松本でのリサイタルの一週間後、6月12日に再びヒラリー・ハーンのリサイタルに行きました。場所は横浜。2回も、と我ながら本当に贅沢と思います。
実は、1月中旬に「6月12日の横浜」のチケットを購入して、あとは当日を待つだけとしていたものの、2月に入ってから松本での開催を知りました。 松本は車で1時間半の
近距離であり、折角の機会を逃したくないし、両者の音場環境の違いをこの耳で比べてみたいという気持ちから、「6月5日の松本」のチケットも2月初めに購入し、結果
として異なるホール2箇所で演奏を聴くことが出来ました。(もし松本での開催を先に知っていたら、家から乗り継ぎで4時間近くかかる横浜の選択は多分無かったと思います)
横浜でのリサイタルは今回の日本公演の最終日。みなとみらい大ホールは3階までほぼ満席でした。 曲目もアンコールも勿論松本と同じですが、両ホールの音の差異を
自分なりに確認することができました。
ヒラリーの演奏はやはり素晴らしい、湧き出る泉のような透明感は、静かに染み入るこの上無い心地よさを与えてくれます。また彼女の演奏技術は完璧だと言われています
が、そのことは例え私のような「ただ聴くだけの普通の人」でも自分なりに分かります。 ヴァイオリンが発する音は、極めて繊細かつ微妙であるが故、たとえ僅かな「揺ら
ぎや濁り、間延び」などが存在しても、聞き手はそれを「不安要素」として捉えてしまいますが、彼女の演奏からはそのよう部分を少なくとも私は感じませんでした。
しかも決して聞き手に押し付けることのない、絹のようなさらりとした感触、磨かれたひとつひとつまで優しく美しい音色、これがヒラリーのヴァイオリンの魅力だと思います。
当日の帰宅は電車の乗継の都合で難しいため、横浜に宿泊。 夜の横浜は曇りで星空は見えませんでした。もっとも晴れていてもあの町の明るさでは1等星くらいしか見えな
いかもしれません。 高層階から見下ろすアーバンの夜景は勿論綺麗ですが、天の川が庭先から見える我が家近郊の恵まれた星空環境を改めて思い起こしました。 夏が過ぎて、
秋風が吹きカシオペアが北の空高く昇るころ、夜空を眺めながらメンデルスゾーン Vn協奏曲 Op.64 第2楽章(勿論ヴァイオリンはH.ハーン)を聴くのを待ち遠しく思います。
(横浜の夜景 2016/6/12)
ところで都会の夜景は、星空を見ることのできない人々が作った代替品でしょうか?夏至を過ぎたら少しずつ夜に闇が戻ってくると思うと嬉しいです。
星空を意識して造り、また観ていると思います。 今日はちょうど夏至ですね、太陽による明かるさが途絶えることのない白夜って、確かに特定の時期の星空が見えないのは
ちょっと残念ですが、でも魅力ですね。 お近くでも夏至祭とか行われるのでしょうか。