チャイの美味しい店は混んでいる。ちょっと恐い顔をしたおばちゃんがやっているチャイ屋は別館に近い本通りにある。ババ達が良く行くチャイ屋で味は最高だ。いつも混んでいるのでおばちゃんの愛想は良くない。概ねインド人にはサービスをするという概念はないから気にはならない。ぼくがチャイを頼んでもいつ出てくるやら、ただ待っているしかない。時間は幾らでもある、ぼくは平気で何度も通っていた。毎日チャイを飲みにいっていると知り合いになった客が席を詰めてジャパニーババここに座れと席を空けてくれるようになった。チャイをつくる水は聖なる河ガンジスから汲んで来る、だから美味しいのかも知れない。
馴染みになったおばちゃんを良く見ていると、どうもおばちゃんは計算ができないのではないかとぼくには思えてきた。チャイを飲んでタバコを買う分には何とか計算ができるようだ。これが3種類になるとどうもやばそうだ。チャイ、タバコとビリを買うとおばちゃんの頭の中はてんやわんやになっている。うぅんと唸ったりお金を並べたりしているが、そこへインド人が来て50パイサを置いてタバコを1本買っていく。計算はまた最初からやり直しになり、いつまでもお釣りをくれない。早くお釣りをくれと催促して手を出すとおばちゃんは計算を諦めたのか気合を入れてお釣りをぼくに渡してくれる。ぼくが計算をした金額よりいつも多い。ぼくもせこい人間だ、そのお釣りを黙って貰っていた。
(カテゴリーが足りなくなって第1話~第10話の一部を削除した 再度の掲示です)
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