殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

雇用サスペンス劇場

2008年11月05日 11時45分10秒 | 不倫…戦いの記録
私が夫の帰還を快く承知しなかったのを根に持った義母は

今回から息子の世話は自分がする!と宣言しました。

しかし、夫には

「散らかし、片付けられない」という悪癖がありました。

子供の頃と違って持ち物が増え

悪癖はさらに重症化の一途を辿っているので大変そうでした。


硬式野球、軟式野球、ソフトボールのチームに誘われるまま入り

ユニフォームだけで七種類×夏用冬用、練習着もそれぞれ…。

昼間遊んでいるので、日暮れには元気いっぱいです。

ほとんど毎晩どこかの練習に顔を出し

週末はダブル、トリプルで試合の掛け持ちです。


浮気中はそれもお休みですが、終わるとまた復活。

各チームメイトはちゃんとわかっていて

いつも優しく迎え入れてくれますが

それによって噂が広まる範囲と速度が早いのも事実でした。


いつも家にいないことが普通なので

発覚した時には手遅れ…という事態になるのも

原因の一端はこの趣味にあるのではないかと思います。


夫にすれば、唯一の現実逃避であり

いかんなく自分を発揮できる場面だったのでしょう。


仕事を目一杯させて疲れさせたら、変なほうへ目が向かないのでは…?

と、いろんな人がアドバイスしてくれました。

させると労災事故につながったことが何度もあり

自身もそれが元で腰を痛めていたので

人に迷惑をかけるよりは…と遊ばせていました。


腰が悪いわりには

せっせとよそで使えるのが不思議ですが

後で聞きますと、浮気中と野球中は

なぜか麻酔を打ったように痛みが出ないのだそうです。



話がそれましたが、ユニフォームに戻ります。

とまれ、帰った翌日から再び始まった球技三昧の日々に

義母はその管理だけでネをあげました。

本当にチームに参加しているのか

I子のところへ通っているのかはわかりませんが

衣装だけは着替えるので

その後始末や小道具の分類が必要なのです。


義母から返品された夫の私物の中に

家出する時持たせたバッグがそのままありました。

中身を引っ張り出していると、新しい通帳が出てきました。


「オフィス・クィーン  代表○○I子」

夫が帰る一週間前の日付で開かれた普通預金の口座でした。

マネーロンダリングへの懸念がまだ浅く

どんな名前でも口座が開ける最後の頃でした。

ご新規…1000円。

        やれやれ、しみったれたオフィスだこと…



ピンときたものがあり、さっそく夫のところへ行きました。


        「ほれ、一万円あげよう」


「えっ?ほんと?」

ツンツンプンプンも一瞬で終了です。


      「もう一万円あげるから、この通帳のことをお話し…」

「…え…」

      「全部話して、楽におなり…」

       

…全部話すから助けてほしい…

夫は話し始めました。


通帳は、I子と二人でトンネル会社を作り

父親の会社の利益をピンハネする目的で開設したこと。

この通帳に現金や手形、小切手が回るよう工作しろと言われて

今回帰って来たこと。

うまく工作できたら、I子が代表の「オフィス・クィーン」とやらで

雇ってやると言われ、複雑な気持ちなこと。

そうは言われても、どうやったらいいのかわかず

I子の催促が厳しくて、とても困っていること。



やっぱり…と思いながら、転げ回って笑いました。

悪知恵は働くがあまりかしこくはない崖っぷちのI子が

自由に操れる自分よりお馬鹿な獲物を

そう簡単に逃がすはずがないのです。



          「発想は悪くないんだけどねぇ」

笑いすぎて涙を拭きながら、私は言いました。


取引のほとんどが約束手形の商売です。

普通預金でなく当座預金の通帳を持っていなければ、現金化は困難です。


     「これじゃ無理だから、まずおまえが当座を開けと

      言っておやり。

      今度はI子が困るだろうから」       



「わかった…でも、それだけじゃないんだ…

 そのうち親父を殺す計画なんだ」

     
           「わたしゃかまわんよ」

コメント (2)
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