どこから集まってきたのかカラスの大群で埋めつくされていた。この村から上はヒマラヤの山間部へ続いているのでカラスはいるだろう、がこれほどのカラスが1ヵ所に集まるだろうか。原因は電線にぶら下がった1羽のカラスのためである。群れの中から2羽のカラスが飛び立ちぶら下がったカラスの近くを旋回した。カーカーと鳴きながら旋回するカラスに励まされたのか力なく逆さまにぶら下がっているカラスは足を外そうと懸命に羽ばたいた。変圧器がバチバチと火花を散らす。本通りにもいる多くの見物人が事の成り行きを見守っている。力が尽きたのかカラスは動かない、風に吹かれ揺れるカラス。もう駄目だカラスは死んでしまったに違いないと誰もがそう思った。その時、沈黙を破るかのようにカラスは死力を振り絞り大きく羽を広げ激しく羽ばたいた。2本の電線がショートする。変圧器から青い閃光が奔るとカラスは電線から外れた。しかしカラスは空へ飛ぶこともなく草むらへばさっと落ちた。じっと見ているカラス達、死を確かめたのだろうか、大群のカラスはそれぞれの方向へ飛び山へ戻り始めた。2~3羽は死んだカラスの上空を旋回している、家族なのかもしれない。ガンガの上にも多くのカラスが飛んでいる。対岸の遠い山から1羽のカラスのためにガンガを渡ってきたのか、カラスとは不思議な鳥だ。
聖地リシケシ ガンガ河畔 野草をつむ不思議な女性
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