バサンタプールはニューロードに沿った縦長い広場だ。そこに多くの露天商が店を出している、が何処に店を開くかは決まりがある。ニューロード側の前1列目から順次3列まである。ぼくが立ち上がるとチビとキングも起き上がりぼくの後ろからついて来る。ケダルの店は1列目の右から4~5軒目にある。ツーリストの買物客はニューロードを歩きながら土産物を見定めていく、前の列には商売のチャンスが多いと言える。この時間、ケダルは木の台に商品を並べるのに忙しい。ぼくはケダルの店に毎日のようにきていたのでどこに何を並べるか大体知っている、手伝う事もあった。彼がぼくに気づいた。にっこり笑顔でおはようございます、と言ってぼくの手を握った。
「いつ帰って来ましたか?今回は長かったですね」
彼も日本語学校に通っていた事があり流暢な日本語を話す。ぼくが外国語学校でネパール語を勉強していた時は彼から教えてもらっていた。
「昨日、インドから帰って来ました」
そうですか、と言いながら彼の作業の手は止まらない。カトマンズの旅行シーズンは3月からだ、寒い1月に店を開いても売れない日が続く、それでも毎日店を開けて客を待つしかない。また来ます、そう言ってぼくは露店の間を歩いてホテルへ向かった。チビとキングはいつものチャイ屋のところまでぼくを送ってくれた。
何度かつくつくぼぅう~しの鳴き声を聞いた
秋はもうそこまで忍び寄っているのかもしれない