12月24四日(土曜日)
ヒンズー教はインドの国教である。キリスト教のクリスマスについて何ら行事がなされる事はない。キリスト教の信者たちはクリスマスの集会と祈りを行っていた。集まったのはアフリカンだけでヨーロッパ人は参加しない。
何故だか夕食のとき茹で卵がでた。恐らく第2収監区の外国人だけに配られたものと思われる。インド人は概ねベジタリアンでミルク、ヨーグルト以外動物性食品を口にしない。リシケシで茹で卵を買って食べたことがあるがそれ以外では滅多に卵を見たことはない 。
収監者を宗教別に見るとキリスト教、イスラム教が多い、ぼくは仏教に分類されるだろう。国籍別に収監者数の多い順にみるとヨーロッパではイギリス、フランス、ドイツ各3~4名、スペイン、イタリア各2名それとポーランド1名。アフリカでは圧倒的にナイジェリアだ、次いでケニア、少数だがエチオピア、モロッコそれにガーナなど。その時点ではアメリカ人はいなかった。ナイジェリア人が多いのは内戦を逃れインドに逃亡していたからだ。相互国のヴィザが免除されていたからだろう。
日没前の夕暮れ、どこからともなく一定のリズムを持った男達の唸り叫びが聞えてきた。ワードゲート前の通りをアフリカンの集団がステップを踏み鳴らし進んでいた。縦一列、リズムをとって前・前・ストップ・後・前・前と。濃くなっていく暗さにアフリカンの肌の色が同化し唸りと叫びだけが迫って来るようだった。近づいて来た集団の先頭に強靭な肉体を持ったエマがいた。いつものエマと違う、ぼくはすぐに理解した。集団トリップをしているのだ。大地を揺るがすかのようにステップを踏む。ゲートを潜り中庭へ進んで行くとそこで円を作りより強く激しくステップ踏んだ。アフリカを離れてしまったブラックは時間と共にアフリカの心を失いつつあるのだろうか、現在のアフリカのリズム、音楽を彼らは理解出来ないだろうとエマは言った。
「俺はピュアだ」
「あいつもピュアブラックだ」と、誇りを持って彼等は言う。
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