3月11日、レオナルド・ダ・ヴィンチ展(江戸東京博物館)とボッティチェリ展 (東京都美術館)の鑑賞に行ってきました。東京は天気予報どおりに冬に逆戻りしたよう
な寒さでしたが、そのため新幹線が上野に到着したあとも北信濃の服装のままで都内での移動が出来て、かえって楽でした。 双方が開催されていることは2月に
なってから知ったのですが、年度末の3月に行けるかどうかは厳しく、半ば諦めていた時期もありましたが、なんとか仕事のやりくりをして行くことが出来ました。
ダ・ヴィンチ展は、チケットの購入で約10分待ちでしたが、平日だったためか会場内は予想していたよりも空いていました。日本初公開の《糸巻きの聖母》の前は、ここ
も約10分くらい待ち、でも列が作品に対して平行なため、待つ間も遠くから見ることができてストレスはありませんでした。 間近で見る「作品」は、思い描いていたよ
りも小さい、という印象、そしてしっとりとした何とも言えぬ豊かで滑らかな質感、とりわけ聖母の優しく寂しげな眼差しと暖かい右手、そして清楚な装いから
人として、女性としての姿を強く感じました。
会場には、手稿やデッサンなども展示されていて、ダ・ヴィンチの観察眼の鋭さと思考の豊かさに、天才と呼ばれる人とは言え、改めて驚かされました。
1時間半あまりの鑑賞のあと、昼食をはさんで東京都美術館へ移動、ボッティチェリ展の会場は地下から2階まで、氏の師匠や弟子などの作品を含めかなり見ごたえ
のある作品数でした。多くが優美で気品に溢れ、特に《書物の聖母》をはじめとする象徴的表現の中の色彩の美しさが見事でした。「東方三博士の礼拝」もしっかり
と隅々まで拝見しました。
ダ・ヴィンチとボッティチェリ、そしてその師匠や弟子たち、強い思い(特に神への)と入念に練り上げられた技術と類いまれな才能で描かれた作品を、遠い東洋の国で
数世紀を経て見る機会を得られたことに感謝しています。
そういえば、今回初めて美術館に双眼鏡(超小型、2メートルの至近距離まで合焦するもの)を持参しましたが、近づくことが叶わない作品の細部を見るのにたいへん
役にたちました。会場でも双眼鏡や単眼鏡を手に鑑賞している人をちらほら見かけました。