ついに、「SHERLOCK シャーロック」S4が2017年の元日から三週連続で放送されました。
英国では第1話"The Six Thatchers"と第2話"The Lying Detective"が放送され、
最後の第3話"The Final Problem"は英米の映画館で劇場上映もされました。
We can reveal that episode 3 of #Sherlock series 4 will be titled ‘The Final Problem’. pic.twitter.com/YDNTBoxoSw
— Sherlock (@Sherlock221B) December 9, 2016
放送前から、クリエイターであるスティーヴン・モファットとマーク・ゲイティスの2人は、
昨年公開されたヴィクトリア朝時代を舞台にした特別編から元の現代に戻った今回のシリーズが
今までよりもダークなシリーズになると公言していました。
例えるなら「ダーク・チョコレートのフレーバー」とも。
放送前に公開された予告編や宣材写真も、不穏な雰囲気を感じさせるものです。
Series 4 Trailer #2 - Sherlock
3話分鑑賞済みの私ですが、正直、第3話のインパクトが強すぎて、
そこそこ衝撃的だった最初の2話の記憶が薄れそうになっています(笑)。
第3話は賛否両論入り乱れていて、製作側に嫌がらせとも言えるツイートをしているのも見受けられて胸が痛いです。
人気番組の宿命なのか、光と影が色濃く出ている感じ。
確かに、「あそこはどうしてそうなったんだ?」と疑問に思うところがいくつかあるのですが、
私はすごくエキサイトして見ていました。
マイクロフトの美味しいところがたくさん見られましたしね…
個人的な第3話の感想はまた後ほど…
さて、そんな中でも、第1話"The Six Thatchers"はコミカルな場面と胸が痛む場面が共存するエピソードかと思います。
タイトルの通り、"The Six Thatchers"は聖典の「六つのナポレオン」がベースになっています。
今回もまた個人的に笑えるところ、気に入ったところをメインに物語を振り返ってみました。
※マーク・ゲイティス贔屓の私が書いているため、例によってマイクロフトを何かと推しがちな点、あらかじめご了承くださいませw
【内閣府でも兄弟喧嘩】
S3最終話でチャールズ・オーガスタス・マグヌッセンを殺害したシャーロック。
エピソード冒頭に表示されるTop Secretの画面はD notice(D通告)、つまり報道機関に対して報道の差し止めを求める通告ということで、
今後100年は明るみに出ない情報ということ。
ホームズ兄弟は、ホワイトホールでスモールウッド議員との会合に出席します。
このマグヌッセン殺害という機密事項の今後の取り扱いについて説明をする兄。
一方で、当のシャーロックはわれ関せず、スマホをいじっていて…
怒られても無理はないw
そしていつの間にツイッター始めたんだ?
なんだか父兄面談で携帯いじってて怒られてる男子生徒みたいな弟ですが、さらに…
議員の目の前にあるテーブルの上のクッキーを手づかみし貪り始める始末。
単純に命が長らえたことが嬉しいのか、
ドラッグは陰性なのにテンションの高いシャーロック。
スモールウッド議員の秘書にちょっかいを出し始めると、さすがの議員もたしなめて…
どっちもホームズだからw
会合で確認したCAM殺害現場のフッテージは、シャーロックの銃口がCAMに向いていないものに修正されていて、
実際にはシャーロックが手を下したものが、他のスナイパーによって殺害されたように見えるように。
(視聴者としてはそれでいいのかと思いつつ)シャーロックは無罪放免となります。
しかし、それというのも死んだはずのモリアーティを"捕まえる"ため。
どうするつもりなのかと聞く議員にシャーロックはターゲットとして相手を待つと答えます。
【見ているが観察していない】
その後、モリアーティの仕掛けた"巣"の動きを見つけるため、猛然と依頼を解決していくシャーロック。
メアリーは女の子を出産し、ロザムンドと名付けます。("シャーロック"と命名するのは結局却下ですね。)
シャーロックとハドソン夫人とモリーはゴッドペアレンツに。
(テレグラフ紙にもモリーとハドソンさんが出したらしい本物の誕生報告記事が載っていましたね。)
Congratulations to the new parents… pic.twitter.com/qJxMHRVwIE
— Sherlock (@Sherlock221B) December 12, 2016
洗礼式でもスマホを手放さないシャーロックですが、子育てに忙しい夫婦を助けることもあるようで…
こんなシーンが見てみたかったですよねw
そして、ここでシャーロックがロージーに言う"You see, but you do not observe."は、
言わずもがな、「ボヘミアの醜聞」からの引用です。
【シャーロックの誕生日?】
慌ただしい日々の中、レストレードが大臣の息子チャーリーが不可解な死を遂げた事件を持ってきます。
パトカーに追いかけられた飲酒運転の車にぶつかって炎上した車から焼死体で発見されたチャーリー。
発見された時にはすでに死後一週間は経過しており、
しかも彼はその頃、チベットから父親にスカイプでテレビ電話で会話していたのです。
面白い事件に喜ぶシャーロック。S1S3の"Oh it's Christmas!"を思い出しますね。
解決したら手柄は全部持って行けと警部に言いますが、
警部はジョンがブログに書いたら結局シャーロックの手柄になると愚痴ります。
「自分で解決してない手柄を押し付けられたプリマドンナみたいな気分だよ」
確かにw 聖典でも手柄は警察に…とは言ってるけど、記事にされたら探偵が解決したって読者にバレますもんね。
現代版ならではのツッコミ。
そしておなじみ、「警部のファーストネームなんだっけ?」ネタw
ジョンに名前を確認したシャーロックは埋めあわせるように、後から正しい名前を付け加えます。
警部嬉しそう。
【サッチャーって誰?】
大臣の自宅に向かうシャーロックとジョンとグレッグ。
(大臣はチャールズ・エドワーズ。彼はドラマ「推理作家コナン・ドイルの事件簿」(Arthur & George )に出演し、
「コナン・ドイルの事件簿」(MURDER ROOMS)ではコナン・ドイルを演じています。)
シャーロックは応接間の一角にあるサッチャー元首相の写真が並べられたテーブルに違和感を感じ、
チャーリーの事件そっちのけで観察し始めます。
しかし、サッチャー自体に興味があるわけではないらしく…
サッチャーは脳内ハードディスクから削除されちゃってるんでしょうか。
シャーロックが違和感を感じた原因は、そこにあったサッチャーの胸像が侵入者に破壊されて置かれていなかったためでした。
チャーリーの件をあっという間に解決したシャーロックは、次に破壊されたサッチャーの胸像に夢中に。
この誉めたたえるところは、「六つのナポレオン」のレストレードの賛辞に基づいているのかな?
