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マルクス兄弟について・その1

2004-07-11 | movie/DVD
マルクス兄弟に出会ったのは、高校生のときです。
そのきっかけは、今では思い出せないけれど、
おそらく、イギリスのコメディグループ『モンティ・パイソン』の影響からでしょう。
マルクス兄弟とモンティ・パイソン…高校生の私の休日は、
社会を敵視したような、アナーキーでスピード感があり、
突拍子もない展開で笑わせてくれる

彼らの映画を繰り返し見ることで費やされました。

モンティ・パイソンのテレビ・シリーズや映画、ステージがDVD化されたのは
わりと最近の話ですが、私が他に更なるDVD化を心から願っていたのは、
マルクス兄弟の名作『オペラは踊る』です。

その『オペラは踊る』と、後期の出演作品5本がDVD-BOXで発売されました
今日も明日も一日中マルクス三昧です。
ということで、何日かマルクス兄弟についてひとつ勝手にお話しようかと思います。

マルクス兄弟は5人兄弟ですが、後期の映画には3人が出演しています。
太い口ひげをはやし、メガネをかけて、
葉巻をくわえながら落ちたものを探すように身を低くして歩き回るグルーチョ
彼は、女性(特に金持ち)が大好きで、
誰にでも平等に、辛辣なギャグでしか会話をしません。

三人の中で一番年長は、ちんちくりんな上着にヘンテコな帽子をかぶり、
これまたヘンテコなイタリア訛りで人を煙にまくチコ
彼は、得意なピアノ演奏とカードや競馬場などでいかさまをすることで、
生計を立てていると思われます。

最後に、金色の縮れた髪に小汚いシャツとトレンチコート、
ピエロのように大きいズボンを着て、ゴムの警笛とハサミを持ち歩いているハーポ
チコの相棒役であり、決して喋らないハーポは、
警笛や口笛で「会話」し、欲望の赴くままに周りのものを手当たりしだいハサミで切ったり、
かわいい女の子を見れば追い駆け回しますが、
ハープを前にすると、人が変わったように美しい演奏を披露します。

その3人が中心になったマルクス兄弟は貧しいボードビルの芸人時代を経て、
ブロードウェイでの初めての公演を成功させた後、
1929年に「ココナッツ」という、
ブロードウェイでも上演した作品で映画デビューし、
パラマウント映画に5本の作品を残しました。

このパラマウント時代の彼らの作品は、
映画としてはストーリーや構成のバランスが悪いように感じますが、
芸の充実度から言えばとても見ごたえがあります。

特に有名な5本目の作品『我輩はカモである』は、すでにDVDで発売されていますが、
戦争という政治的な素材をおちょくるおかしさと、
ぎっしりと詰め込まれた彼らの芸―

グルーチョのナンセンスで巧妙な話術、
そのグルーチョに劣らないシャレと独自の突飛な解釈で対抗するチコ、
有名な鏡の像やレモネード売りのシーンなどパントマイムがうまいハーポ。
末弟のゼッポもグルーチョの真面目な秘書役で出ていました―
が凝縮されていて、本当の意味で最後のマルクス兄弟映画といえる作品です。

対して、『オペラは踊る』は兄弟が当時最大手の映画製作会社だったMGMに移り、
『我輩は…』の興行的失敗を見直すように、
ラヴ・ロマンスあり、敵対する悪者あり、
大掛かりなミュージカルシーンありの今までにない映画的な要素が含まれ、
全体の構成が重視されている作品

その分、兄弟のギャグは以前より身を潜めています。

今回のDVDではその『オペラは踊る』と『マルクス一番乗り』に音声解説とドキュメンタリー、
他の巻にはグルーチョのインタビュー映像、歌の没テイク、当時の短編コメディが収録されています。

(次回は、DVDの感想など…)
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