2月8日 金曜日 薄曇り。寒かった。
●こんなことはめったに起きることではない。足元に視線をおとしたときに、パツト、瞬時だったがネコと目があった。ネコは幅五0センチほどの側溝の中にいた。そこだけ鉄格子の蓋になっていて、人の歩いてくる気配にネコが頭をあげて上をみあげた。そこでわたしと目があった。
●白猫だった。あわてて、前に逃げ去った。先はどこまでも暗渠、コンクリートで覆われていて外には、歩道にはでられない。数10メートル後ろにコンクリートのとぎれているところがあった。そこから潜り込んでしまったのだろう。ネコが進んでいった先には蓋が途切れて外にはい出る切れ目があるのだろうか。
●「だいじょうぶよ。ふりかえって入ってきたところまで、まちがいなくもどるわよ」
こういうとき、カミサンはかぎりなく楽天的になる。いつもの心配性がウソみたいだ。
●そうは云われても……わたしは側溝に沿って足早に前に進んだ。全然蓋の開いているところがない。
●「心配ないわ。ベニマルでなにを買おうかしら」
●あんなにネコ好きなのに、気がかりではないらしい。
●あの白ネコはどこまで前に進んでいっただろう。真っ暗な細い側溝のトンネルをどこまでも歩いているネコのイメージが脳裏から消えない。心細いだろに……。
●それとも、すぐに引きかえしただろうか。
●わたしは鉄格子の蓋をもちあげてやればよかった。と……まだ、ジクジクと思っている。バカですよね。
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●「だいじょうぶよ。ふりかえって入ってきたところまで、まちがいなくもどるわよ」
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●「心配ないわ。ベニマルでなにを買おうかしら」
●あんなにネコ好きなのに、気がかりではないらしい。
●あの白ネコはどこまで前に進んでいっただろう。真っ暗な細い側溝のトンネルをどこまでも歩いているネコのイメージが脳裏から消えない。心細いだろに……。
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