だから、ここに来た!

いらっしゃいませ! 英国旅行記の他、映画や音楽、テレビドラマ、演劇のレビューを中心にお贈りしております!

クリスマスにぴったりのスパイスリラー『ブラック・ダヴ』

2024-12-15 | TV/その他

12月5日よりNetflixで配信が開始していたものの、連勤中だったため、
週末になったらゆっくり見ようと楽しみにしていた

キーラ・ナイトレイベン・ウィショー出演のドラマブラック・ダヴ
一日で全6話完走しました。英国ドラマは話数が少なくて嬉しいね。

国防長官ウォレス・ウェッブ(アンドリュー・バカン)の妻だが実はブラック・ダヴという組織のスパイであるヘレン(キーラ・ナイトレイ)。
クリスマスパーティー中に彼女の心の拠り所だった不倫相手のジェイソン(アンドリュー・コウジ)が殺されたことを
彼女の指示役であるリード(サラ・ランカシャー)が知らせに来る。
ジェイソンは連絡を取り合っていた2人の知り合いと同時に殺されたため、
リードはヘレンがブラック・ダヴであることや彼女が夫の情報を組織に提供していたことが外部に漏れることをおそれ、
ローマにいる殺し屋のサム(ベン・ウィショー)を呼び寄せ、彼女の身を守り、ジェイソン殺害の真相を探るよう命じる。

見る前にあらすじも全く入れずに見始めたので、
敵対するスパイ同士なのかと思ってたキーラ・ナイトレイとベン・ウィショーが
仲良しコンビなことに驚いたし、血飛沫が飛ぶようなシーンでもニコニコしてしまいました。

ジェイソン殺しと同時進行で中国大使が亡くなった事件が起こっていて、
この2つがどう結びついていくのか?と言うのが視聴者を惹きつけさせる軸になっていく。

ヘレンとウォレス、そしてヘレンとジェイソンがどうやって出会ったのか、
何故サムが7年もロンドンを離れていたのか、何故サムはヘレンに借りがあるのか、
初めはわからない経緯がだんだんと明かされていくので、もう一周見直しても楽しめそう。

とにかくヘレンがよく出来た妻であるのと同時に有能なスパイなので
ハラハラはさせられても安心して見られる
欲を言うと、そこがギリギリの緊張感がないっていうこのドラマの欠点でもあるかも。

ベン・ウィショー演じるサムは心優しき殺し屋で、初対面のヘレンにも挨拶を忘れない律儀な子(笑)。
匿っている中国大使の娘に差し入れとしてチョコレートケーキとシャンパンを買ってくるような生活感のなさもあったり。
恋人への断ち切れない思いや仕事の失敗を引きずってるような、弱い部分が隠し切れてなくてとても魅力的。
サムと手を結ぶ若手女殺し屋コンビ、ウィリアムズとエレノアも
この二人だけでスピンオフ作れそうなくらいキャラが立ってて楽しい。

そして、ヘレンのボスであるリードが「ハッピー・バレー」のサラ・ランカシャーだったり、
サムを殺し屋としての雇い主レニーが「哀れなるものたち」に出演してた記憶も新しいキャサリン・ハンターだったり、
脇を固めるベテラン女優勢も存在感あって見応えがある。
このドラマ、政治家以外裏社会のボスはみんな女性なのがかっこいい。最高!

あとは、ロンドンのクリスマスの雰囲気がたっぷり楽しめるのも魅力。
冬のロンドンは凍れるけど、見てると恋しくなっちゃうなぁ。
このパーティーはサマセットハウスだなーとか、この楽器屋はフォイルズの向かいにある…とか、
サムの元彼の家はショーディッチだなーとか、自分もそこにいるかのような気持ちになってしまう。

ロンドンが舞台のスパイもので、ベン・ウィショーが殺人事件の真相を探るというと、
ついついロンドン・スパイのことも思い出しちゃいます。
BBC TWOで放送した後はNetflixで配信してたし… 再配信してくれればいいのにね。
「ロンドン・スパイ」はベン・ウィショー演じるダニーがかなり孤独に追い込まれて可哀想だったので、
今回、仲間やボスが多くて何だかホッとします。

そんなわけで、後で追記するかもしれませんが、第2シリーズ配信も決まっているようだし(やった!)
12月のクリスマスシーズンにぴったりのドラマなので、
まだ見ていない英国ドラマ好きは12月中に必ず見るように!!

Keira Knightley Comes to TV as a Covert Spy in Christmas Thriller Black Doves

Keira Knightley Comes to TV as a Covert Spy in Christmas Thriller Black Doves

Watch the series now.

Netflix Tudum

 

 

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ナショナル・シアター・ライヴ「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」

2024-07-15 | TV/マーク・ゲイティス

7月5日(金)からナショナル・シアター・ライブの作品として、
映画館上映が始まった舞台「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」(以下、TMaTC)
初日やトークイベントを含め、合計3回映画館で鑑賞しました。

2023年6月に現地ナショナル・シアター(以下NT)で観劇した時の記事はこちら↓(NTで観たのは2回。)

 

ナショナル・シアターで舞台「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」を観る - だから、ここに来た!

■2023年6月7日■続きついにこの度の最大の目的であった、サム・メンデス演出の舞台"TheMotiveandtheCue"を見に行くために、サウスバンクにあるナショナル・...

goo blog

 

ちなみに観劇後、ジョン・ギールグッド卿を演じた私の大好きなマーク・ゲイティスは、
この役でオリヴィエ賞演劇主演男優賞を受賞しました。

Mark Gatiss wins Best Actor for The Motive And The Cue | Olivier Awards 2024 with Mastercard

喜びで震える手で投稿する当時の私↓

実はNTで見た時には、戯曲も劇評もたくさん読んでいたし、セリフの内容は頭で理解出来ていたけれど、
旅の疲れもあって感情は完全についていっていたわけではなかったので、
それぞれの演技を素晴らしいと思っていても、そこまで感動出来る芝居だったのだろうか?と思うところがありました。
演劇賛歌としてのTMaTCは、理解しきれていなかったかもしれません。

ところが、今回映画館で見たところ、特に第2幕以降、涙が止まらなくなってしまいました。

NTLive『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』予告編

特に胸打たれたのは終盤。

演出家のジョン・ギールグッドが主演のリチャード・バートンに、
よりよい報酬がもらえる映画にも出ることが出来るのに、何故舞台に立つのか?と問う場面。
バートンはいくつか答えるけれど、ギールグッドは「違う」と否定します。
「まるで答えを知っているみたいな物言いだ。教えてくれ、答えを…」とバートンが言うと、
「芸術が好きだからだ」と答えるギールグッド。
他の芸術にはない、観客との美しい劇空間を欲しているのだと。

このセリフに私はボロ泣きしてしまいました。
と言うのも、先月2本の舞台を見ていたことが大きく影響しています。

 

ラッパ屋 第49回公演 「七人の墓友」/ナイロン100℃ 49th SESSION「江戸時代の思い出」 - だから、ここに来た!

日本の演劇は随分ご無沙汰になっていましたが、気になっていた芝居を6月中に2本見ることが出来ました。1本目はラッパ屋第49回公演「七人の墓友」。ラッパ屋を劇場に見に...

goo blog

 

TMaTCを現地で観に行った時も、他にストレートプレイやミュージカルを見ていたので、
現地で演劇の空気にも触れ続けていましたが、つい先月、日本で続けて舞台を見ていたことで、
10代〜20代の頃の演劇を好きになり始めた頃の興奮を思い出していました。

日本の舞台で久しぶりに観客や客席を巻き込んでの演出を体験したり、
笑いが起こって客席全体が温かい雰囲気になったり、
劇団と観客との親密な関係が感じられるような空間にいたことで、
劇場の中で観客も一体になっているという感覚を味わったばかりでした。

シェイクスピアのような古典劇ではありませんが、演劇でないと味わえない体験がそこにはあるのだと、
はっきりと思い出したタイミングでもあったのです。

何故そこに行くのか。それは、そこでしか味わえない体験があるから。
演者にとっても観客にとってもそれは同じなのです。

さらに、コロナを経ての上演であることも大きな意味があるでしょう。

二幕の冒頭でノエル・カワード‘Why must the show go on’が流れますが、
NTで見た時にはサビに入ったところで笑いが起こっていました。
この曲は、まさにこの舞台のテーマと言っても過言ではないと思います。

なぜ芝居を続けるのか… 必要不可欠なものでもないのに…

劇中のバートンやギールグッドだけでなくロックダウン中に演劇関係者が皆が考えていたであろうこの問い
この舞台の演出家であるサム・メンデスもこの問いをコロナ禍で抱えながら
演劇界の状況を受けてこの作品を作るに至っています。
そして観客としての私も、当時客席が埋まっていない公演を見たりした後に、
最近の活気が戻った日本の舞台を見て良かったなぁと思ったばかりだったので、
ギールグッドの与える答えにグッときてしまうのであります。

そしてそれを乗り越えて、カンパニーが一つの芝居を作り出すと言う、
その仲間意識も困難な時期を経て貴重なものとして感じとることが出来たためかもしれません。
(TMaTCでも、例えばこの作品の原案となった本を書いたレッドフィールドや、オフィーリア役の子が
 初めはバートンとテイラーのホテルの部屋に入るのも緊張していたのに、
 最後のパーティでは皆と打ち解けた様子なのがリハーサルの時間の流れを感じさせました。)

それぞれの登場人物の演技や舞台にかける思いを感じられたのも感動出来たポイントの一つ。
ギールグッドと対立して怒りに任せて演技するバートンに
「怒りに駆られて木に牛を掘っても美しくなり得るか?」 と言う問いを掲げるレッドフィールド。
映画で力を発揮出来ていないマーロン・ブランドの出演作品を同業者として冷静に記憶し観察しているエリザベス・テイラー
劇中に登場する役者たちはそれぞれに俳優としての矜持を持っていることがわかります。
(バートンに「やめてもいいのよ。訴えられても映画に何本か出れば賠償金払える」とか、
 過去の名優である演出家として皆に讃えられながらも役者としての出番を失っていたギールグッドに
 「また返り咲ける!」と言って元気づけることが出来るのは、エリザベス・テイラーだからこそだよな。)

そして、エネルギッシュで対抗心むき出しなバートンを恐れながらも、
舞台役者としての勇気を奮い立たせて対峙するギールグッド。

バートンがハムレット向きの役者ではないと思いながらも
「久しぶりに条件のいい仕事だったから」と演出を引き受けたギールグッドは、
自分のセクシャリティまで揶揄されながらも、最後の最後までバートンに付き合い、舞台へと送り出す。
バートンがオールドヴィックでギールグッドが演じたシェイクスピアの役の数々を挙げていくところで、
本当に彼が自分を尊敬しているのか疑わしく思っていたギールグッドの感極まった表情は、
劇場で見た時よりも表情がはっきりと見てとれて、こちらまで胸を動かされます。

NTで見た時には、バートンのギールグッドの対立の印象が強く残っていて、
気まずさの方が記憶に残りやすかったけれど、改めて日本語字幕付きで見ることで、
双方がよりよい芝居にしようと思うあまりの対立であることがより鮮明に伝わってきました。
テイラーの助言もあり、父親に対するコンプレックスと不満感という落としどころを見つけるところで、
二人は一定の合意を得るに至る過程は感動的です。

 

感動ポイント以外で、TMaTCの日本語上映で少し気になったのは、
ギールグッドのセクシャリティ描写が直接の言及以外にちゃんと伝わってるのかってところ。
例えば酔っ払ったバートンがギールグッドを揶揄してわざとナヨナヨした手振りをしてるところは、
あまり日本語字幕にそのニュアンスが乗っていなかったと思います。
センシティブなので表現が難しいのかもしれませんが、
あそこでバートンが取り返しのつかない侮辱をしたことで緊張が最高潮になるので、そこははっきりと表現してもらいたかったです。

そして、ホテルに男娼を呼び込んだギールグッドが傘を落として警官に呼び止められた際に「妖精」呼ばわりされた件。
「妖精」はゲイの隠語ですが、そのまま訳してしまうとちょっとわかりにくくなかったかなと心配。
(ゲイが集まる誕生日会の騒動を描いた舞台"The Boys in the Band"にも出てきました。)

 

ところで、今回上映を観た後に同性愛者としてのギールグッドの記事をずっと読んでいましたら、
どうやら、劇中のパーティーの場面でギールグッドが話題を振った
「最近猥褻な電話かけた人ー?」って台詞は実際に本人が言っていたらしい。
しかもジュディ・デンチにも「卑猥な電話かかってきた?」と訊いてたとか(笑)。
サー・ジョンは、実は下ネタ大好きだったみたいですね。
「ベッドに入る前にはいちゃつきがつきものだからな」とか
「私は緊張しないために自慰する」とか性的なジョークが織り交ぜられていたのは、
こういった証言を元に反映させてるのかもしれません。

 

映画館で見直して、現地の劇場の空気感も思い出したりしました。
テイラーとギールグッドの洒落た会話の朝食シーンで爆発的に起こる笑いや、
ギールグッドがバートンに「君のハムレットは馬鹿げている!」と本音を言うシーンで観客の息を呑む音。
ギールグッドの”Speak the speech”の独白を見守る時の静けさ。

Day 11でバートンがスクリーンの前でタバコを吸いますが、
ジョニー・フリンは毎回煙で綺麗な輪っかを作ってたのも思い出します。
映像だと引きなのでわかりにくいのが残念。

バートンが台詞を叫ぶように言うため、ギールグッドが”You shout wonderfully.”とオブラートに包みきれずに言う場面や、
バートン演じるハムレットがポローニアスを殺してしまうシーンで”MOTHER! MOTHER! MOTHER!”と呼び、
ガートルードが「あの子が来るのが聞こえます」と言う場面も、
デカい声で呼んでるのに「聞こえます」もないだろう!と笑いが起こってたっけ。
そんな空気感も、やはり劇場でしか感じられない体験ですね。

 

7月15日にTOHOシネマズ日本橋で行われたナショナル・シアター・ライヴのトークイベントでは、
翻訳家の松岡和子さんと柏木しょうこさんが登壇されました。

松岡先生はリチャード3世の演出をしていた若かりしサム・メンデスにインタビューをしたことがあり、
円陣に椅子を並べて読み合わせすることが効果的だったと話していたそうで、
リハ画像を見て今でもそのやり方が変わっていないことに感動されていました!

