「あいつは、前の奥さんに毎日嫌がらせをしてノイローゼにしたと…。
奥さんはおかしくなって、車で家を飛び出して、崖から落ちたらしい」
「お義父さんはノイローゼにはならんと思うなぁ…」
「それだけじゃない。
東京時代に知り合った
闇から闇へ葬ってくれる商売の人がいると言うんだ。
でも…親父は嫌いだけど、人を頼んで殺すとなると…」
「本気にしてんの?」
「のぼせてる時は大賛成してたんだけど
よく考えたら恐ろしいし…」
「タダじゃやってくれんし、ウソだよ。
I子、お金無いし、崖っぷちだもん」
「芸能界に出入りしてるんだぜ?マンションだってあるんだぜ?」
「あれ、ウソらしいよ…」
「え…?」
「困ってなかったら、好き好んで
手当たり次第によそへ入り込んだりしないよ。
あんたと同じ、大ボラ吹きなんだよ」
夫はしばし呆然としていましたが
「でも…あいつの家、おかしいからマジで怖い。何するかわからない」
と頭を抱えます。
二階の二人の新居?にある
整理ダンスの上に並べた13個の位牌が
夜になったらカタカタ鳴るのだそうです。
「出て行け、働けと言われたのもあるけど
それが怖くて寮に入ったんだ。
自殺したお父さんの幽霊は出るしさ…」
おぉっ!すばらしい家ではないか!
「殺すとしたら、まず私じゃないの?
お義父さんは、その後でいいんじゃない?
家に入り込んでからで」
「最初はおまえのことも確かに狙っていたけど
離婚すればすむことだし
おまえが死んだって何もないけど
親父が死んだら会社がオレのものになるから…」
「そう言われたんだ…」
「うん…」
それに…と夫は私を恨めしげにいちべつし
「おまえはしぶといから絶対死なないと思う…」
と言いました。
14番目の位牌になってしまえ…
「思い通りにならないから、石を投げてみたいだけよ。
子供っぽいおどしよ。」
こうなると、悪い癖が出ます。
鼻の穴にこっそりピーナツを詰めては
ドキドキ感を楽しむ子供でした。
友達が掘りコタツに頭を突っ込んで死にかけたと聞いて
親戚の家で試したくてウズウズしました。
面倒臭がりの怠け者なんだから
これ以上面倒なことにならないうちに
さっさと身を引けばいいものを
コトによってはつい燃えてしまうのです。
トイレから出て来るという父親の幽霊はわかりませんが
位牌が鳴るのは、木造住宅のせいだと思われます。
木造の二階が思いのほか揺れるのを
少し前にあった親戚の法事で体験したばかりでした。
夫は鉄筋の家しか住んだことがないので
不安定なタンスの上に置かれた位牌が揺れるなど
想像もつかないでしょう。
おおかた下で母親が洗濯とかしているはずです。
しかし、タンスの上で位牌がダンス…
このフレーズが気に入ってしまいました。
そうよ!私たちは位牌!ダンスが命!
今宵も踊るの!ランララ~ン♪
夫に木造のことは言わず、怖がってもらいましょう。
「これからどうしようか。
よかったら、希望を聞かせて?」
「図々しいと言われるから…」
「何をいまさら。とっくに思いっきり図々しいじゃん」
「できれば、今はこのままI子と続けて
時期が来て自然に別れるのを待ってほしい」
「待てと?
待てば改心して、いいパパになれるのかな?」
「わからないけど、努力はする…」
「I子と結婚する予定はないの?」
「無理と思う。
位牌や幽霊くっつけて来られたんじゃあ、お袋が許さない」
「位牌や幽霊がなかったら?」
「わからない…でも、多分そうなったら、オレは死ぬと思う」
「…死にたくないんだ…」
「うん…」
やっぱり14番目の位牌になれ…
奥さんはおかしくなって、車で家を飛び出して、崖から落ちたらしい」
「お義父さんはノイローゼにはならんと思うなぁ…」
「それだけじゃない。
東京時代に知り合った
闇から闇へ葬ってくれる商売の人がいると言うんだ。
でも…親父は嫌いだけど、人を頼んで殺すとなると…」
「本気にしてんの?」
「のぼせてる時は大賛成してたんだけど
よく考えたら恐ろしいし…」
「タダじゃやってくれんし、ウソだよ。
I子、お金無いし、崖っぷちだもん」
「芸能界に出入りしてるんだぜ?マンションだってあるんだぜ?」
「あれ、ウソらしいよ…」
「え…?」
「困ってなかったら、好き好んで
手当たり次第によそへ入り込んだりしないよ。
あんたと同じ、大ボラ吹きなんだよ」
夫はしばし呆然としていましたが
「でも…あいつの家、おかしいからマジで怖い。何するかわからない」
と頭を抱えます。
二階の二人の新居?にある
整理ダンスの上に並べた13個の位牌が
夜になったらカタカタ鳴るのだそうです。
「出て行け、働けと言われたのもあるけど
それが怖くて寮に入ったんだ。
自殺したお父さんの幽霊は出るしさ…」
おぉっ!すばらしい家ではないか!
「殺すとしたら、まず私じゃないの?
お義父さんは、その後でいいんじゃない?
家に入り込んでからで」
「最初はおまえのことも確かに狙っていたけど
離婚すればすむことだし
おまえが死んだって何もないけど
親父が死んだら会社がオレのものになるから…」
「そう言われたんだ…」
「うん…」
それに…と夫は私を恨めしげにいちべつし
「おまえはしぶといから絶対死なないと思う…」
と言いました。
14番目の位牌になってしまえ…
「思い通りにならないから、石を投げてみたいだけよ。
子供っぽいおどしよ。」
こうなると、悪い癖が出ます。
鼻の穴にこっそりピーナツを詰めては
ドキドキ感を楽しむ子供でした。
友達が掘りコタツに頭を突っ込んで死にかけたと聞いて
親戚の家で試したくてウズウズしました。
面倒臭がりの怠け者なんだから
これ以上面倒なことにならないうちに
さっさと身を引けばいいものを
コトによってはつい燃えてしまうのです。
トイレから出て来るという父親の幽霊はわかりませんが
位牌が鳴るのは、木造住宅のせいだと思われます。
木造の二階が思いのほか揺れるのを
少し前にあった親戚の法事で体験したばかりでした。
夫は鉄筋の家しか住んだことがないので
不安定なタンスの上に置かれた位牌が揺れるなど
想像もつかないでしょう。
おおかた下で母親が洗濯とかしているはずです。
しかし、タンスの上で位牌がダンス…
このフレーズが気に入ってしまいました。
そうよ!私たちは位牌!ダンスが命!
今宵も踊るの!ランララ~ン♪
夫に木造のことは言わず、怖がってもらいましょう。
「これからどうしようか。
よかったら、希望を聞かせて?」
「図々しいと言われるから…」
「何をいまさら。とっくに思いっきり図々しいじゃん」
「できれば、今はこのままI子と続けて
時期が来て自然に別れるのを待ってほしい」
「待てと?
待てば改心して、いいパパになれるのかな?」
「わからないけど、努力はする…」
「I子と結婚する予定はないの?」
「無理と思う。
位牌や幽霊くっつけて来られたんじゃあ、お袋が許さない」
「位牌や幽霊がなかったら?」
「わからない…でも、多分そうなったら、オレは死ぬと思う」
「…死にたくないんだ…」
「うん…」
やっぱり14番目の位牌になれ…