3月19日、森アーツセンターギャラリーで開催されている 《フェルメールとレンブラント - 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち》 を鑑賞してきました。 一週間前の3月11日に
《ダ・ヴィンチ》と《ボッティチェリ》展を見に東京へ行ったのですが、日帰りで3箇所見て回るのはとても無理なので最初からフェルメール・・・ は諦めていました。 しかしやはり
今見ておかないと後で後悔するかも。。という気持に駆られ、19日再び東京へ。年度末間際でとても平日の休みは取れないので、混んでいることを承知でお彼岸連休初日の
土曜日に。 案の定、到着した東京駅は人でごった返していました。 新幹線から地下鉄丸の内線、そして霞が関で大昔よく乗った懐かしい?日比谷線に乗り換えて六本木へ。
作品は60点あり、相当見ごたえがありました。想像していたよりも混んではおらず、比較的ゆったりと鑑賞できました。 フェルメールの 《水差しを持つ女》 は注意して見なけれ
ば見落としてしまいそうな部分も詳細に説明がなされていました。柔らかな光と微かな風のフェルメール、それに対してレンブラントの 《ベローナ》 は、暗がりの中で甲冑を
まとい、右に剣、左にはメドゥーサの盾を持った物々しいいで立ち、けれどそれに反する優しい表情、会場全体が薄暗く、作品にスポットが当たっており、またかなり大きな作品の
ため、その印象は相当に強いものでした。
私が特に気に入ったのは、
・アブラハム・ブルーマールト 《ラトナとリュキア人の農民》
・アールベルト・カイプ 《牛と羊飼いの少年のいる風景》 手前の大きな牛がなんとも好み
・レンブラント・ファン・レイン 《ベローナ》 戦闘のいで立ちと優しい表情の対比
・フランス・ハルス 《ひだ襟をつけた男の肖像》 楕円窓の中の光と影、今そこにいるかの様
勿論これ以外の作品も素晴らしく、まるでそれぞれの作品が個々の物語を持つ映画のようにも感じ、時間が許せばいつまでも見ていたいほどでした。
風景画も相当数展示されていましたが、ここでは3月11日にも持参した小さな双眼鏡が役立ちました。 作品にはかなり近づいて鑑賞出来ましたが、それでもつぶさに観察する
ことは叶わず、ならばと2mほど離れたところから双眼鏡で見ると、まるで17世紀のオランダの田舎や街角に佇んでいるような感覚を得ました。それほどまでに精緻。
夕方、東京から再び新幹線で長野へ、そして夜になると人が殆ど通らず、代わりに狸や狐が時折姿を見せる我が家に到着。 東京との環境との落差(どちらが上ということは
ない)がまた一段と新鮮。 芸術三昧の3月でした。
フェルメールとレンブラント展は、4月6日~5月8日まで、福島県立美術館で開催されます。東北のみなさん、ぜひ楽しんでください。
フェルメールの「白い耳飾りの少女」をモチーフにした映画を見たことがあるのですが、当時の絵具(顔料?)の作り方が印象的でした。昔の絵画は本当に限られた原料から生み出されていると思うと気が遠くなるくらいすごいことだと思います。
ほうが、現代人よりも想像力豊かだったのではないかな、と思いました。 何でも溢れかえっている現代は、その中を泳ぐことに必死で、ゆっくり考える
ことを時々忘れてしまい、とかく「引用と複写」でことを済ますことが多くなりすぎているような気がします。