかなのです。
まずは、「中小企業の社長に認識を変えるところから」というのが私の考えです。
こんなかんやが書かれた「本音を言わない銀行、言っても解らない中小企業の社長」は、左のおススメの本から購入可能です。ご一読ください。
52歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。
中小企業の再生で最も難しいのは何でしょうか。
私は、「社長の考え方と行動を大きく変えること」だと考えています。
中小企業の社長と経営コンサルタントの考え方や行動が完全に一致することは、ほとんどありませんが、経営の再生に向けて、最低限、必要な考え方や行動というものがあります。
それを認識していない場合、その行動がとれない場合は、再生に入る前に、社長の考え方や行動を大きく変えることからスタートしないといけません。
このような場合、まず、再生は無理です。
痛みが、ひどくなく、時間がある場合、社長のやる気さえあれば、事業計画立案後のフォローアップという形で、数年を掛けて、中小企業と同時に、社長を変えていくという方法もとれます。
この方法がとれない場合はたいへんです。とれない場合は、痛みがひどいか、中小企業の社長の認識力が相当に不足しているか、その両方かです。
早急に再生を考える必要がない中小企業でも、以外と社長の認識力が不足しているものが多いのです。まして、痛みのひどい中小企業では、なおさらです。
中小企業の再生が進まないのは、社長の認識力不足が一番の原因だというのが、私の考えです。認識力には、知識だけでなく、やる気、覚悟といったものも含まれます。
多分、公的な支援の立場からは、そうではなく、個人的な債務保証や担保提供等が中小企業の再生を阻害していると主張するでしょう。その方向で法律やガイドラインの新設・改正が進んでいます。
本当に、それでいいのかなぁ?
こんなかんやが書かれた拙著「本音を言わない銀行、言っても解らない中小企業の社長」は、左のおススメの本から購入可能です。是非、ご一読ください。
元地方銀行員のオッサン公認会計士でした。
では、また。
中小企業が経営改善、経営再建に取り組むときに、まず、すべきことはなんでしょうか。
それは、中小企業の経済的実態を把握することです。
経済的実態というのは、簡単にいうと貨幣単位で表される実態のことです。例えば、実質債務超過額が〇〇百万円、実質純利益が〇〇百万円、〇〇支店の実質営業損失が〇〇百万円といったことです。
実質というのは、作成された決算書と違うということです。特に中小企業の場合は、公認会計士の監査を受けている訳ではありませんので、ほとんど中小企業で修正が発生するのです。
この経済的実態が、全体として、どの程度悪いのか、どの部分が悪いのか、それは何が問題なのか、といったことを把握することから始めるのです。
実態を把握することで、どの程度、改善すれば良いのかという目標がはっきりしてきます。
この実態把握なしに事業計画を作成しても、正しい目標のない彷徨える事業計画となってしまいます。
中小企業の経済的実態の把握は公認会計士が適任です。なぜなら会計監査の専門家だからです。会計監査の専門的な公的資格は他にはありません。税理士は税務の専門家であり、監査の専門家ではありません。弁護士は訴訟による問題解決の専門家であり、監査の専門家ではありません。
残念ながら日本では、公認会計士が、公認会計士として、中小企業に関わる機会が少ないため、中小企業の決算書が適正なものになっていないことが多いのです。
まずは、経済的実態の把握から、経営改善、経営再建をスタートする。業績の良くない中小企業も、業績が良い中小企業も、これが基本です。
こんなかんやが書かれた拙著「本音を言わない銀行、言っても解らない中小企業の社長」は、左のおススメの本から購入できます。是非、ご一読ください。
このブログの見てくれた中小企業の経営陣の方が、少しでも良い方向に向かったくれれば幸いです。
52歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。