お二人ともバートン版のハムレットが大好きで、
定番と思われているオリヴィエの映画版ハムレットは
「生きるべきか死ぬべきか」の場面といい、ツッコミどころ満載だと(笑)。

それに、NYの前衛集団ウースター・グループが、
バートン版ハムレットの映像を流しながらその前で全く同じように演ずるパフォーマンスをやっていたという興味深い話題も。

 

Edinburgh festival:Wooster Group take on Shakespeare with Hamlet remix

The influential New York ensemble tell Hermione Hoby what prompted them finally to tackle the bard – and why Richard Burton was an inspiration

the Guardian

 

今回の舞台にも取り上げられたり、いつの時代も注目されるバートン版は、
数々演じられてきた20万人の中の伝説的なハムレットの一人なんですね!

 

トークイベントで今回の舞台の役者の話題は出てきませんでしたが、
マーク・ゲイティスに関することなら私におまかせを!!
公演の発表以降、リハーサル&本編&舞台裏写真、予告編、インタビュー、劇評、オリヴィエ賞授賞式の様子を、
以下にまとめていますので確認されたし!↓

 

舞台"The Motive and the Cue"「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」まとめ

2023年に英国ナショナル・シアター等で上演され、日本のナショナル・シアター・ライブでも2024年7月より映画館上映されるサム・メンデス演出、マーク・ゲイティス出演の舞台...

Togetter [トゥギャッター]

 

自分の一番好きな俳優が出ているから見る、と言う使命感などすっかり忘れて、
この作品を見るたびに物語自体の世界に没頭してしまいますが、
カーテンコールになると、こんなに素晴らしい作品にマークが出演していること、
何よりこの作品を感動的なものにしている一人がまさに彼であることにさらに涙してしまいます。
何度見ても心動かされる作品です。

 

余談↓

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ラッパ屋 第49回公演 「七人の墓友」/ナイロン100℃ 49th SESSION「江戸時代の思い出」

2024-07-14 | stage

日本の演劇は随分ご無沙汰になっていましたが、
気になっていた芝居を6月中に2本見ることが出来ました。

1本目はラッパ屋 第49回公演 「七人の墓友」
ラッパ屋を劇場に見に行くのは、第47回公演の「君に贈るゲーム」ぶり。
前回はまだコロナの影響が残っていたため、客席もいつもより空席が目立っていて、
ボードゲームを楽しむ登場人物たちもマスクをしていました。

今回は劇団の取り置きシステムを利用して前日にチケットを確保しましたが、
今回は平日でも席がかなり埋まっていて、観客が着実戻っているのを実感。

家族恒例のバーベキューパーティーに
食品会社に勤める長男、アラフォーで独身の長女、芸術家としてNYに住む次男が集まる。
次男はNYから恋人を連れてきて自分がゲイであることをカミングアウトし、
長男は職場の上司でもある一人暮らしの義父と同居することを告げると、
次々と納得いかない告白をされた頑固者の父は憤慨。
さらには、長年本音を押し込んでいた母が
「お父さんと同じお墓に入りたくない」と言い出す。
実は母は朗読サークルの仲間たちと一緒のお墓に入りたいと考えていた。
朗読サークルのメンバーは元水商売や大学の教授、熟年離婚した女性など様々。
母は父方の墓が岡山にあるが、遠いし「隣に八つ墓村のモデルになった村がある」から入りたくないと、
パーティーの前から長女に打ち明けていた。
父の理解を得られないまま、朗読サークルのメンバーは、
次男の恋人の従兄が住職を務めるお寺の桜の幹の下に骨を埋める樹木葬を見学することになる。

老後が心配になってきたお年頃の私にとっても気になるお墓が主題とあって、
これは勉強のためにも見ておかねば!と思った次第。

今作は主宰の鈴木聡さんが俳優座のために書き下ろした作品で、
当て書きをするラッパ屋では珍しく「当て書きしていない台本」を使っての公演だそうです。
それなのに、まるで演じる役者を想定して書いているように、
キャラクターと配役がぴったりあっていました。
俵木藤汰さん演じる鉄鋼業界にいた頑固おやじや、
対照的に能天気な雰囲気のおかやまはじめさん演じる友人、
弘中麻紀 さんは年齢よりも年上の、のんびりしていそうなのに芯が強そうなお母さん。

常連の客演陣、松村さんや谷川さんは、今回朗読サークルのメンバー役。
松村さんは女性役でビックリ!でも全然違和感なし!

劇団メンバーそれぞれの個性が際立っていて、それぞれのキャラクターが立っていて覚えやすい。
それが40年も劇団が続く秘訣のひとつなのかなと思ったりしました。

果たしてお母さんは友達と共同墓地に入ることになるのか?
お父さんは許してくれるのか?が最後までの注目ポイントになるわけですが、
最後のシーンが説明は最小限にとどめられているけれど、
その後の未来がわかるような幕引きになっていて、なるほど!と納得。
個人の意思を尊重することも、家族でお墓に入ることもどちらも肯定するような終わり方に、ホッとさせられました。

ただ、上演時間が長いわりに、ちょっと内容がのんびりしているようにも感じられたので、
もう少し端折れたところがあった気もする。
「筋書ナシコ」のように、繰り返し見たい!とまでは至らないまでも、
見たことを忘れられないような温かい1本でした。

2本目はナイロン100℃ 49th SESSION「江戸時代の思い出」。ナイロンこそ数年ぶりの観劇。
私は仕事の都合上、先行予約でチケットを取ることが難しいので、
当日券をチャレンジすることが多く、それでも大抵は立ち見でも入場できるのですが、
ナイロンは以前、当日券に並んでも入れなかったことがあり、
その失敗経験の印象が残っていて、確実に確保できる日程でないと無理だろうなと、
足が若干遠のいていました。

しかし、今は日にちによって直前に予約出来る当日引換券が出ているではありませんか!
席の場所は期待できないかもしれないけれど、見られるという確約が得られるだけで万々歳!
仕事終わりに見に行ける平日に席を確保しました。

 

ナイロン100℃が紡ぐ“笑いのための笑い”、30周年記念公演「江戸時代の思い出」開幕(舞台写真 / コメントあり)

「ナイロン100℃結成30周年記念公演 第2弾 ナイロン100℃ 49th SESSION『江戸時代の思い出』」が、6月22日に東京・本多劇場で開幕した。

ステージナタリー

 

「江戸時代の思い出」は主宰のKERAさんがX(Twitter)でタイトルだけは決まっていると投稿していたので、
そこからどのように話が作られていくのか興味津々。
かなりくだらない内容だろうなと想像はしていましたが、
想像通り出鱈目で、なんの教訓も得られない、ただただ脱力するような笑いが続いていくナンセンスコメディでした。

茶屋の前で通りがかった侍、人良(大倉孝二)に声をかける町民の武士之介(三宅弘城)。
彼は自分の思い出を通りがかりの者に話して聞かせているらしい。
人良は断るが、しぶとい武士之介はこれから起こる未来の出来事を「思い出」として話して聞かせるという。
興味を持った人良に、現代の、30年前に地面に埋めたタイムカプセルを掘り起こすために集まった
小学校の同級生たちの再会を話して聞かせる武士之介だったが…

今回の舞台は珍しく全4話オムニバス形式になっていて、
第一話がタイムカプセルを掘り起こそうとする小学校の同級生の話、
第二話が飢饉の中の茶屋を舞台にした話
第三話が顔が尻の形をした侍の話、そしてエピローグと言った具合。

KERAさんもパンフレットで話していたように、
特にオムニバスである意味はなさそうな内容ではあるけれど、
このエピソードの合間に、客席の一人にスポットライトが当たって、
「なんなんだこの話は…」とスポットライトが当たった人の心の声のようなモノローグが勝手に流れる演出が入る。
3人目はただ、いびきの音が流れたり(笑)。
4人目に上手最前列にスポットがあたり(これは役者)、
「こんなつまらない芝居、我慢できない!」と連れの女性を連れて劇場を出て行こうとする。
「イギリスではつまらなければ観客は途中で出ていく。野田秀樹が言っていた」と言いながら。
そこに、「本多劇場の者」を名乗る落ち武者が登場して、
「この国では途中退場は許されません!」と道をさえぎる。
…とこんなバカバカしい繋ぎが入るのが面白い。

かと思えば、武士之介と人良が江戸時代なのにゴザひいて(将棋ではなく)チェスをやり始めてて、
それに誰もツッコむ様子もなく、お尋ね者の「顔が尻の形」のケツ侍(!)が現れたものだから
2人は驚いてチェス盤をひっくり返してしまい、
驚かせたケツ侍がどちらも勝っている状態に駒を置き直してあげて二人が
「なんて優しいやつなんだ!」と感動するくだりがあったりもする。
尻の顔を持つ侍も訳がわからないし、そもそも何故チェスなのかもわからないし、
どちらも勝っている状態ってのはありえないし、とにかく全てが出鱈目

そんな感じで、とにかくオチもなく意味もない緩やかな笑いが連綿と続き、文字通り脱力させられてしまう。
爆笑というよりはずっとクスクスさせられる感じ。

そして、終演後に劇場を出た時、びっくりするほど体が軽い。なんで!?
下手なマッサージよりもよほど体がほぐれる!びっくり!
芝居を見終わってこんな感覚を味わったのは初めて。

ナンセンスは、一見適当に作ればいいように思えるけれど、実はとても高度なコメディ。
「江戸時代の思い出」も、適当な要素を並べ立てているように見えるけれど、
同じことは3回以上は繰り返さない等、体が心地よく感じる笑いのセオリーに則って書かれているのがわかります。
職人によって醸造された良質な日本酒のように
水のように飲みやすく見えても、中身は高度な技術によって構築された度数高めの喜劇
こんなナンセンス喜劇は長年作り続けてきた職人でないと作り出せない味だなと、
馬鹿馬鹿しくも上質な時間を過ごせて満足致しました。

偶然にも、ラッパ屋もナイロンも今回が第49回公演。
そしてラッパ屋は40周年、ナイロンは30周年を迎えました。

ラッパ屋のパンフレットを読んでいると、外部でも活躍している劇団員の皆さんが
それぞれ劇団をホーム=戻る場所だと感じているのが分かって、なんだかとても羨ましい気持ちになるし、
一方ナイロンは最近劇団員の訃報が続いている中で、今でも高度なコメディを手練れな役者の皆さんが上演し続けていて、
長く上演しづつける大変さやその尊さを観客としてヒシヒシと感じます。
それと同時に、近年ロンドンの舞台のことばかり考えていた私ですが、
日本の演劇を好きになり始めた10代後半から20代の頃のワクワクする興奮も思い出して、
ああ、やっぱり演劇っていいな…としみじみ感じた次第です。

 

 

 

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【涙の?最終回】「9から始まる奇妙な物語」最終話『Plodding On』【ネタバレ注意】

2024-06-16 | TV/9から始まる奇妙な物語

 

2024年6月12日に最終回を迎えた「9から始まる奇妙な物語」(以下IN9)
各シリーズのエピソードリストを作成中ですが、
この最終回については独立した記事を作ることにしました。
というのもこのエピソード、これまでの出演者が再登場したり、過去のエピソードの引用が満載なのです!
ストーリーの感想を交えつつ、どこからの引用なのか触れながら振り返りたいと思います。

ちなみに、タイトルの『Plodding On』は”Love's Great Adventure”(S5E3)の仮タイトル。
本編でもセリフとして登場していました。

【かくれんぼ、再び】

IN9全シリーズの打ち上げパーティで貸切中のクラブ「#9」。
男女共有トイレの個室でコカインを吸い始めた
キャサリン・パーキンソンティム・キー

キャサリン・ケリーが出演した"Ctrl Alt Esc"(S9E4)の撮影中にスティーヴ・ペンバートンが病院に運ばれたという噂や、
英国の俳優は誰もが興味津々な、Amazonが進行中のダンテの「神曲」を元にした新作ドラマについて話す。

●感想/引用元●

キャサリン・パーキンソンティム・キー、そして最後に入ってくるアン・リード"Sardines"(S1E1)の出演者。
キャサリンがトイレで鏡を見たり石鹸の匂いを気にする仕草や、
ティムと狭い個室で異様な近距離で押し込められるのは"Sardines"と全く同じ。
液体石鹸をポンプごともぎ取って持ち帰ろうとするキャサリン、大胆すぎる(笑)。

ヤクの吸引のために取り出したボディショップの割引券は"Tom & Gerri"(S1E2)にも登場。
途中で"Paraskevidekatriaphobia"(S8E3)に出演していたアマンダ・アビントンがトイレに入ってくるけれど、
ティムがアマンダのことをキャサリンだと勘違いして「私がキャサリンなんだけど…」と突っ込まれるのが気まずい(笑)。
でもこれも"Sardines"の引用。

Amazonの新作ドラマを説明するキャサリンが「ダンジョンズ&ドラゴンズみたいな」と説明するところは
"Simon Says"(S6E2)のエージェントのセリフからの引用。
トイレの個室のドアに貼られている「9」の文字も、全て過去のエピソードのオープニングで使われた「9」がそのまま使われています。

 

【幻のエピソードの復活?】

スティーヴを探しにきたリース・シェアスミスはトイレでロビン・アスクイズに遭遇。
リースはIN9が終わった後はスティーヴとBBCのクライムコメディドラマ『Plodding On』を手がけることをロビンに明かす。
一方、ロビンはリースにフェイクとして発表されていた幻のエピソード"Hold on tight"をドラマ化しようと持ちかけ、
企画メモ持参で下ネタ満載なアイディアを提案。

●感想/引用元●

"Hold on tight"は視聴者が待ち焦がれていた? バスを舞台にしたS8エピソードの一つとして
ロビン・アスクイズがゲスト出演すると発表されていましたが、
実はこれがフェイク情報で、実際に放送されたのは全く違う、クイズ番組を舞台にした"3 by 3"(S8E5)だったのです。
リースは長年「9番のバスを舞台にしてと言われるけど、そんなの作れるかよ!」と言い続けていたので、
ついにバスエピソードが!とみんなの期待が大きかったこともあり、すっかり騙されたのでした。

ロビンのアイディアはほとんど下ネタばかりで
「クレバーな部分は2人でやってくれ。死んでるとか幽霊とか…いつもやってる手だろ」と人任せ。
リースは「("実は死んでる"ネタは)3回しかやってない」と答えますが、
この3つは"Tom & Gerri"(S1E3)"The 12 Days of Christine"(S2E2)"Bernie Clifton's Dressing Room"(S4E2)でしょうか。

【スティーヴの野望】

スティーヴは電子タバコを吸いながらトイレの洗面鏡に向かって役作り。
実は"Ctrl Alt Esc"(S9E4)の撮影中に倒れたのは、ダンテの「神曲」のショーランナーと会うために使った仮病で、
役を得ただけでなく、LAとカナダで7年間にわたる撮影に参加することになったとロージー・カヴァリエロに明かす。

●感想/引用元●

ロージー"The Understudy"(S1E5)でスティーヴ演じる舞台俳優トニーの着付け係に扮していたため、
ここでもスティーヴの忠実な着付け係に徹しています。
ロージーがバーから持ってくるカクテルは、"Diddle Diddle Daiquiri""Bloody Merrily Merrily"
"Riddle of the Aprerol Spritz"といった過去作をもじった名前ばかり。
こんなカクテル出すお店を作って欲しい!
ちなみにこの後に出てくるバーカウンターにあるメニューには
"Mothers Ruin Martini""Whisky Sourdekatriaphobia""Last Night of the Pimms"といったものもあったみたい

靴箱の中に💩が入っているのは”La Couchette”(S2E1)の引用で、
スティーヴは「(出演者だった)ジャック・ホワイトホールへのプレゼントだ」と説明しています。
(テーブルの下にあるスティーブの靴は"Diddle Diddle Dumpling"(S3E5)の引用だという説を見ましたが、
 そのカットが今のところ見当たらず…)

スティーヴがロージーに「電話番号知ってる?メイド役にぴったりだと思う」と聞くモニカ・ドラン"Once Removed"(S4E3)の出演者。
ロージーがメイドの役のためにビデオを送ったって言ってるのに、彼女に電話番号を聞くなんて残酷〜。
そして冒頭に出てきたアン・リードがタクシーに乗せられてるとサラッと言及されてるのが面白い。

 

【コンビ解散の危機】

ニック・モハメッドはポッドキャスト"Mountain to Mohammed"第279話をトイレで収録中。
インタビューされるスティーヴはAmazonのドラマに出演することを明かすが、偶然個室に入っていたリースに聞かれてしまい、
動脈瘤の疑いで倒れたのはオーディションのための仮病であったことがバレてしまう。

●感想/引用元●

つい最近までチャンネル4のゲーム番組"Taskmaster"でスティーヴが仲良く共演してたニックの登場!
ニックは出演したエピソード"Simon Says"(S6E2)のようにポッドキャストを録音しています。
全部自分の話にすり替えがちなニック(笑)。
合間で唐突にCMを入れるのはポッドキャストあるあるですね(笑)。タイミングが絶妙。
そのCMの中に"Wills Unlimited"と出てきますが、これは"Dead Line"(ハロウィーンSP)のラジオで流れる保険会社名と同じ。
スティーヴがパーティーについて表現した'I feel like my life is flashing before my eyes'は、
"The 12 Days of Christine"(S2E2)のクリスティーンのセリフを彷彿とさせます。

個室から出てきたリースにニックが「大きい方小さい方、どっち?」と聞く身振りは”A Quiet Night In”(S1E2)からの引用。
ニックがスティーヴのオーディションの日にちを正確に覚えているのは、
最近見たばかりのニックの「トランプの全部の絵柄を順番に記憶するテクニック」の動画を思い出しました。
そしてニックが去り際に残した「BAFTAで頭を殴らないようにね」は、やはり"Simon Says"(S6E2)で凶器に使われたNTAのトロフィーの引用。
リースがスティーヴを詰る’You lying f*cking monster!’は"The Bill"(S3E2)からの引用。

一触即発となるリースとスティーヴですが、
スティーヴへの想いを話すリースの様子はお笑いコンビの再会を描いた
"Bernie Clifton's Dressing Room"(S4E2)を思い出させます。
「ちっぽけな仕事部屋でコーヒー2つ持ってくるとお前が死んだふりをしてて一緒に笑う」というのは、
実際に2人が仕事前にやっているお約束の儀式。

仮病を使われていただけでなく、7年もの間、離れて撮影することを知らされていなかったリースは
"Bernie Clifton's..."で演じていたトーマスとはまた少し違った、
愛情と憤りと戸惑いの入り混じった感情を込めてスティーヴに訴えます。

「お前は親友なんだ」
「今度は"Merrily Merrily"の引用か?」
「違う、俺は本気だ!倒れた時は本当に怖かったよ。倒れたふり、だったか。
 お前が死ぬんだと、失ってしまうんだと思った。
 そしてまた失おうとしてる。本当の友達はほとんどいないのに!」
「リース。長いこと一緒に仕事をしてきた。もう僕らが友達なのかわからないよ」

(スティーヴは実際2015年に倒れて病院に運ばれたことがあったので、リースが本気で心配するのも無理はないのです…)
そして気まずい雰囲気の中、"Bernie Clifton's..."と同じようにシアン・ギブソンが2人を呼びにきます。

 

【'Time To Say Goodbye'?】

フロアでは全シリーズのエピソードから編集したフィルムが上映されている中、
リースはエミリー・ハウレットと手話で会話を交わし、
スティーヴはバーでジェイソン・ワトキンスから「神曲」への出演を祝われる。
離れたところからリースの様子を気にするスティーヴだったが、
ロビン・アスクイズに引き留められ、話すタイミングを失ってしまう。

●感想/引用元●

クラブの壁には"Misdirection"(S5E4)"Mr. King"(S7E2)等の過去のポスターが飾られています。
テーブルには"Nana’s party”(S2E5)のケーキが。
前述のカクテルと同様に、フードメニューの中にもシリーズにちなんだもので、
"Zanzibar"(S4E1)で催眠術師がかける魔法の言葉「スパゲッティボロネーゼ」
"To Have and to Hold"(S4E4)に登場する「カップヌードル」
"Lip Service"(S6E3)のホテルに置いてある「ロータスビスケット」
"How Do You Plead"(S6E5)の会話の中に登場する「みかん」
"Kid/Nap"(S7E4)の合言葉の一つ「グラノラ」
"Mulberry Close"(S9E3)に出てくる犬の名前「ポップコーン」があるとか。(解読した人すごい!)
 また、バーのテーブルには"Wuthering Heist"(S6E1)のコメディア・デラルテの仮面や
"Mr King"(S7E2)のマスクも置いてあります。

ビデオに使われている曲は"The 12 Days of Christine"(S2E2)で使用された'Time To Say Goodbye'。
鑑賞しているゲストもこれまでの出演者ほとんど勢揃いで豪華! よくこれだけのメンツが一堂に会したもんだ!
そしてスクリーンには亡くなったThe Harrowing”(S1E6)ヘレン・マックロリーの姿も…(涙)

ジェイソン・ワトキンスがバーで「コーラ2本分支払った」と呟いているのは、
彼が"The Bill"(S3E2)で演じた財布の紐の堅いケビンの再現。
エミリー・ハウレットは、リースと手話で会話しながら
"Empty Orchestra”(S3E4)に登場する間違った文句と同じく’C*ntgrotalations’とお祝いの気持ちを伝えています。

そして毎エピソードに登場する野うさぎ像、最後はスクリーンの横に置いてあります。いつもより大きい!
(ちなみにパーティーゲストのクレジット中央に載っているEuropa Lepusは野うさぎ像のこと!)

