田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

歴女へのレクチャー/奥様はvampire  麻屋与志夫

2009-06-24 14:15:53 | Weblog
奥様はvampire 12

○幼い時から美智子オバサマの話は、薔薇のおじいちゃんからさんざんきかされて

きた。北関東のさらに北の果てに薔薇の好きな、その町の人のことが大好きな、町

を守ることに使命を感じている娘が住みついている。娘はおじいちゃんの反対を押

し切って50年ほど前にヒトと結婚してしまった。その町には、わたしたち一族の

敵、人狼もずっと昔からいる。そいつは肉食系の今風にいえば吸血鬼だ。わたした

ちの一族が都落ちしてきた玉藻の前を守護して東北まで落ちのびようとしたとき食

らってしまったヤツラダ。どのへんで枝分かれしたかわからないが、もとは同族。

それで頼りにしていた、無防備だった。それをいいことにして那須野が原の林の奥

でわたしたち一族を、襲い、血を吸い、たべてしまった野蛮な人狼一族。その拮抗

はいまだにつづいている。そんな危険な地域で必死に人としての暮らしをしてい

る。美智子オバサマ。いまその伝説の夫婦の家にわたしはいる。寄宿することにな

った。歴女としてこんなわくわくすることはない。

○そうなのよ。玲加ちゃん。この町の人はこの町を支配しているのは、自分たちと

おもっているの。自分たち人間以外に住みついているものはいないと信じている

の。かってに、周囲の森や林や原野を耕してしまった。人外のものが住むには劣悪

な環境にしてしまった。いまそのリベンジにあおうとしているのがわからないの

よ。

○黒川の水は昔の豊かな流ではない。街路樹まで社の森まで消えていく。寂しいこ

とだ。

山の木が伐採されたままだから雨が降ると黒川は濁流となって増水する。でもそれ

は一昼夜くらいでまたいつもの細々とした流に戻ってしまう。町の中央を黒川のよ

うな清流が貫通しているのはめずらしいらしい。山の動物たちも町におりてくる。

そして人狼も例外ではない。

○歴史に興味をもつことはすばらしい。この町ではいまや伝説となる事件がおきょ

うとしているのだよ。玲加クン。この町の伝説の生成過程にキミは参加することに

なる。人狼吸血鬼とvampireの闘いのはじめに立ち会うことになったのだよ。終わ

ってしまった歴史ではなくてこれから歴史にのこるようなことに名をとどめること

になるだろう。

○ますますすごいことになるわ。



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