田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

襲われる/奥様はvampire 麻屋与志夫

2009-06-18 23:19:09 | Weblog
奥様はvampire 9

○街路樹――マロニエが切り倒されたくらいで、どうしておおげさに騒ぎ立てるの

だろうか。

だれもサワガナイカラGGくらいはマロニエの切り株に腰を下ろして涙をこぼしてあ

げなければ……。

朱の涙をこぼそう。

そうおもったのだ。

校庭の桜はむぞうさに切る。

神社のイチョウの枝は切りまくる。

あげくのはてに神社そのものを壊してしまう。

樹木が町からきえる。

黒川べりにマンションがたった。

桜並木が何本か消えた。

山の木が伐採される。

黒川の水量は減るばかり。

林が消えて団地となる。

そういうことに、腹を立てていたからだ。

樹木の精霊が泣いている。

そうおもっていたから、ブラック・バンパイア(BV)のめくらましに容易にひっかか

ったのだ。

おはずかしい。

ばらの鉢をカミサンはまだ眺めている。

花を咲かせているものもある。

異様な風体の中年女が彼女に近寄っていく。

醜く太っている。

あしが0脚に開いていてガマガエルでも歩いているようだ。

よたよたと彼女のそばに寄りなにかいっている。

彼女から悪意がながれでている。

彼女から邪悪な想念がカミサンに放射された。

わたしはカミサンのところに走る。

「バラなんかきらいだ。棘がある。棘がある。バラなんかきらいだ」

呪うような、悪意のこもった音声でことばをくりかえしている。

わたしをみてカミサンが当惑したような顔をした。

とりあわないようにという顔をした。

「mima。逃げるんだ」

女が鉤づめもあらわにカミサンの顔に手をのばした。

まにあわない。とうしてもっとはやく気づかなかったのだ。

わたしは女とカミサンのあいだにジャンプした。




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