 

【第三の選択】

トイレに篭るリースはテレビ電話でマーク・ゲイティスに『Plodding On』への出演を打診するが、やんわり断られてしまう。
途方に暮れているところにスティーヴが個室をノックする。
果たして2人は別れ別れになってしまうのか? それとも…

●感想/引用元●

マーク出てきたー!! しかも”The Motive and the Cue”のジョン・ギールグッドの格好で!!
それにしてもドラマの話に興味のないマークの力のない表情といったら!表面的な愛想笑いもたまらない。
そしてクライムドラマの誘いを断っておいて、現実世界では今クライムドラマ"Bookinsh"を撮影しているマーク(笑)。
通話が切れてないまま「危ないところだったわ…」と呟いているのをリースに聞かれたマークが
「マーク… 電話切れてないよ…」と言われ、画面に通話を切る指だけがオロオロと映るのが最高。
視聴者の「指だけで恥ずかしそうに見えるもんなんだ」ってツイートを見て笑ってしまった。さすがオリヴィエ賞俳優(笑)。

トイレのドアをノックするスティーヴにリースが答える'I’ve taken some tablets.'は"Cold Comfort"(S2E4)の"クロエ"のセリフで、
'My mum's ordered me biryani.'は"Once Removed”(S4E3)からの引用。
二人が'Fortunately'と'Unfortunately'を交互に使うのは“The Stakeout”(S5E6)の引用で、
スティーヴが呟く'Plodding on - Double D'は
“A Random Act of Kindness”(S7E5)に出てくる単語の中の連続した文字を見つけて言ってしまう口癖の再現。
スティーヴが歌い出す'If you're going to cry...'は(リースとスティーヴが自分の葬式にかける予定の)
"Bernie Clifton's Dressing Room"(S4E2)でチーズ&クラッカーが歌う"Tears of Laughter"。
リースが“There is a third option”と提案するセリフは、”The Trolley Problem”(S9E2)から。

結局、冒頭でキャサリンが「神曲」の話をして、ティムが興味を持ったことで
スティーヴが再オーディションする羽目になる…と言うのが、冒頭に戻っていて面白いですね。
そしてリースとスティーヴも元鞘に…

最後に出てくる「第三の選択」であるドラマのオープニングは、前述のバスエピソード"Hold on tight"そのもの!
スティーヴが玉ねぎを齧っているのはリーグ・オブ・ジェントルマンのタブスの真似で、車両番号には“3 by 3”(S8E5)の文字が!
"The Referee’s a W***er"(S5E1)のようにサッカーチームのマフラーを巻いているところにも注目!
シアンが出てくる背後には”The Trolley Problem”(S9E2)に出てくる「ソンディ・テスト」の額が。
キャサリン・パーキンソン(字幕はティムの間違えと同じ、アマンダ・アビントンになってる!)は
“Hurry Up and Wait”(S6E4)ドナ・プレストンの役と同じ牛乳でついたヒゲがあるし、
横に“Wise Owl”(S6E6)の"WASH YOUR HANDS"ポスター!
アマンダ(こっちはキャサリンの字幕になっている)がニンジンを齧っているのは、リースによると"Mr King"(S7E2)の引用。
ロビンの横のバスの広告"Visit summerland"は"Seance Time"(S2E6)のアリソンのセリフから。
ティムの持っているネズミは“The Trial of Elizabeth Gadge”(S2E3)、に出てくるネズミSnowflakeにちなんで。
ロージーの横には“Curse of the Ninth”(S9E5)エディ・マーサンが演じた作曲家の鏡像が置いてある。
ニックが持っている新聞の見出し"Lonely Hearts Killer"は“Love Is a Stranger”(S8E4)からの引用。

以下はその他のパーティー出席者(+電話出演のマーク)↓

 

…とまあ、ざーっと見かけた引用元を並べて見ましたが、
エピソード全体がまるでデジャヴのようで、懐かしいようなまさに走馬灯のような不思議な感覚でした。
苦笑しちゃう気まずさを交えながら、熱い友情でほろりとさせつつ、最後にはやっぱり笑わせてくれる。
最後の最後にこんなファンも参加した関係者も楽しめるようなエピソードを作ってしまうなんて、
やっぱりリースとスティーヴは天才!

それと同時に、今は舞台上演に向けて準備中なのはわかっているけれど、
最後まで密度の濃いエピソードが書けるのに、ここでTVシリーズが終わってしまうのが残念で仕方ない。
2人は今のテレビ界に必要な人材であることは間違いないと思うのです。

10年間、このシリーズが始まってからずーっと楽しみに見続けてきました。
私が彼らに興味を持って英国へ旅行し、英国でしか放送されていないテレビやWEの舞台を見始めた歴史と同じ時間。
その間に、2人に直接「Inside No.9の新作を楽しみにしています!」と伝えることも出来ました。
始めは誰の目にも、BAFTAの目にもとまらず、リースのようにイライラしてましたが(笑)、
だんだん英国での評価も知名度も高まり、愛されるシリーズとなって嬉しかったし、
(いまだに日本ではS2までしか配信されていませんが)
だからこそお別れを言うのが辛い。
間違いなく、これからもずっと、私の人生の中で大切なテレビシリーズの一つであり続けるでしょう。

 

 

【参考資料】

 

Every Single Inside No. 9 Episode Was an Easter Egg in the Series Finale

Here’s how all 54 previous episodes were included via a guest star, a poster, a prop, clip or a quoted line of dialogue…

Den of Geek

 

 

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【更新中】「9から始まる奇妙な物語」第9シリーズ エピソード・リスト【ネタバレ注意】

2024-06-03 | TV/9から始まる奇妙な物語
 
※この記事はシリーズ放送中のため、現在編集途中です!※
 
「9から始まる奇妙な物語」(以下IN9) から最終第9シリーズのリストです。
日本語のタイトルは私が勝手につけています。
まだ投稿していないリストがありますが、鑑賞したばかりで記憶が新しいところで先に投稿しておこうと思います。
「ポイント」はネタバレを含んでいる場合があるため、未見の方は注意してください。
 
今回もおすすめ度合いに合わせて星をつけてみましたが、
もし配信されたら実際に見て、好きな回を見つけてくださいね!
 
↓シリーズ予告編

以下、RadioTimesのインタビューより。

スティーヴ
「終えると決めたことに後悔はしていない。シリーズ数的にはInside No.9のS9っていう僕らのちょっとしたジョーク。
 S5で終えることも出来たが、僕らはその目標までは辿り着こうと決意していた」
リース
「最終回がiPlayerだけで見られるようになったら完結した気にもなるだろう。
 悲しさもあるだろうけど、自分たちで掲げた高いハードルを妥協なしに最後まで成し遂げたという大きな安堵感もある。
 今55の物語を終えて、焼き直しをせず衰えることもなかったのは偉業。僕たちは誇りに思っている」

 

第1話
"Boo to a Goose"「臆病者」(30 April 2024) 

あらすじ:
深夜の地下鉄が故障し、乗り合わせた客は車両の中で閉じ込められることを余儀なくされる。
そんな中、電灯が消えたタイミングで看護師の財布が盗まれてしまう。
ある男はホームレスを犯人と決めつけ身体調査を求めるが、他の乗客はそれに反対し…
 
オススメ度:
 
ポイント:
シリーズの最初のコンセプトだった「閉鎖空間に閉じ込められた人たち」という設定に原点回帰したエピソード。
地下鉄という英国らしい場所を舞台に、これまたお馴染みの「急な運行休止」に巻き込まれる乗客を描いている。
日本では考えられないけれど、ホームレスが紙コップを手に歩いて回るのもよく見る光景。
ドラァグクイーンに扮しているスティーヴのメイクがものすごい!一瞬誰かわからないけれど似合ってる!
最後に出てくる"See it. Say it. Sorted."(見て、言って、解決する)は、ロンドンに生活した者が1日に何回も地下鉄で耳にするフレーズ。
あまりに何度も聞くので、意味も考えなくなってしまっているけれど、
このエピソードを見た後だと、とても重い意味に思えてきてしまう。
ちなみに、スティーヴ演じるウィルマが出演している"The Purple Socks"は
前シリーズの”The Last Weekend”で言及があったゲイバーの名前。
 
 
 
 
第2話
"The Trolley Problem"「トロッコ問題」(7 May 2024) 

あらすじ:
セラピストのブレイク(スティーヴ)は雨の中、橋の上で憂鬱に佇んでいたドリュー(リース)という男を家に連れ帰る。
友好的に接しようとするブレイクだったが、ドリューの腰に拳銃が挟まれているのを見て、
手渡したマグカップで鎮静剤を飲ませようと試みる。
しかしドリューもブレイクが目を離した隙にさらに強力な鎮静剤を仕込んで…
 
オススメ度:
 
ポイント:
スティーヴ&リース、ふたりだけの芝居のぶつかり合い。
S3E3 ”The Riddle of the Sphinx”のような後味。
最後のブレイクの眼鏡に映るドリューの姿が残酷ながらも目に焼きついてしまう。
 
 
第3
"Mulberry Close"「マルベリー・クローズ」(14 May 2024) 

あらすじ:
新婚のデイモン(リース)とヴァル(ヴィネット・ロビンソン)がマルベリー・クローズに引っ越してくる。
デイモンたちの新居からの不審な音を聞いたラリー(エイドリアン・スカボロー)は
詮索好きな斜向かいに住むシーラ(ドロシー・アトキンソン)とケン(スティーヴ)を巻き込み、
ヴァルがデイモンに殺されたのではないかと彼らの新居に乗り込もうとするが…
 
オススメ度:
 
ポイント:
防犯カメラからの映像を利用したS2E4 "Cold Comfort"のように、玄関の防犯カメラから見える風景で語られるエピソード。
隠蔽された恐ろしい殺人事件なのかと思いきや、お節介なご近所さんたちによる滑稽な勘違い。
しかし、そこで単にコメディで終わらないのがこのシリーズ。
それぞれの思い込みや秘密が重なり合って、悲劇が起こる。
笑えて且つ日常的な恐ろしさも孕んでいるブラック・コメディの名作。
何テイクも撮影
「SHERLOCK」のドノヴァンことヴィネッテ・ロビンソンや
"Syphoville"のエイドリアン・スカボローがゲスト出演なのも嬉しい。
 
第4話
"Ctrl Alt Esc"「コントロール/オルト/エスケープ」(21 May 2024) 

あらすじ:
娘のミリーとエイミーを連れて脱出ゲームにやってきたジェイソン(スティーヴ)とリン(キャサリン・ケリー)の夫婦。
スタッフのダグ(リース)の説明を受け、ジェイソンは足首を鎖でベッドに繋がれたまま、
家族は陰鬱で不気味な部屋から脱出するためのヒントを探そうとする。
 
オススメ度:
 
ポイント:
リーグオブジェントルマンのメンバー、ジェレミー・ダイソンが手がけた映画「ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談」や、
マーク・ゲイティスが出演した映画「ファーザー」を思い出させるような、
実はジェイソンの意識の中の、逃げ場のない悪夢の物語であると分かります。
S2E2の"The 12 Days of Christine"的でもありますね。
最後のオチがこのドラマを総括するようでしんみりしちゃう。
放送後、ジェイソンのように悪夢の中もがいて覚醒する事例の投稿を見かけて興味深かったです。
 

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第5話
"The Curse of the Ninth"「第九の呪い」(5 June 2024) 

あらすじ:
舞台はエドワード朝時代。
作曲家ナサニエル・バーナム(エディ・マーサン)は作曲中の交響曲第九番が未完のまま、呪いに取り憑かれて自ら命を絶ってしまう。
数年後、資金繰りに窮した未亡人リリアン(ナタリー・ドマー)はピアノ調律師のジョナ(リース)に墓荒らしをし、作品を完成させるよう仕向ける。
 
オススメ度:
 
ポイント:
「第九の呪い」はベートーベンやドボルザークなど、交響曲第九番を完成させると死んでしまうという実際にあるジンクス。
グスタフ・マーラーが有名にしたジンクスだそうです。
リースは「カントリーハウスで普段とは違う衣装で撮影するのは格調が高くなる」と撮影を楽しんだそうです
 
 

クラシック音楽、作曲家を死に導く「第9の呪い」…命と引き換えに人生最高傑作を生む?

「交響曲第9番を作曲すると、僕は、もう死んでしまうかもしれない」そんなことを考えながら、本当に交響曲第9番を完成したのちに死んでしまったのは、1911年に生涯を...

ビジネスジャーナル/Business Journal | ビジネスの本音に迫る

 

 

第6話
"Plodding On"「足取りあわせて」(12 June 2024) 
 
あらすじ:
IN9全シリーズの打ち上げパーティで貸切中のクラブ「#9」。
スティーヴはIN9の撮影中に仮病を使ってAmazonの大作ドラマの役を獲得していた。
トイレでポッドキャスト録音中のニック・モハメッドに今後の予定を明かすと、
事情を知らないリースが個室から出てきて…
 
オススメ度:
 
詳しい内容は以下のページにまとめました!↓
 

【涙の最終回】「9から始まる奇妙な物語」最終話『Plodding On』【ネタバレ注意】 - だから、ここに来た!

2024年6月12日に最終回を迎えた「9から始まる奇妙な物語」(以下IN9)。各シリーズのエピソードリストを作成中ですが、この最終回については独立した記事を作ることにしまし...

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【アンドリュー・スコット特集】「ワーニャ」と「リプリー」と「異人たち」と…

2024-06-02 | movie/劇場公開作品

ここ最近、「SHERLOCK」モリアーティこと、「フリーバッグ」ホット・プリーストこと
アンドリュー・スコットの作品が立て続けにリリースされていましたが、(それも名作ばかり!
ちゃんとチェックしていたにも関わらず、あまり言及出来ていなかったのでまとめておこうと思います。
ほとんど取り急ぎのメモ。ツイッターまとめみたいな感じ。

【映画「異人たち」】

まず映画「異人たち」。これは山田太一の小説「異人たちとの夏」を英国に置き換え、
主人公もゲイの脚本家に設定変更している映画。
山田太一の小説は10代の頃に読んでいて、「異人たちとの夏」は大好きな作品でした。
その主人公をアンスコが演じるなんて!願ったり叶ったり!

