殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ドロちゃん

2008年11月11日 15時42分46秒 | 不倫…戦いの記録
出勤した私を見て

夫は事務所の窓やドア、社内で使う重機など

外から私の存在が分かるガラス製のものすべてに

急いでシールドを貼りました。


「日焼けしたらいけないから…」

誰も聞いてないのに苦しい言い訳をしていましたが

I子に知られると怖いからです。

しかし、その手際の良さ、素早さには驚きました。

こんなことを思いつき、また実行できるなら

ぜひ仕事の方面にも生かしてもらいたいものです。


会社には、事務員として義母の妹もいます。

入社にあたって、私は彼女の所に電話をしていました。

…自分はそこであなたがやっている仕事をしたいと思う。

ついては、辞める気はないのかと…。


そもそもこの人は、義母の実の妹ではなく

戦後の動乱で親族の何人かの縁が変わったために

突き詰めると妹にあたるという複雑な関係の人でした。

おいしい時だけ親戚を名乗る身内の一人です。


「下の子が大学を卒業するまでは勤めたい」

という答えでした。

人の子の卒業を待つなど悠長なことは言っていられません。

四面楚歌のこっちは命がけです。


その人、私、時々来る義姉、幽霊社員の義母…。

元々必要のない女が従業員の3分の1を締める

きわめて不経済な体制が整いました。


邪魔しかできませんでしたが

仕事はなかなか面白く、毎日楽しく過ごしていました。


現場は夫、数字は義姉の管轄でしたが

この両方を一人の人間で回せるようになれば

無敵だと思ったので、必要な資格を取りに行ったりもしました。


面白くなかったのは、義姉でした。

「私みたいに簿記1級を取らないと経理はさせられない」

と、ことあるごとに言うのですが

いくら決済権のある1級を持っていても

会計士がついているから不要だと言ったら、泣いて帰りました。


他の従業員と仲良くおしゃべりするのも気にいらず

義父に何やら言いつけたようでした。


「仕事がしたいんなら、明日から化粧をするな」

           「は~?」

「派手な者がいると風紀が乱れる」

義姉が後ろでニヤリと笑っていました。


こういう理不尽な言動は、無視です。

何日か経っても、義父は執拗に言い続けました。


「するなと言ったろう」

         「日焼け止めです」

「目とかもしてるじゃないか」

         「虫除けです」




「これで派手だったら、自分の女房や娘はお水だね…」

決して味方ではない義母の妹も、これにはあきれていました。


しかし、それはごく些細なことでした。

娘の立場が日々侵犯されていくのを親として心配する気持ちは

こちらが考える以上に大きいものだったようです。

家ではまた、不条理な出来事が多々起きていました。


風呂に入っていたら外から閉じ込められたり

靴を全部捨てられたり

夕食の支度にとりかかるのが数分遅れると

なじみの料理屋に電話して

「病人なのに嫁が支度をしてくれない」

と二人分の食事を頼むようになりました。

それを受け取りに行けと言うのです。

もちろん行った先では白い目でごらんいただき

イヤミや説教が待っています。

平気ですが。


以前より悪質な上に、義母まで荷担しているので

今度はちょっと大変でした。

強引に押して、失敗したかなぁ…と思っていた矢先

口のきき方が生意気だという理由で

長男がお年玉を何年も貯めて買い、大事にしていた釣り竿を

義父がバラバラに折って燃やしてしまいました。

孫だけは可愛かったはずでしたが

私がゴリ押しした娘の領域侵犯への見せしめでした。

長男は涙を流して黙っていましたが、そろそろ限界を感じました。


ボーナス支給日の夜、会社の人が家にやって来ました。

「若から、今年はボーナスが無いって聞いたんで、もう辞めます」


両親は呆然としていました。

義姉が銀行へ行ったのを知っている私も驚きました。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする