殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

帰郷

2008年11月16日 14時31分43秒 | 不倫…戦いの記録
夫とも久しぶりの再会でしたが

これといった感情は無く

強いて言えば、卒業以来会わなかった

あまり親しくない同級生のような感じでした。


帰る、帰らない

子供をよこせ、渡さないの問答を蒸し返す気分にもならず

ただ食事に行ったり観光地へ行ったりして過ごしました。


次男は、義母がどうしても会わせないと言うので

置いてきたそうです。


顔が私にそっくりな長男は

その顔のためになにかと割を食うことが多く

夫に瓜二つの次男は、生まれた時から祖父母に溺愛されていました。


彼らが帰り支度を始める頃

私は帰る決心に至っていました。

「僕が受験する高校のある町に、アパートを借りよう。

 子供じゃ無理だから、僕が父さんに話す。

 アパートを用意させて

 引っ越しがすんでから離婚すればいいじゃん」

長男がこっそり言いました。

         「よっしゃ」


店に退職の意思を伝えました。

社長はびっくりして止めましたが

妻である女将さんは社長を制して言いました。

「よし、わかった。

 帰れる時に帰らないと帰れなくなる。

 でも、もしうまくいかなかったら、いつでも戻っておいで」 


女将さんも、夫の浮気で苦労した人でした。

愛人を囲った上に、子供まで出来ていました。

金持ちには金持ちなりの苦労があるようです。


長男は受験に合格し、アパートも決まりました。

たくさんの恩人に別れを告げ、九州をあとにしました。


新しいアパートに向かう途中

夫の携帯に義母から頻繁に電話がありました。

「家に寄るようにって」

        「なんで?」

「今謝れば許すって」

        「まだ言ってんのか」

「謝らないと、次男は渡さないって」

        「無視無視」


おばさんの家に居た時、遠く離れて気が大きくなった私は

帰れだの謝れだの言って来る義母に

それまで絶対に言わなかった鬼門…義姉の里帰りについて触れました。


      「出た人間が毎日帰って来るから

       居るべき人間が出たくなるんじゃありませんか!」


これをすっごく根に持っているのです。

娘への非難を撤回させるために、私の謝罪を欲しているのです。


             知るか!



アパートは、高台の見晴らしの良い所でした。

大家さんは、偶然にも私の実家の町出身の人で

それは良くしてくれました。


初日の夜、さっそくI子の嫌がらせの電話がありました。

最初は夫が電話を取ったのですが、私に替わらせたのです。

どこまでもチキンな男です。


「子供を捨てて出て行った者が、よくのこのこ帰って来れたわね」


もちろん決して名乗りません。

I子の名前は出さずに

あくまで他人が嫌がらせをしているふりをしたいようです。

しかし、そんな物好きなどめったにいるものではありません。

自分たちがそうだからといって

世間もそうとは限らないのです。


こちらに戻ったことを知っているのは、家族とI子だけです。

そばで赤ん坊のむずかる声がしました。

I子の妹がお産で里帰りしていることは、夫から聞いていました。

電話の主は、妹のようです。

私と面識のあるI子に代わり

姉妹愛と、一方的に聞いた内容への稚拙な正義感から

代役を買って出たのはあきらかでした。

遠くで母親らしき低いガラガラ声も聞こえます。


     「夫ならあげますよ。いらないから」

「えっ?でも一緒に帰って来たんでしょ?」

     「引っ越しのためですがな」

そんなことは初耳の夫はきょとんとしています。

電話は切られました。

しょせん姉の代行です。

しつこく食い下がる情熱は無いのでした。


     「そういうことだから、出て行ってね」

少しはこっちも仕返しくらいしたいです。


後は、次男を取り返すだけです。


        
コメント (2)
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