東京国際映画祭で上映されると知って、
いまだに悪名高いチケット購入システムで何度もエラーを喰らいながらなんとかゲット。
(ほんとどうにかならんのか…)

ロンドンの人気のないフラットに暮らす脚本家のアダムは同じ建物に住むハリーと知り合う。
その一方で、かつて住んでいた実家だった一軒家を訪れる。
そこにはもういないはずの若い両親がアダムを待っていて…

大好きだったとは言っても、最近は読み返していなかったので、
すっかり話の内容を忘れかけておりましたが、
本編を見てだんだん思い出してきた… ああ、なんて切ない…

Frankie Goes To Hollywood "The Power Of Love"を聴くたびにこの映画のことを思い出しそう。

 

山田太一 なぜファンタジー? 小説がイギリスで映画化 | NHK | WEB特集

【NHK】イギリス映画『異人たち』。原作は日本の名脚本家、山田太一さんが37年前に書いた小説。なぜ、いま映画化なのか。魅力に迫る。

NHKニュース

 
 

私たちは、互いにとって「異人たち」なのか? アンドリュー・ヘイ監督が語る、孤独と痛み、クィアな愛 | CINRA

山田太一の小説を映画化。同性愛嫌悪の激しい80年代英国に育った自身の痛みや孤独、そして愛への希望を込めた

 

↓「異人たち」の脚本

https://deadline.com/wp-content/uploads/2023/12/All-Of-Us-Strangers-Read-The-Screenplay_Redacted.pdf

 

【Netflixドラマシリーズ「リプリー」】

「見知らぬ乗客」や「キャロル」の作者パトリシア・ハイスミス「リプリー」
アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」(1960)やマット・デイモン主演の映画(1999)で知られていますが、
この度、全8話ドラマシリーズとしてアンドリュー主演でドラマ化されました。
アンドリュー主演のドラマって初じゃない??
(1999年の映画は当時劇場で見たことがあります。一番原作に忠実みたい。)

詐欺で生計を立てているトム・リプリーは、造船業を営む富豪グリーンリーフの息子の友人と間違われ?
イタリアで放蕩するその息子ディッキーに戻ってくるよう説得を依頼する。
金のためにグリーンリーフの依頼を承諾し、イタリアに渡ったリプリーは、
ディッキーと恋人マージと接触し、友好的な態度を見せながら、ディッキーの暮らす豪邸に居座ってしまう。
しかしマージは彼の本性を疑っていて…

モリアーティで世界一のコンサルタント犯罪者を演じていたアンドリューですが、
このドラマの中では行き当たりばったりの爪の甘い詐欺や犯罪を積み重ねていて、毎回ハラハラさせられます!

しかし映像はモノクロームでリプリーが巡るベネツィアやローマなどイタリア各地の風景が息を呑むほど美しい!!

アンドリュー演じるトム・リプリーがなりすます富豪の息子ディッキーは
舞台"The Motive and the Cue"でリチャード・バートンに扮していたジョニー・フリン
リプリーを訝しみながらも疑いきれない気の毒な富豪の息子を演じてます。

以下、当時の自分の感想。

「リプリー」第一話見たよ!モノクロームのどこを切り取っても美しいNYやイタリアの風景。
そして不穏な雰囲気を漂わせつつもどこか人間臭いアンスコのトム・リプリー。
はぁはぁ言いながら階段登ったり、言葉が通じない中ピチピチ水着試着して苦笑したり、
やっぱり闇があるのに憎めないキャラが似合う。

第二話。詐欺の手口に目敏く気づいて友人に指摘するのに、一方で誰が見ても明らかに犯罪絡みの旅行を持ちかけるリプリー。
より重い詐欺の方に全く悪気を感じてないのが面白い。
ジョニー・フリンとダコタ・ファニングの世間知らずでありつつもリプリーに対し警戒し距離を取る演技が上手い。

第三話。とうとうやっちゃったな。堂々とはしているけど、手口が全然鮮やかじゃないのが本当にハラハラする。

第四〜六話。! あまりに詰めの甘い犯行ですんごいヤキモキさせられるけど、警察出てくると俄然燃えてくるラビーニ警部、渋かっこいい。
警部!凶器はその灰皿ですよ!!

もったいぶってとっておいた「リプリー」の第7, 8話見終わった!はー面白かったー。
警部意外と仕事出来なくて助かったね。それにしてもやっぱりどこを切り取っても美しいドラマシリーズだった。
リプリーと逃避行してるような気分になったし、最終話のカラヴァッジョとの対比も刺激的だったわ。

ちなみに、リプリーを疑い続けるマージを演じたダコタ・ファニングとアンドリューのインタビュー動画は、
本編とは違ってどれも和気藹々としてて微笑ましいです。
ダコタの11歳の誕生日に初めての携帯電話を買ってあげたのは「宇宙戦争」で共演したトム・クルーズだとか。
彼は最近の30歳の誕生日まで毎年ダコタに誕生日プレゼントを送っているらしく、
アンドリューの「僕はもらったことない。トムー??(僕にもちょうだい顔)」が笑えます。

Dakota Fanning & Andrew Scott Quiz Each Other on Their Careers | All About Me | Harper's BAZAAR

 

【NT Live「ワーニャ」】

そして舞台「ワーニャ」

2023年8月28日〜9月2日にリッジモンドシアター、9月15日〜10月21日にデュークオブヨーク劇場で上演された、
言わずもがなアントン・チェーホフの代表作の一つですが、
全ての登場人物をアンドリュー一人で演じるという、挑戦的なプロダクション。

↓リハーサルの様子。

映画館上映作品としてNT Liveの一つとして組み込まれ、
日本でも2024年5月24日から全国の映画館で上映が始まりました。
私はその前の5月18日の先行上映で一足早く鑑賞。
上演後の評判として「今世紀最高の演技のひとつとして記憶に残るであろう」とまで言われていて、とても楽しみにしていました。

タイトルになっているワーニャおじさんアイヴァンといった風に、
この舞台では登場人物の名前を英語名に書き換えられています。
アイヴァンと姪のソニアは亡くなったソニアの母アナの土地で農業に勤しみ、
ソニアの父である映画監督のアレクサンダーを支えています。
アレクサンダーはアナの死後に若いヘレナと結婚。
アイヴァンや医者のマイケルはヘレナに惹かれていますが、
まだウブなソニアはそのマイケルに惹かれています。

Three Days in the Countryといい、
ロシア演劇ってこういう家族&出入りする地元民の報われない一方通行の恋(そして立ち去っていく)が多いよなー。
そして土地や相続問題…
あらすじの内容だけを考えると気が滅入りそうな物語ですが、
アンドリューの演技の巧みさで、とても楽しめる舞台になっています。

一人芝居で衣装も変えずに何人も演じるというと、
次々に役が切り替わって、瞬間的に誰が誰なのか把握するのが難しいそうですが、「動き回る落語」だと思うとわかりやすい!
ヘレナが座るブランコ家政婦の吸うタバコなど、小道具の使い方で誰を演じているのかがわかる。
それに、先に見ていた方から「ラブシーンも一人で演じてた」と聞いて
どゆこと??と思いましたが、本当に一人でやってました。
扉に背中を押しつけ、荒い息遣いの中、片方の手で争うもう片方の腕を掴む…
一人で演じてるのになんだか余計にドキドキしてしまいます。

アンドリューはこの「ワーニャ」でLondon theatre Critics Circle Awardsの最優秀男優賞を受賞。
実は同年に前述の「異人たち」の演技でLondon Film Critics Circle Awardsでも主演男優賞を受賞しており、
同年に映画・演劇の両方を受賞するのは史上初の快挙なんだそうです。すごい!!

そしてオリヴィエ賞でも演劇主演男優賞にノミネートされていて最有力かと思われていましたが、
結果的にはこれも前述の"The Motive and the Cue"のマーク・ゲイティスが受賞し、
「ワーニャ」はリバイバル演劇賞の方を受賞しました。
"The Motive and the Cue"もNT Liveで今夏上映予定です

先行上映前のトークイベントで、シェイクスピアを専門とされている英文学者の河合祥一郎先生が
「アンドリュー凄い!ってなりますけど、オリヴィエ賞を取ったマーク・ゲイティスの演技がどれだけ凄いか、今後の上映で見比べられるわけですね」
と仰ってて、ゲイティスオタクとして緊張しちゃう…
実際どちらのファンの私も、色々劇評や賞レースをチェックしてて、
アンドリューが有力なんだろうな…と思ってました。
でも二人の演技は遠泳と潜水の凄さを比べるようなものでどっちも素晴らしいのです。

 

 

Vanya review – Andrew Scott’s solo tour-de-force in the West End

Simon Stephens adapts Chekhov for the West End – with Andrew Scott taking on every role

WhatsOnStage.com –

 

 

 

Vanya at the Duke of York’s: an acting masterclass from Andrew Scott

This one-man take on Chekhov is no vanity project or gimmick: it’s a distillation of his compassion and humanity that creates something new.

Evening Standard

 

 

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ナショナル・シアターで舞台「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」を観る

2023-12-17 | 2023年、ロンドンの旅

■2023年6月7日■ 続き

ついにこの度の最大の目的であった、サム・メンデス演出の舞台"The Motive and the Cue"を見に行くために、
サウスバンクにあるナショナル・シアター(以下NT)に向かいます!

ああ、懐かしのNT!
留学中は開演するまでの間、このホワイエで勉強したり読書したりして過ごしていました。
今回もその雰囲気に浸るために早めに到着して、ホワイエでスマホに入れてある戯曲を復習します。

正面入口のモニターには"The Motive and the Cue”のポスター画像が表示されています。
劇場の前にはアイスクリーム売りのバンが止まっていたけど、営業はまだしてなかった。

 

さて、"The Motive and the Cue”について。
この舞台は1964年にジョン・ギールグッド演出、リチャード・バートン主演でブロードウェイで上演された
シェイクスピア劇「ハムレット」のリハーサルの様子を描いています。

この1964年の「ハムレット」ブロードウェイ公演は興行的に大ヒットし、
ギールグッド自身がタイトルロールを演じていたハムレットの公演記録を塗り替え、17週間も上演されましたが、
実はその舞台裏では、ギールグッドとバートンの確執があったという、
緊張感あふれるリハーサルについての出演者の証言が残っており、
舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」などで知られる劇作家のジャック・ソーン
その証言をもとに"The Motive and the Cue”の戯曲を完成させました。

今回の舞台の元になった書籍の一つ、書簡集「Letters from an Actor」の中で、
「ハムレット」のギルデンスターンを演じたウィリアム・レッドフィールドは、ギールグッドとバートンの関係を
「二人の男の間には芸術的な不一致、美的感覚の不和がある。それは信念と技術の本質的な違いである」
と表現しています。

↑ジョン・ギールグッド卿越しに見る、ローレンス・オリヴィエ像。

大女優エレン・テリーを大伯母に持ち、ヴァイオリンのような美しい声を持つことで知られ、
世界最高峰のハムレットとも称されてきた英国の名優ギールグッドは
まだ同性愛が違法だった1954年に逮捕され、キャリアに傷がつくようなことはなかったものの、
ライバルであるローレンス・オリヴィエとは対照的に1960年代にはスター性を失っており、
久しぶりの大きな仕事として、このハムレットの演出の仕事を引き受けます。

このギールグッドを、私が敬愛するマーク・ゲイティスが演じます。

一方のリチャード・バートンを演じるのは、シンガーソングライターでもあるジョニー・フリン
マーティン・マクドナー「ハングメン」にも出演していた多彩な役者です。
マークも出演している映画「オペレーション・ミンスミート」では007の生みの親イアン・フレミングを演じています。

バートンの芝居はギールグッドと異なり、自然体でエキセントリック
当時大スターエリザベス・テイラー(演じるのはタペンス・ミドルトン)と結婚したばかりのバートンは
私生活でも世界から注目を集めていましたが、
自分の実力を試すために、ハネムーンを返上してハムレットへの出演と尊敬するギールグッドの演出を熱望。
その望みは実現しますが、ウェールズポート・タルボット出身で
幼い頃に暴力的な炭鉱夫の父親に捨てられ、姉に育てられた後、教師の養子となった生い立ちを持つバートンは
品位と伝統を重んじるギールグッドと対立し、自分自身のハムレット像を生み出すために葛藤します。