【機能してる赤子】
シャーロックはサッチャーの胸像の件にモリアーティが関与している可能性を探るため、マイクロフトの元を訪れます。
サッチャーと会ったことがあるというマイクロフト。
お前が言うか!と視聴者も皆思ったであろうw
そして、シャーロックからロージーちゃんの画像を見せられたマイクロフト。
functioningには「この人何言ってるんだ?」と思ってしまいますw
つまり、健康に見えると言いたいみたいです。
ボルジアの黒真珠(これは聖典からの引用)を始めとしたモリアーティが関与した事件を挙げるマイクロフト。
シャーロックは、サッチャーの件にモリアーティが関わっているかどうかはわからなくても、
そこに何か大事なことが関係していることは確信している様子。
情報を紡いで核心に迫りたいシャーロックにマイクロフトは「サマラの商人」の話を思い出します。
これは、冒頭でシャーロックが独白する物語でもあります。
バクダッドで自分を見て驚いている見知らぬ人を見た商人は、それが死神だと知りサマラに逃げる。
商人はここまでくれば死神に出会うこともないと安心していたが、
結局のところ死神に見つかってしまう。観念した商人は死神に尋ねる。
「何故私を見て驚いたんだ?」「なぜなら…今夜君と出会うことになっていたからだよ…このサマラで」
マイクロフトはシャーロックがこの話を嫌っていたことを思い出したのです。
出た、海賊ネタ。
マイクロフトは最悪の結果から逃れようとする商人をシャーロックに重ね合わせているのでしょうか…
【完璧な代役】
221Bに戻ると、いつものように依頼人の見た目から推理するシャーロック。
(依頼人が日本人の元カノの名前を刺青で彫っているという件、アカコなんて日本人はいないと思いますけどね…)
ジョンに意見を求めると…
代役の風船を置いて、ハドソンさんと数独やってたジョン。
すっかりシャーロックとの共生の仕方を熟知していますねw
依頼人を追い出したところにレストレードが持ってきたのは、破壊されたサッチャー像。
大臣の部屋で破壊されたものとはまた別のもの。
破片から血痕を見つけたシャーロックは、これをもとに容疑者の捜索に向かいます。
シャーロックはジョンとともに有能ハッカーに会いにホルボーンヘ。
レストレードはこれから法医学者とデートだと、いつも通りに見抜くシャーロック。
しかし、相手はシャーロックのおすすめではないらしく。
Mystic Megって英国の占星術師だそうです。
こんなやりとりをするあたり、警部がすっかり打ち解けてる証拠のようにも思えます。
【昼間に犬に起こった奇妙な事件】
ジョンはトビーというハッカーに会いに行くと思い込んでいましたが、
トビーは実はハッカーのクレイグが飼う犬。
捜索に使う犬のトビーは聖典の「四つの署名」に登場しますね。
「ジョンよりも有能な」メアリーと待ち合わせをして3人+犬で捜索に飛び出しますが…
トビーは起動するまで時間がかかるらしい。
ちなみにこれは、実際に演じている犬があまりに動かないために、後から付け加えたシーン。
マーク・ゲイティスも撮影当日、こんなツイートをしていました。
The dog did nothing in the daytime… #Sherlock
— Mark Gatiss (@Markgatiss) 2016年4月26日
これは聖典「銀星号事件」の中のセリフ"The dog did nothing in the night-time."に引っ掛けたツイートですね。
結局、バラ・マーケットにたどり着いた3人は犯人の行方を追うことはできず。
シャーロックはハッカーのクレイグから得た情報から、
サッチャーの胸像は6体あることが判明。
ちょうどその時、持ち主の一人が殺されたとレストレードから連絡が入ります。
Gelder and Co.という業者の名前も「六つのナポレオン」と同じですね。
【胸像の中身】
そして、残された胸像の持ち主、リーディングのJack Sandefordの家で犯人を待ち受けるシャーロック。
予想通り、男が部屋に忍び込み、胸像を持ち出そうとします。
乱闘になった男を胸像で殴り、モリアーティの関与したボルジアの黒真珠が出てくると確信したシャーロックは、
胸像を床に叩きつけ、中に隠されていたものを見つけます。それは…
AGRA!
続く…