季刊歯科医療の連載の最新号の原稿を送り返しました。
インプラントの連載にも関わらず、あえて総義歯の話を今回は書いています。
それと言うのも、facebook等を通じて世界のインプラント治療の症例報告を見るのですが、これが余りにも残念なのです。
どう言うことかと言うと、そこにインプラント埋めてしまって、何処に歯を取り付けるの?と言うインプラント治療を見掛けることが増えて来ているんです。
これは由々しき問題です。
インプラントは骨とくっ付いてしまったら、後から動かすことはできません。
変な所に埋めてしまったら、歯が飛び出るようにして作らないとならない状態が起きてるんです。
具体的に指摘すると、歯が失われると顎の骨は外側から痩せてしまいます。
そうなると、顎堤のアーチは内側に狭く小さくなってしまうんです。
内側に小さくなってしまったままで、骨しか診ないでインプラントを埋めてしまったら、その患者さんがあった元々の歯列よりも狭い小さい歯列弓になってしまいます。
歯列の真ん中には舌があります。
舌にとって窮屈で苦しい歯列が、インプラントと言う動かすことが出来ないモノで固定されてしまうんです。
それを避ける為、無理に外側に張り出して作ったりすれば、当然インプラントから飛び出るような歯並びになってしまいます。
しかも、インプラントは内側にあるので、歯との継ぎ目は舌に触るし気になるし、と言う状態になってしまいます。
そんな歯列の外側は、無理に張り出してますから、継ぎ目の所が窪んでいる状態になってしまって、食べカスとかが溜まって気持ちが悪いことになるでしょう。
とても残念なのですが、そうなるとしか思えない症例写真をfacebookで見付けてしまうんです。
これはとても拙い事態だと思います。
それに対して、それでは拙い、こう直して欲しい、と言うことを連載で書いています。
要約すると、総義歯のことが分かっていれば、そのような残念なことは避けられる筈、と言う話です。
総義歯は、全ての歯を失った患者さんに入れるモノです。
粘膜、顎堤しかないお口の中に納まるようにしなければならないモノです。
その為には、頬とか唇の力と舌の力のバランスがとれた地帯を探し出して作らなければなりません。
その地帯のことを、専門用語ですがデンチャースペースと言います。
ここが歯がなくなった時に、歯列を再構築する基準であれば、患者さんの苦痛、気持ちの悪さは軽減するんです。
そして、そこにこそ、インプラントで固定されたブリッジによる義歯が入るのが良いんです。
だから、インプラント治療に総義歯のことが分かってて欲しいんです。
そのことを、枚数の許す限り一所懸命に解説しています。
これから、ますます増えるインプラント治療のベースとして、是非知って置いて欲しい知識を、勉強するきっかけとなること、を書きました。
業界の方々多くの方々に是非読んでいただきたいです。
宜しくお願いします。