私自身は、舞台でも映像でもハムレットを何度か見ています。
生で見たもので印象的なところを挙げると、バービカンのベネディクト・カンバーバッチや、日本だとシアターコクーンの藤原竜也
なんだかんだ言って、シェイクスピア劇の中ではやはり一番見ているかもしれない。
しかし、バートン版のハムレットは大ヒットしたにも関わらず不勉強で知らなかったので、
リハーサルの服装のままで役者が舞台に出る、という今と通じるようなコンセプトを面白いと思いました。

Hamlet - Richard Burton - John Gielgud - Broadway production - Shakespeare - 1964 - HD Restored - 4K

マーク・ゲイティスのファンとしては、ハムレットを演出する偉大な名優に扮するというだけでも大興奮でした。

第一幕の最後、酒を飲んでリハーサル室に現れたバートンに侮辱されたギールグッドが
出演者やスタッフを全員リハーサル室から追い出し、
ひとりきりになった部屋で、第三幕 第二場でハムレットが劇団の役者たちに演技指導をする
”Speak the speech, I pray you” のセリフを静かに誦じるシーンがあるのですが、
ここはあちこちの劇評でも高く評価されている美しいシーンの一つでした。

正直、マークがハムレットを演じることなんてないと思っていたので、
劇中で、別の役者を演じながらではあっても、ハムレットのセリフを言うマークが見られるなんて本当に喜びの極み!
演出している時も、バートンと一緒にセリフを呟いている様子が見られて嬉しかったです。

特に好きなシーンは第二幕の始まり。
ホテルでのエリザベス・テイラーとの朝食のシーン
若い頃からショービス界で活躍していたテイラーと、英国演劇界のサラブレッドなギールグッドの、
2人だけが共有できる洗練されたユーモアが楽しめる場面。

そして、ギールグッドはテイラーから2人とは育ちも感性も異なるバートンの気質についてヒントを得ます。

(個人的に、この頃は坂本龍一が亡くなったことが記憶に新しかったので、
 戯曲を読みながら、教授の、編集者である父親一亀との衝突や細野晴臣との80年代の確執のことを考えたりしてました。
 細野さんは、父親に対するコンプレックスが、年上の男性に対して反抗的な態度を取らせるのではないか、と分析してたのです)

そしてギールグッドは、虚しさを埋めるためにホテルに男娼を呼びます。
特に一緒に寝ることも求めないギールグッドに彼の為人を知った男娼はハグを提案しますが、頑なに断るギールグッド。
ちょっと抱き合っただけで、背中をポンポン叩き満足したフリをして「とても良かった」と離れようとします。
しかし、そのまま男娼の腕に抱かれるギールグッドは、次第に気持ちが緩み、泣き始めるのです。
「申し訳ない。なんてことだ。我慢できない。
 生まれつき膀胱が目の近くにあるんだ。瞬きすると流れてくる」

役者たちの演技を正す場面でも決して声を荒げず、あくまで肯定的な言い回しで演技指導するギールグッド。
最後には感情的に反抗するバートンと一対一で真正面から話し合い、ハムレット俳優としてのバトンをバートンに渡します。(洒落ではない…)
そのバートンがついに初日の舞台へと向かっていく姿は、
かつて見たサム・メンデス版「キャバレー」の幕引きのように衝撃的で美しく、目に焼き付いて離れない瞬間でした。

演出という点では、ゴルトベルク変奏曲ノエル・カワードの歌が流れ
ハムレットのセリフの引用と稽古何日目なのかが黒いスクリーンに映し出される場面切り替えが印象的。

Noël Coward - Why Must The Show Go On?

装置が上下して稽古場やホテル、ギールグッドのオフィスへと切り替わる舞台機構も面白かった。
実はこの上演中にThe Motive And The Cueをフューチャーした劇場ツアーがあったのですが、
私の滞在中はちょうど日程が合わず参加出来ませんでした。
その代わり、通常の劇場ツアーには参加したので、また後日記事に出来たらと思っています。

"The Motive and the Cue”は、2023年4月20日〜7月15日までNTで上演され、
その後、ウエストエンドのノエル・カワード劇場にもトランスファーされ、2023年12月9日から2024年3月23日まで上演されました。
この日は昼夜の2回公演の日。
ちょうどマチネ上演中に戯曲を復習していたのですが、劇場出入口に撮影が入るとお知らせが出ていました!

と、いうことは!いつかはNT Liveで映画館上映が行われるはず!
サム・メンデス作品だし、ニーズは高いと思うので可能性大!

(2024年6月追記)

その後、日本のNT Liveでも上映が決定しました。

 

the motive and the cue | ntlivejapan |モーティヴ&キュー| マーク・ゲイティス| NTLive |ジョン・ギールグッド|ジョニー・フリン|エリザベス・テーラー|リチャード・バートン|サム・メンデス|ジャック・ソーン

NTLiveが贈る『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』サム・メンデス(『リーマン・トリロジー』)が演出し、脚本家ジャック・ソーンが脚本を手がけ、『るつぼ』のエス・デブリンが...

ntlivejapan

 

 

NTの中のブックショップではThe Motive and the Cue関連…つまりハムレット関連のグッズもフューチャーされています。
ここでフィジカルな戯曲をいくつかとNTグッズ(キーホルダーやオイスターカードケースなど)を購入。

友人に渡す分のプログラムもまとめて買い、
腹ごしらえに劇場のデリで1人分のメニューはないのか訊いたらピザトーストを勧められ購入。
でも全然1人前の大きさじゃなかった…
頑張って2つ食べて、残りのうちの一つはナプキンに包んでホテルに持って帰りました。

ちなみに今回の出待ちは、あまり体調もすぐれなかったので、サクッと帰るつもりでいました。

いつものように緊張してモジモジダラダラ喋ることを禁じ、スマートな出待ち!をモットーに、
お馴染みのステージドア前で待っていると、割とすぐにマークが出てきました。
(その日マークを待っていたのは、私を含めて2人だけ。)
来客や出演者と話し、連れの人たちと出てきたところで近づいて、
プログラムにサインをお願いし、お土産を渡し、セルフィーを頼む私。

その間「今日の公演、素晴らしかったです」くらいしか言わず、とにかくシンプルな会話に徹した私に、
最後にマークが満面の笑顔を向けながらかけてくれた「ありがとう!」の一言と、
ギュッと腕に添えてくれた手の温もりがいつも通りで、じわーっと感激しながら、風のようにその場を去りました。

スマートに、と言いながら、後から思い出すと、あれを言えば良かった、これを言えば良かったと、結局色々後悔しています。
でもセルフィーの写真はとても優しい表情で写ってくれてるし、
多くは語らなくても、まあ、見たことある子だなくらいには思ってくれているだろうと期待し、大切な思い出の一つに加わえました。
(舞台はもう一回見たんですけどね)

旅行記は続きます

 

■ナショナル・シアター・ライヴ上演時の感想記事■

 

ナショナル・シアター・ライヴ「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」 - だから、ここに来た!

7月5日(金)からナショナル・シアター・ライブの作品として、映画館上映が始まった舞台「ザ・モーティヴ&ザ・キュー」(以下、TMaTC)。初日やトークイベントを含め、合計3...

goo blog

 

 

■参考記事■

 

Heavenly powers or something rotten? When Richard Burton played Hamlet

It was a box-office hit directed by John Gielgud and created turmoil on stage and off. Now, the 1964 Broadway staging has inspired The Motive and the Cue, a new ...

the Guardian

 

 

 

What Makes a Great Performance? Backstage Drama, That’s What. (Published 2023)

“The Motive and the Cue,” a new play in London, imagines fraught behind-the-scenes maneuvering by John Gielgud, Richard Burton and Elizabeth Taylor during rehear...

 

 

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東京コミコン2023(12月8日)撮影&サイン会

2023-12-11 | TV/SHERLOCK S2〜

12月8日、幕張メッセで行われた東京コミコンに参加してきました。
昨年もカレン・ギランがこのイベントのために来日してたので来たかったけど仕事の都合で来れず、
今年はやっと来ることが出来たのです。

コンベンションに参加するのは2015年春にロンドンで行われたシャーロック・コンベンション以来。
(当時の記事は最後に貼っておきます。)
以来、というか、シャロコンが初めての経験だったので、今回は実質2回目になります。

ただ、同じコンベンションとはいっても、運営の仕方はそれぞれのイベントで異なるし、
東京コミコンは毎年運営のやり方が杜撰と聞いていたので、出来れば来たくないと思っていました(苦笑)

しかし今年はベネディクト・カンバーバッチが来る!しかも、ユアン・マクレガーも来る!と知って、
これはどんな障害が生じたとしても覚悟の上で参加せねばならない!と決意したのです。
そしてチケットを取る時点でシフトが出ていなかったので、有休の取れる金曜日だけ参加することにしました。

ベネディクトは言わずもがな、大好きなSHERLOCKの主役であり、
今ではMARVELのヒーローに留まらず世界的に活躍する映画俳優となりましたが、
シャロコンではお金の余裕がなかったり、とても撮影会のチケットを確保出来る自信がなかったので、
ステージのトークを見るだけに留まっていました。
バービカンで舞台「ハムレット」を見たり、BFIでお姿を見かけるなんてことはありましたが、
一緒に写真を撮れるなんて思ってもみませんでした。

そしてユアンは学生の頃からずっと大好き
90年代から友達と彼の出演する映画を見に行ったり、レンタルで彼の過去作を貪り見たものです。
もちろんスターウォーズも大好き。続三部作以降は若干食傷気味だけど…
最近の映画も見ていますが、一時期は日本が嫌いなのでは?と噂されたりしていて、
日本に来てくれるイメージがありませんでした。
事実、初来日ってついこの間の「プーと大人になった僕」だったんですよね。

 

ユアン・マクレガーの初来日は『プーと大人になった僕』だった|シネマトゥデイ

31日、金曜ロードショー(日本テレビ系、よる9時~)で「くまのプーさん」を実写化した映画『プーと大人になった僕』(2018)が放送される。

シネマトゥデイ

 

なので、本来であればベネディクトだけでも興奮するところなのですが、
ユアンが来ると言うのはもう日本のファンにしてみたら一大事なわけです!!

その他にも、マッツ・ミケルセン、トム・ヒドルストン、クリストファー・ロイド、
エヴァンジェリン・リリー、ポム・クレメンティエフ、ナタリア・テナ、
テムエラ・モリソン、ダニエル・ローガン、C.B.セブルスキーといったゲストが大集結しました。

他のゲストも好きだけど、I can't afford it...
体力的にも時間的にも精神的にも余裕がないので、今回は2人のゲストに集中!

 

そして当日。

12時から始まるオープニングのステージが目当ての人は朝早くから並んでいたみたいですが、
私は体力がないので、10時半ごろに幕張メッセに到着。
幕張メッセには、20代の頃カウントダウンジャパンのために毎年年末に来ていたり、
サマソニにも来ることがあったので慣れています。

かなり暖かい日とはいえ、海も近いし幕張メッセのコンクリの床が冷えることも知っていたので、
セーターにジーパン、ダウンを着て、足元はボアのショートブーツという姿で挑みました。
ブーツは正解だったけど、ダウンはコートでもよかったかな。

私はチケットぴあではなく主催のハリコンのサイトでチケットを確保したので、
正面入り口から入ってホール3前にあるWILL CALLでQRコードを使ってチケットを発券してもらいます。
そこそこ並んでいたけど、5分くらいでカウンターに辿り着けました。

チケットは会場に入るための入場券とサインや撮影希望の参加者は別途サインor撮影チケットを購入。
この辺はシャロコンとおんなじ。

ホール3と4の間には「やすらぎのモール」という吹き抜けの空間があり、
ステージには行かずに撮影やサイン会に向かう人はここから直接向かうことが出来るみたい。

すぐ横にはプレゼントボックスが設置されていました。警備の人がしっかり管理しているんですね。

チケットを発券した後は少しベンチで休んで、11:15頃にホール1側にある一般入場口へ。

朝はたくさん並んでいたみたいだけど、開場後はスムースに入れそう。

入場後は最初の撮影まで時間があるので、展示ブースや物販ブースを超特急で見て回りました。
ステージが終わったら見終わったお客さんで混雑すると思ったので、先に一通り見ておこうと思ったのです。

各ブースの詳しい写真は後日また記事にしますが、一通り見終わった後、まだ時間がありそうだったので、
ステージでセレモニーが行われる12時頃からMARVEL/STAR WARSの物販に並び始めました。
並んでいる間にホールの奥から聞こえてくる歓声を聞きながら、YouTubeでステージの様子を鑑賞。
ステージでいつもよりちょっと元気なさそうなベネディクトを見て心配になっちゃったりしながら…

