利益とは、何かという話です。
利益を説明するのに、いろいろな考え方があります。
「利益とは事業を存続させるための費用である」というのは、それらの考え方の一つです。
この「利益とは事業を存続させるための費用である」という考え方に初めて出会ったのは、一倉定(いちくらさだむ)さんという方の書籍「一倉定の経営心得」(日本経営合理化協会出版局)だったと思います。
その他にも、このような考え方をされている方もいるようです。
私は、この「利益とは事業を存続させるための費用である」との考え方を支持しています。
この「利益とは事業を存続させるための費用である」という考え方は、次の二つの点で優れていると思います。
一つ目は、企業の経営者に対して、「利益は事業を存続させるために必要なものである」ということを強く認識させるという点です。
「企業の経営者なら、当たり前のことじゃないの?」と言われそうです。
残念ながら、私が、地方銀行勤務時や退職後に経営のアドバイスをしていた時に関わった多くの中小企業の経営者は、そのような認識がないように見えました。
「利益を上げるよりも、法人税等を低く抑えることに注力している。」
「数字のことは、税理士に任せている。」
「頑張って努力しても、利益なんて上がらない。」
「銀行が融資してくれれば、事業は存続できる。」 等
このような考え方をしている中小企業の経営者が多かったと思います。
利益を上げることに対する世間の認識が、悪いことのように思われている考え方があることも、このような中小企業の経営者の認識に影響を与えるかもしれません。
いずれにしても、企業を良くするためには、まず、利益に対する認識を変える必要があると思うのです。
二つ目は、「利益とは事業を存続させるための費用である」と考えることで、利益の金額を、最初に、直接、計算することができるということです。
このブログの「No7 表現の型②」で説明しましたが、通常、利益は差額として計算されます。
収益(売上)から費用を引いたものが利益です。
経営計画等を作成する場合、まず、収益(売上)と費用を予想し、その差額として、利益を計算する方もいます。
しかし、「利益とは事業を存続させるための費用である」という考え方では、まず、利益を計算し、それに、費用を加えたものが、収益(売上)となります。
利益を直接計算する方法は、いくつか考えられます。
ひとつの考え方として、銀行に対する借入金の年間の約定返済額と設備投資予定額の合計額が、利益に減価償却費を加えて金額(償却前利益といいます)以内になるように、利益金額を計算するというものです。
銀行や中小企業の経営計画を立案するアドバイザー等が使っている考え方です。
(もちろん、一回でビシッと決定する訳ではなく、利益から費用、収益(売上)へ、逆に、収益(売上)、費用から利益へを何回も繰り返して経営計画は立案されるのですが・・・)
利益金額の計算方法は、その他にもあります。
どれが正しいかは、一概には言えません。
大切なことは、「利益とは事業を存続させるための費用である」と認識して、利益から経営を組み立てることだと考えます。
この「利益とは事業を存続させるための費用である」との考え方を基に、まず、利益を計算して、利益計算書を作成すると、こんな感じになると考えます。
会計に関連した私の考えについて、書こうと思います。
で きるだけ分かり易く書きたいのですが、難しくなるときもあるかもしれません。
会計は分からないけど興味がある方、会計を勉強したいと思っている方、会計に携わっている方、何かのご縁で私のブログを読んでいただいた皆様のお役に立てれば幸いです。
皆様に、神さま仏さまのご加護がありますように。
61歳のオッサン公認会計士でした。
では、また。