田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

●「汝が性(さが)の拙(つたな)きを泣け」 麻屋与志夫

2018-02-11 22:22:48 | ブログ
2月11日 Sun.

●わが家からヤオハンスーパーに向かって歩き、左側。道の端に子猫がウズクマッテいた。右はスーパーの駐車場。子猫がよくこの道を横切っていた。危ないなとは思っていたのだが、どうやら車にはねられたらしい。生まれてまだ半年くらいだろうか。幼さの残る顔がゆがんでいる。わたしたちが近寄るといつもはパット機敏に逃げるのだが、じっとしている。反応がない。助からないだろう。妻はどうしたのと背中をさすっている。動かない。どこか痛むのだろう。息がクルシそうだ。

●「汝が性(さが)の拙(つたな)きを泣け」
わたしはこうした、わたしの力ではどうしようもないアクシデントを目撃したときは、芭蕉の「野ざらし紀行」の一文をお経のように唱えて見過ごすことにしている。

●心やさしい妻は涙目になってわたしの後からついてくる。「元気をだすんだ」どうしょうもないことだ。嘆くな。と声をかけてもむだだった。

●「野良ネコはかわいそうね。かわいそう。リリのこと、おもいだしちゃった」
涙がほほをつたっている。

●わが家に迷いこんで来たリリは、わずか一年八カ月で死んでしまった。野良猫だったので、血液の病気にかかっていた。リリはしだいに衰えていった。あのときのリリの病状を思いだしてしまったのだろう。

●妻の膝で冷たく固まってしまった。リリとの別れは、非情なものだった。わたしは、野ざらし紀行の前記の一節を唱えていた。

●この歳まで生きていると、どうにもならない、悲しい場面に直面する。これからも幾たびか、こうした場面に遭遇するだろう。あまり唱えたくない言葉だが、唱えると、心が安らぎますよ。



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