しかし、このMARVEL/STAR WARSの物販が思いの外時間がかかり、
中に入るまで80分、速攻で欲しいグッズを選択してすぐにレジに並び始めたものの、
最初のベネディクトの撮影会(14:15)が迫ってきました。
スタッフに会計を先に割り込ませてもらえないか相談したけれども不可との返事。
渋々そのまま列で待って、結局会計が済んだのが14:10
アナウンスされている内容だと30分〜1時間前に並ばなければいけないはずなので、
大急ぎで待機の列が出来ている「やすらぎのモール」に駆け込みました。

↑これがホール3から撮影&サイン会場に向かう入口と、やすらぎのモールで待機する人たち↑

ここで一度チケットのチェックを受け、ホール4:セレブエリアの入口で荷物検査を受け、
さらにそれぞれ希望のセレブの列に並び直すことになります。

セレブエリアは写真撮影不可なので画像はありませんが、
上からセレブの顔写真付きの垂れ幕が下がっていて、その下に各撮影ブースがあり、
ブースの外側にサイン用のテーブルが設置されています。
脇には撮影後の写真を受け取るプリンターのエリア。
ブースの前で参加者は列を作って自分の番を待つことになります。

開始時間ギリギリに駆けつけた私でしたが、他にも時間が過ぎて並び始める人もいて、
断られることもなく、無事列に加わることが出来ました。

しかし、並び始めてから45分ほど経ち、
ブース前で緊張しながら列で待っていたところ、それまで進んでいた列がぴたりと止まってしまいました
周りにいるスタッフの話に耳をそばだてていたところ、どうやらベネディクトはしばらく休憩をとっているらしい。

コミコンの前情報で、途中で中止になることもあると目にした記憶があったり、
物販で並んでいる間に見ていたステージでベネディクトが元気のなさそうな様子を見ていたので、
このまま中止になってしまうのでは?と言う考えが頭を過る…。

しかし前述の通り、どんな障害が起こったとしても受け入れる覚悟だったので、
ベネディクトの体が一番大切だ、中止になってもやむを得ない、と素直に思えました。
ただ、横で並んでいる家族連れも写真が撮れないのだとしたら可哀想だな、と思いつつ。

ところが20分後、隣のブースの方角から歓声が聞こえた後、再び列が動き始めたのです!
ベネディクトが休憩を終え、トムヒのブースに顔を出してから撮影を再開したみたい。
トムヒの撮影に並んでいた人は幸運にもベネディクトともお写真を撮影出来たそうで。ラッキーすぎる!

ブース入口前の荷物置き場に置いてあるカゴにチケットと携帯以外の荷物を置いて、
ブースの中へと入っていくと、サクサクと撮影をこなしているベネディクトの姿が目に入りました!
本物だー!
休憩してリフレッシュ出来たせいか、ステージ配信で見た時より表情が柔らかくなったみたい。よかったー。

コミコン名物?ベルトコンベアーのように次々と流れるように撮影を続ける中、
ベネディクトはスタッフに引き離される撮影後の人たちに目を見ながらありがとうと声かけて、
伸ばした手をそのままに名残惜しそうにひとりひとり見送っていました。優しさが滲み出てるー

指先でハートマークを作るのが苦手なベネディクトに、
そこが逆に可愛いと、ポーズのリクエストをする人が多いみたいでしたが、私ははじめから指差ししてもらうことに決めてました。
ベネディクトといえばいまだに指差しのイメージな私。

そしてついに自分の順番が来て、元気に'Hello!'とベネディクトにご挨拶。
そして’Could you point at me?’って訊くと'Of course!'と、快く指差ししてくれました

↓こんな感じ!多分お疲れなのにこんなに優しい表情!

スタッフにディアストーカーはコスプレになります!追加料金払ってください!って言われるかな?と
ちょっとドキドキしてたけど、特に何も言われず、他にもかぶっている人もちょくちょく見かけました。
マーク(・ゲイティス)ともディアストーカーを被って一緒に撮ってもらったので、
これでホームズ兄弟と帽子をかぶって一緒に記念撮影出来たことに!嬉しい!

それにしても、ベネさんの休憩でだいぶ待ったし、その間ずっと緊張しっぱなしだったし、
この撮影だけでも疲労がかなり溜まってしまいました。
遠方から来て一緒に写真撮ってくれるベネディクトほどじゃないですけどね。

荷物を受け取って、プリンターのところで自分の写真を受け取り、空きスペースで写真を確認したら
目の下にアイシャドウが落ちちゃっててクマみたいになってて凹みました(苦笑)。
普段真面目に化粧しないから長丁場のイベントに耐えられない私の顔。
ユアンの撮影の前は目の下をちゃんとチェックしておこう…

撮影が押したので外の飲食スペースに出たのは16時頃
そういえばお昼ご飯を全然食べてなかった!
次の撮影の間に、富士宮焼きそばを食べました。(おにぎりも持参してはいたけど。)
会計はQRコードを読み込んで、店番号を打ち込んで支払うキャッシュレス

 

ユアンとの撮影は17時から、終わったらすぐにサイン会だったので、1時間前に並んでおきました。
一回撮影を経験すると勝手が分かるから自分の動きもスムース。
早めに並んでいると、当然ですが順番も早く回ってくるので、ブース前で緊張しすぎることがなくていいですね。
ちなみにこの写真チケットは数日前に追加発売されて購入したものでした。

心配していたスタッフの対応も時間が表示されたプレート片手に
「ユアンさんこちらですー!」「マッツさんの撮影こちらですー!」と頻繁に声がけしてくれていたので、
どこに行っていいのか全然わからないってことはありませんでした。私の印象ですが。

ベネディクトの列は家族連れや女性が多めの印象でしたが、ユアンは男性が多い印象でした。
やっぱりスターウォーズとかバイク旅とか男性が惹かれるジャンルだからかな。

ユアンの写真がたくさんプリントされているつなぎとか、
レイア姫(成人レイアや子供レイアも!)のようなスターウォーズ関連のコスプレとか、
ダースベーダーやもちろんジェダイマントを羽織った人など、気合いの入った衣装の方も多かったです。
私は引き続きロンドンで買った普通のセーターで勝負(笑)

ユアンははじめにひとりひとり’Hello! Nice to meet you!’と挨拶しながらがっしり握手して出迎えてくれるスタイル。
その握手したままの姿で左手は肩を抱いて撮影、といった流れで対応。
この動きは短い時間でも参加者が迎え入れてもらえていると感じられてとても好印象! 慣れているなーと感じました。

ただ、右手を差し出して握手したまま撮影になってしまうと、
首脳会談みたいな握手の写真になってしまいそうだったので、
自分の番が来た時に、私は挨拶しながらあえて左手を差し出しました。
ユアンの反応がアレッ?同じ手?って感じでしたが、そのまま親指を持ってもらい(笑)撮影終了。
別れ際に’Thank you!’とちゃんと右手でもしっかり握手してくれました!

女性の参加者だと腕を持ってハグしたり密着した写真も見かけて、それも凄く素敵だと思ったのですが、
私の場合は、手と手が触れ合っている写真が欲しかったので、
もう写真をゲットしてイメージ通りの写真だと確認出来たときにはどえらい興奮してしまいました(笑)。
目の下の隈も初回ほど酷くなかったし。なんだかベネさんの撮影が予行演習になっちゃってちょっとシャクだけど。

そして、17:45からは再びユアンのサイン会。
もう一度、やすらぎのモールで並び直して再びセレブエリアへ。

サイン会は本来ブースの外のテーブルで行われるはずなのですが、
ユアンの場合は撮影と同じくブースの中で対応していました。

対して、ちょうど並んでいるときにサインに出てきたトムヒは外のテーブルでサインに応じていました。
トムヒって遠くから見てもトムヒだとすぐわかる。顔が整っているせいか、オーラがすごいのか…
今まで舞台を2回見たり、新宿で映画「キングコング:髑髏島の巨神」のプロモで来ていたトムヒを見たことがありましたが、
いつでも出てくるとすぐわかるオーラがありますね。

サイン会の方は撮影よりもお話する余裕があるイメージだったので、
ユアンに何を言おうか迷っていたのですが、好きな作品が色々ありすぎてこれと選べない…
トレインスポッティングは当たり前だし、シャロウ・グレイヴとかリトル・ヴォイス?
美女と野獣とかジャックと天空の巨人… もしくはカラーに口紅とか? 
スターウォーズは特に好きだけど、みんなそうだろうし…
そして、私は彼を好きになったきっかけを話そうと決意しました。

ブースに入って、スタッフに使って欲しいペンの色を伝え、
書いて欲しいものを手渡すと、ユアンの隣にいる海外のスタッフに渡されます。
そしてついに自分の番になって、
「ERに出ているあなたを見てからずっとファンです!1997年から!」と伝えました。

Carol Is Taken Hostage In A Shop | ER

「ER」シーズン3エピソード15の「険しい回り道」
そう、このエピソードがユアンとの出会いでした。売店に強盗に入った若者ダンカン。

ユアンはサインした後、私を見上げて「わぉ本当に?ありがとう!」と満面の笑みで見つめ返してくれました。
その笑顔がもう映画の中で見る笑顔そのままで! そのあまりの破壊力に私の体は完全にフリーズ(笑)。
言葉を失ったまま、我に返って慌ててサインを受け取ると
「これからも応援してますっ!」と逃げるようにブースを出て行きました(笑)
今でもその笑顔が網膜に焼き付いて離れません。いいや、一生離れなくていいっ!!

ちなみに、私がサインをもらったのは「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」ジャパンプレミアでもらったパンフレット
これ自体もレアなはずだけど、さらにユアンのサインもついて超レアのお宝となりました!

こうして、私の1日だけのコミコン参加は終了したのでした。

今振り返ると、もっとこうしたかったとかこう話せばよかったとか考えることもありますが、
舞台の出待ちと同じく、イメージ通りに行くほうが奇跡
もちろん誰だってスターに出会うなら完璧を目指したいけど、
大好きな人を前にして緊張しないわけがないし、対面できただけでもありがたいことだと思わなければ。
そういう意味で、シャロコンの経験は何年も前とはいっても今回の助けになりました。

今回撮影できた写真は早速携帯のホーム画面にして、仕事で疲れた時にチラチラと見ています(笑)。
これがあれば多少の辛いことも乗り越えられるというものです。

コミコンでいろんな経験をされていろんな感想をお持ちの方がいて、
賛否両論、それぞれ凄く納得の行く感想ばかりですが、
個人的には想像していたほど酷いコンベンションではなく、
スタッフもなるべく問題に対処できるように動いていることが見て取れました。

今回たくさんの人に会うために撮影やサインを絶え間なく続けてくれたセレブや
決して安くないお金を払ってセレブに会いに来た参加者の人たち、
出来るだけ参加者の希望を叶えようと対応してくれたスタッフがこの後も健康に過ごせるといいなと思ってます。
私は休日の今日一日腰が痛かったです(笑)。

 

■■■関連記事■■■

【シャーロック公式コンベンション"Sherlocked the Event" at Excel London(2015年4月)】

【ユアン関連】

 

【ついにD+加入!】SWスピンオフドラマ「オビ=ワン・ケノービ」第1話・第2話 - だから、ここに来た!

長年アマプラとNetflixユーザーの為、これ以上サブスクに入るのは控えていましたが、ついにディズニープラス(以下D+)に加入しました。お目当ては2022年5月27日に配信が始ま...

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『ロボッツ』試写会 

『STAR WARS ep.3 シスの復讐』チャリティ・プレミア・試写会 

 

【ベネディクト関連】

英国公開初日「ドクター・ストレンジ」をBFI IMAXで見る!【最後だけネタバレ】

バービカンでベネディクト・カンバーバッチ主演の「ハムレット」を見る 

【ベルリン編】「ホビット 竜に奪われた王国」を初日で見る 

"The Empty Hearse(空の霊柩車)" BFI Screeningをひやかしに行く。

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想定外の夢の共演!「ドクター・フー:ザ・ギグル」

2023-12-10 | TV/その他

「ドクター・フー」60周年を記念するスペシャル第三弾、最終回にあたる「ドクター・フー:ザ・ギグル」!
初代ドクターの時代から登場している敵役トイメーカーをニール・パトリック・ハリスが演じます。

前回の「ワイルド・ブルー・ヨンダー」の最後で、なんとかロンドンに戻ったドクターとドナがウィルフおじいちゃんと再会。
しかし、街は争う人々で混乱しドクターの力が必要な状態に。

前回のあらすじと感想はこちらから↓↓↓

 

贅沢なSF密室劇!「ドクター・フー:ワイルド・ブルー・ヨンダー」 - だから、ここに来た!

