ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

保釈・・・2     大使館への手紙

2015-10-21 | 5章 デリー中央刑務所  保釈

 8月21日(月曜日)
   大使館宛の手紙
今回お願いしたいのは次の2点です。
一、金額五万ルピーをこの手紙を持参した下記の者にお渡し下さい。
  ミス・マリー
二、大変申し訳ありませんが日本からの送金5000㌦お願いします。
裁判の方は私が考えていた程には進んでいません。まだハイコートにも入っていない様です。ですが、ここ1ヶ月以内には何とか此処から出られる様にしたいと考え、その為の方策を進めています。


「俺が出たら1ヶ月以内にお前をリリースさせる」フィリップスとの付き合いは長い。
奴はぼくへの信頼を裏切ったことは一度もない、奴を信じる。
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保釈・・・1    フィリップスのリリース

2015-10-20 | 5章 デリー中央刑務所  保釈

 モンスーンに入り熱さの峠は越えた。ホワイトブルーの空を黒い雲が蔽い激しい雨を降らせた。房の入口に立ち流れる雨水を見ている、ひとつの夏を生き延びた。雨がやむと収監者達は外へ出て意味もなく歩き回った。大きな木の下の台座に座っていると木の葉から雨水が落ち身体を濡らす、気持ちが良かった。
 フィリップスの釈放が8月14日と決まった。彼はやっと落ち着きを取り戻した。釈放の日、ぼくとフィリップスは台座に座って今後の方針を綿密に話し合った。
「俺が出たら1ヶ月以内にお前をリリースさせる」
その為に弁護士を替える。ラジン・バクシ弁護士の弁護費用は少し高いが保釈を専門とし、裁判所や病院それに刑務所内に広いパイプ網を持っている。彼に弁護を依頼するには15万ルピーくらいのアドバンスが必要だ。出来るだけ早く日本からの送金を手配しておいてくれ。バクシ弁護士が弁護を引き受けてくれたら直ぐ連絡をする。この日、夕方フィリップスは釈放された。房の出口でぼくの手を強く握り
「心配するな、友達じゃないか」
「分かった、お前に任せる」
ぼくが蛇のような目をしたリーダーにパケを取られ捕まった事があった。不安に落ち込んでいたぼくに
「心配するな、友達じゃないか」
と言ってジャクソンはぼくを助けてくれた。そして今、フィリップスは友達じゃないかとぼくに言った。全てを彼に任せよう。
  
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