語気に強弱をつけながら、自分本位の理屈をこねて押したり引いたり…。
本人はご満悦でしょうが
ごくオーソドックスなユスリのパターンにそろそろ飽きていました。
「証拠があると言ったろう!」
「なんだと…」
め○かは、乾燥した薄い唇を曲げて
こちらをにらみつけます。
「あんたの奥さん、太ももの内側に赤いアザがあるよね。
おへその横に二つ、ホクロが並んでるよね」
「…どういうことだ…」
「それを私が知ってるってことだよ!」
キマッた~!
「…レズか…?」
えっ…
写真のことなんですけど…。
「…おまえら…レズなのか!」
め○かは細い目をまん丸に見開いて、呆然としています。
行きがかり上、ここでひるむわけにはいきません。
「なんでもいいさね。とにかく裁判やってみようや。
そこで証拠を全部出すわ」
「…」
め○かは、まだ立ち直れないようです。
「多分、びっくりするよ」
「…見せろ…その証拠を見せてみろ!」
見せられるか…とっくに捨てとるわい…
「出る所へ出てから公開するわ。
それがスジってもんでしょ。あんたの好きな」
「…」
「あんたも女房の監督不行き届きだよね」
その時です。
「みりこんちゃ~ん!大丈夫~?」
大家さんがドアをドンドン叩きました。
アパートの隣人が騒ぎを聞いて大家さんを呼んでくれたようです。
め○かを押しのけてドアを開けると
大家さんとその娘、隣人…
その後ろに幽霊のような顔をしたE子が立っていました。
「ハ~ッ!」
空手2段の大家さんの娘は
め○かに向かって
ウルトラマンのスペシウム光線みたいなポーズでかまえています。
「ちょっと!なによ、あんた!」
大家さんはバットを持っていました。
め○かは黙ってその横をすり抜け
ずんずんと大股で車のほうへ歩いて行きました。
E子も無言で後を追います。
車が走り去るのをみんなで見送りました。
この後、あの夫婦には
疑惑と倒錯の世界でおおいに戸惑っていただきましょう。
思わぬ展開になりましたが
多分誰も深く傷つかないように思えるこの結果に
私はひとまず満足していました。
こっちのほうが断然おもしろいです。
泣きわめいて責め合ったり、なにもかも暴露して傷つけ合うなんて
初心者のすることです。
同じパターンを繰り返していては、進歩が無いと思いました。
芸人の血が騒ぐと言ったら、不謹慎でしょうか?
色事で問題の多い夫を持つ身としては
レスビアンと間違えられるくらいなんでもありません。
夫は、いつの間にか騒ぎを抜け出し
寝転がってテレビを見ていました。
それにしても…
私はちょっぴり残念なのです。
め○かにはぜひ
「今日はこれくらいにしといてやらぁ!」
と言って欲しかった…。
本人はご満悦でしょうが
ごくオーソドックスなユスリのパターンにそろそろ飽きていました。
「証拠があると言ったろう!」
「なんだと…」
め○かは、乾燥した薄い唇を曲げて
こちらをにらみつけます。
「あんたの奥さん、太ももの内側に赤いアザがあるよね。
おへその横に二つ、ホクロが並んでるよね」
「…どういうことだ…」
「それを私が知ってるってことだよ!」
キマッた~!
「…レズか…?」
えっ…
写真のことなんですけど…。
「…おまえら…レズなのか!」
め○かは細い目をまん丸に見開いて、呆然としています。
行きがかり上、ここでひるむわけにはいきません。
「なんでもいいさね。とにかく裁判やってみようや。
そこで証拠を全部出すわ」
「…」
め○かは、まだ立ち直れないようです。
「多分、びっくりするよ」
「…見せろ…その証拠を見せてみろ!」
見せられるか…とっくに捨てとるわい…
「出る所へ出てから公開するわ。
それがスジってもんでしょ。あんたの好きな」
「…」
「あんたも女房の監督不行き届きだよね」
その時です。
「みりこんちゃ~ん!大丈夫~?」
大家さんがドアをドンドン叩きました。
アパートの隣人が騒ぎを聞いて大家さんを呼んでくれたようです。
め○かを押しのけてドアを開けると
大家さんとその娘、隣人…
その後ろに幽霊のような顔をしたE子が立っていました。
「ハ~ッ!」
空手2段の大家さんの娘は
め○かに向かって
ウルトラマンのスペシウム光線みたいなポーズでかまえています。
「ちょっと!なによ、あんた!」
大家さんはバットを持っていました。
め○かは黙ってその横をすり抜け
ずんずんと大股で車のほうへ歩いて行きました。
E子も無言で後を追います。
車が走り去るのをみんなで見送りました。
この後、あの夫婦には
疑惑と倒錯の世界でおおいに戸惑っていただきましょう。
思わぬ展開になりましたが
多分誰も深く傷つかないように思えるこの結果に
私はひとまず満足していました。
こっちのほうが断然おもしろいです。
泣きわめいて責め合ったり、なにもかも暴露して傷つけ合うなんて
初心者のすることです。
同じパターンを繰り返していては、進歩が無いと思いました。
芸人の血が騒ぐと言ったら、不謹慎でしょうか?
色事で問題の多い夫を持つ身としては
レスビアンと間違えられるくらいなんでもありません。
夫は、いつの間にか騒ぎを抜け出し
寝転がってテレビを見ていました。
それにしても…
私はちょっぴり残念なのです。
め○かにはぜひ
「今日はこれくらいにしといてやらぁ!」
と言って欲しかった…。