「ドクター・フー」60周年を記念するスペシャル第二弾「ドクター・フー:ワイルド・ブルー・ヨンダー」!タイトルを訳すと「紺碧の彼方」、しかし劇中に説明されるように...

goo blog

 

↓↓↓今回のあらすじ↓↓↓

人類が自己中心的になり、地球中で暴力行為が横行していることをUNITから説明を受けるドクターとドナ。
2日前から起動した人工衛星によって世界中の辺境な土地でもネットにアクセスできるようになったことがきっかけだと言う。
ドナは人間の脳から自然発生してる7回の波動反応から、アルペジオの旋律であると発見。
そしてそれがジョン・ロジー・ベアードが世界初のテレビ放送で流した人形Stooky Billの映像に隠された笑い声であると判明する。
何者かが全ての映像にその笑い声を忍ばせ、人類の脳に刷り込み、全ての人間に広まるまで機会を待っていた…
その何者かに心当たりのあるドクターは、ドナと共にStooky Billが放送された1925年10月2日、ソーホーのフリス通り22番地に向かう。
ソーホーのおもちゃ屋で待ち構えていたのは、ドクターのかつての敵、トイメーカーだった。

 

↓↓↓以下、ネタバレ含む感想↓↓↓

特番の最終回… つまりドクターの再生…
視聴者が14代目ドクターデヴィッド・テナントとお別れし、15代目ドクターシューティ・ガトワと初対面する回でもあります。
別れの悲しみと出会いの喜びを同時に味わうエピソードになるのは必至…

しかし、そんな心の準備を裏切り!なんと!トイメーカーにビームで撃たれた後、
二重再生(バイジェネレーション)で14代目から15代目が分割して生まれると言う展開に!
14代目と15代目が再生直後にハグ!そして一緒にトイメーカーと対面しキャッチボール勝負!?
こんなことが実現するなんて!

しかも洋服を分け合ってるのが笑える。
14代目が裸足にノーパントラウザーで、15代目がパンイチ(笑)!
60周年なのに、50周年みたいに複数のドクターが共演する機会がないことに寂しさを感じていましたが、
こんな共演シーンが控えていたなんて!最高!

ミスター”ドクター・フー”とも言える10/14代目のデヴィッドが15代目のシューティをハグすることで、
これまでのドクターたちが新ドクターを歓迎し祝福しているようで感動するし、
勝利しながらも浮かない顔の14代目を15代目が抱き寄せキスするシーンは、
これまでドナを励ましながらも、自分も慰めを求めていた14代目の傷を癒すようで…(涙)
もう一人の自分に励まされるって、ある意味、最大の理解者と傷を分かち合うことだからどんな慰めよりも効きそう。
そして14代目にもターディスが残せて本当に良かった。

でも正直、ドナの家族と平和に食事を囲む14代目を見て
「良かったね…(ホロリ)」と思うのと同時に「ズルいなー」とも思った。
11代目とエイミー&ローリーが仲良くしてた頃の時代とか思い出して、
彼らや他のドクターもこんな風に過ごせてたかもしれないのになと思ったりして。
まあリヴァー・ソングが一緒じゃあ、どっちにしろ普通の家族にはなれなさそうだけど。

トイメーカーが劇中でドクターを批判した、コンパニオンを犠牲にするスタイル?が
スティーヴン・モファット期の批判される理由の一つみたいですが、
私は今回のような「甘さ」で逃げなかったのが、モファットの偉いところだとも思う。
彼がここまでドクターに容赦なく別れを与えたからこそ、今回の設定がやっと生きてくるだろうし。
これから毎回二重再生が可能になったら、ドクターがどんどん増殖しちゃうじゃん!

10代目の人間の分身はローズと一緒にいるし、14代目はドナと一緒。
デヴィッドが人気のあるドクターだからとしても、
RTD期だけドクター複数作ってズルいよ!と言うのが正直な感想。

とはいえ、これからも14代目やドナが再登場する可能性が十分にあるのは嬉しい。
デヴィッドは70周年にも駆り出されそうな勢いだ。
14代目がドナの娘の方のローズと一緒にターディスで出かけるミニソードも見てみたい。
ドナは12万ポンドと休暇5週間でUNITに就職するのかな。いやこの条件で迷う理由がないよね。
今回のドナは特に頼もしくて、ドクターとドナがちゃんと出会えて良かったなーってしみじみ思った。
そういえば一番笑ったのは、英国首相が「国民なんてどうでもいい!」と発言する動画が流れた時のドナの一言「前からだよ」
私も「変わってないじゃん」と思ってた!

あと、この特番が始まる前、14代目の目の下の隈がやたら目立ってて
「歳を取ったデヴィッドはドクターに相応しくない」
「人は歳をとるもんだろうが!」「初代や12代目が就任した時に何歳だったか知ってんのか!」
っていうファンのやり取りを見かけたけど、
最後の休養中の14代目の表情はGOのクロウリーみたいにツルツルすっきりしてたし、番組上の演出のメイクだったんだろうな。
なんにしろ、ドクターをやる年齢がどうのなんて、大きなお世話ですな!

そして、私は何気に6〜7代目の時代にコンパニオンとしてドクターと旅をした
コンピューター・プログラマーで元コンパニオンであるメルの
「姿は変わっても、そんなの関係ない。だってどんなドクターも最高だもの」
ってセリフが一番グッときました。本当そうだよな!
UNITの化学部長ケイトからのガッチリハグも好きでした。

NPHのトイメーカーはキャラクターとして面白かったけど、
ストーリー的には盛り上がりに欠ける感じがした。
最後にキャッチボールってのがまた、盛り上がるにも限界がある気がするけど。
もうちょっと勝負の見せ方がなんとかならなかったのかと思う。演出の問題かも。

なので、この全三話の個人的レートは
第一話=7/10点
第二話=8.5/10点
第三話=6.5/10点 って感じ?

ともあれ、15代目としてのシューティの活躍が今から楽しみです!
今回の出演で(いつもと同様に)すでにスタイリッシュな振る舞いの15代目が大好き!
マスターについても言及されていたし、新しいマスターも登場するのかな?

新シリーズもディズニープラスで放送されるようなので安心しました!


■関連記事■

↓シューティが出演していた映画「バービー」

 

実はケンの映画でもあった…映画『バービー』 - だから、ここに来た!

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↓こちらの次回作でのデヴィッドの活躍も待たれる!

 

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贅沢なSF密室劇!「ドクター・フー:ワイルド・ブルー・ヨンダー」

2023-12-04 | TV/その他

「ドクター・フー」60周年を記念するスペシャル第二弾「ドクター・フー:ワイルド・ブルー・ヨンダー」
タイトルを訳すと「紺碧の彼方」、しかし劇中に説明されるようにアメリカ空軍の軍歌「空のかなたへ」のタイトルでもあります。
なんでこの曲を使ったのかな… まだその理由の考察は見かけていないのですが…

前回の「スター・ビースト」で、ドナがコンソールにコーヒーをぶっかけてしまい(!)
制御不能となったターディスがドクターとドナを未知の場所へと連れて行きます。

 

前回のあらすじと感想はこちらから↓↓↓

 

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↓↓↓今回のあらすじ↓↓↓

ドクターとドナは暴走したターディスによって、巨大な宇宙船内に到着する。
ソニックスクリュードライバーを扉の鍵穴に差し込み、ターディスの修理を試みるドクターだったが、
HADS(敵対行為変位システム)のため、ターディスは2人を置いて飛び去ってしまう。
生命体の気配のない宇宙船、通路に置かれた古びた一体のロボット、定期的に宇宙船内に響き渡る言葉…
不安を募らせるドナを励ましながら、ドクターはドナと協力して休眠状態の宇宙船をアクティブな状態に戻そうとする。
しかし、別の部屋で作業していたドクターの前に現れたドナはどこか不自然で…

↑ドクターの今回のスチール、どれもカッコ良すぎる。モデルかっ!

 

↓↓↓以下、ネタバレ含む感想↓↓↓

前半は、宇宙船内と同じく、ずいぶんスローテンポだなと思っていましたが、
後半になるにつれ、宇宙船の謎が明らかになり、一気にドクター・フーらしい展開になって満足しました。
宇宙船の大きさが、ディズニーの製作費のデカさを感じさせます。
船内を移動するカートに乗る時に、「サンダーバード」のレディ・ペネロープとパーカーのやり取りを真似しててちょっと嬉しかったり。

宇宙船でたどり着く途中に出会ったアイザック・ニュートンがいい男だとドクターが認めるシーンがありますが、
14代目はゲイかバイ、もしくはキャプテン・ジャックのようにパンセクシャルになったのかな。
前回のノンバイナリーに引き続き、ドクターのセクシャリティも流動的になっているのかも?
一部の視聴者にwokeだwokeだと揶揄されたりしていますが、
ファンの間ではかつてアンドリュー・ガーフィールド演じるフランクにも「(再会が嬉しかったら)後でキスしていいよ」と言ってたことがあったよね?
などと、ドナが言ってたように、ドクターのセクシュアリティの揺らぎは今に始まったことではないと言及する人も。

そしてニュートンがドクターたちと出会ったために、重力(gravity)が集力(mavity)に変わってしまったのが気になる… あとで回収されるかな??

 

ターディスに置いていかれて、広大な宇宙船の中でとり残されたドクターとドナ。
口喧嘩しながらも、動揺するドナの手に口付けて元気付けるドクターの優しさにジーンとします。

HADSは2代目ドクターの時代に初出のシステムで、
最近では11代目の「冷戦」(マークの脚本回だ!さすが!)で引用されてます。

密室でドクターとドナ(つまりデヴィッドとキャサリン)しか出てこないのって逆に贅沢!
1時間、2人の演技をたっぷり見られるのは嬉しいですね。
しかも敵は、相手をコピーする未知の生命体! 敵も味方もデヴィッドとキャサリン!
1話で2人の、2種類の演技を堪能できるなんて最高。
(吹き替えだとさらに4倍楽しめることに!)

ちなみに、吹き替えでロボットを見に行きたいドクターが
ドナに「帰りを待ってる家族がいるんですけど!」と反対されて
ドクター「うぅんぃ〜?」
ドナ  「はぁー、わかった!」
ドクター「いぇーい!」 ってところが可愛かった。

しかし、完全にコピーしきれていない敵(英語字幕だと"not-things"と書かれている)が
巨大化したり腕や顎だけ伸びたり、普通にキモい!(笑)
でもこれって昨今のAI技術のメタファーのような気もしますね。
コピー元を真似することでどんどん正確になっていく。
最近現実でも映画の中でもAIネタばかりで食傷気味になっていましたが、
AIという言葉を出さなくても、それをモチーフにして物語を作れるんだよな。

巨大な手を操作するデヴィッド↓↓↓

ドナがドクターはガリフレイ出身ではないということに言及したり、
ドナと離れている間、ドクターが宇宙の半分を崩壊させたと話すシーンがありましたが、
これは前シリーズ(FLUX)の設定を引き継いだもの。

前回も書いたように、私は13代目ドクター=クリス・チブナル期を視聴したのは途中までなので、
その設定はいまだにほんのりとしか知りません。
(当時かなり厳しい意見が飛び交っていたので、怖くて見れていない… 臆病でごめん)
それでもなんとなくFLUXの内容なんだろうなと察しながら鑑賞してました。

偽ドナに寄り添う言葉を掛けられ、一度は心を開き掛け抱きつこうとするドクターの前で偽ドナが崩れ落ち、
逃げ込んだ通路の中で当たり散らすドクター。胸が痛い…

どれが本当のドクターで本当のドナなのか??
最後まで分からない緊張感と同時に、宇宙船の謎もだんだんと解き明かされていくのが、スリリングで面白い回でした!
こういう話を見るのがドクター・フーを見る醍醐味だよなぁ!
前回が7/10点なら、今回は8.5/10点かな。

そして最後のバーナード・クリビンス演じるドナのおじいちゃん、ウィルフレッドとの感動の再会!
みんなドクターとウィルフの再会を待ちに待っていましたよね!
実は私は今回のスペシャルの撮影場所のスクープ画像で出演することは知っていたので、
驚きはしなかったのですが、やっぱり彼らの再会はとても嬉しかった!

バーナードは亡くなる前にこの場面はなんとか撮影できたそうで、やはりこのシーンが遺作となるようです
個人的にはピーター・セラーズの「泥棒株式会社」や「フォルティ・タワーズ」のゲスト出演も印象に残っています。

RIP Bernard...

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