ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅      薬物後遺症と心の傷・・・28

2012-02-09 | 3章 デリー中央精神病院・入院記録
禁断の症状は何とかピークを過ぎた。後は日数だけだ。ここまで回復したからには何としても抜け切ってしまわなければならない。中途半端な回復でスタッフを再開すると前回のドラッグ期間と継続される。そのように繋げてしまうと長期になり次回スタッフを切るとき酷い目にあう。今回もかなりきつい切りだった。死ぬような苦しみの禁断を何度やっても分からない人間だ。粉も段々抜けてきて粉なしの生活というものを考えてみたりもする。カトマンズに戻ってちゃんとした生活をする。勿論、学校にも行くし勉強も続ける。粉による頭のボケは一時的なもので今まで勉強してきた事はまだ役に立つと思う。積み上げることも可能だろう。すべてドラッグをやるかどうかその事で決まる。もうドラッグは卒業しても良いんじゃないか、殆どのドラッグは十分にやった。ぼくもやりだすと徹底的やってしまう視野の狭い人間だ。今度はスタッフを断てるかもしれない。でもアルファーに預けた100gのスタッフはどうする。今日は、と言うより今、頭の中の意識がはっきりして何だか抜けた時のような気分になっている。
アユミの退院は来週にでも決まりそうだ。
「退院したらネパールに行くの」
ヨーロッパから女性ひとり旅を続けて来た彼女にとって気を抜ける日が幾日あっただろうか。陸路で行けるところは列車とバスを乗り継ぐ、厳しい旅だ。しかしその行程の中にこそ、その国の人々の日常がある。空を飛ぶのは簡単だ、お金もある。だが飛ぶことに逃げたら、心の旅は終わり自分自身の敗北を認めなければならない。張つめた旅の日々を歩き続けたアユミは、ネパールの優しさに迎えられるだろう。
夜、日記を書いているとラウラカシが病室に入ってきてビリとマッチをテーブルの上に置いて出て行った。
 

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