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田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼浜辺の少女外伝/魔闘学園

2008-08-31 00:23:25 | Weblog
 だが体をこすりあわせて踊る若者からは。

 いやな臭いも妖気も感じられない。

 バーカウンターにもタカコがもどってきた。
 店内を見渡していた麻屋に首を横にふる。
 みあたらないということらしい。

「それよりさ。ケイコヤバイコトになってるみたい」

 なんの脈絡もなくとつぜんいいだす。

 よく聞き取れない。          

「センセイ、ミミとおいのとちがう」   
 タカコがいらいらしている。      
 タカコは麻屋の耳に口を寄せる。             
「ケイコのさがしてたのは、兄貴のほうらしいのよ。二荒さん、なんて聞く。わたしのことだったら、タカコとか、おタカきてない……っていうわよね、ヤッパあたしってとろいな。いくらケイコがいいとこの女の子でも、あたしをさがすのに、二荒さんきてませんか、なんて聞くわけないもん」
「どうして、それがヤバイんだ」
「だからァ、トラブッたらあたしの兄貴のなまえだしなっておしえたことがあるのよ。鹿陵高総番二荒三津夫の名前はダテじゃないよって、教えたことがあるのよ。ケイコ兄貴にホレてたからさぁ」
 これが中学2年生の女子学生との会話か。
 
 バーのうしろの鏡に吸血鬼が映った。

 とりかこまれていた。

 やっぱりなぁ。

 現れたか。
 いやな臭いと妖気の源流。
 なん年ぶりだろう。
 でも、決して忘れることのできない恐怖の源。
 
 吸血鬼は鏡には映らないいのではなかったか。
 麻屋の吸血鬼にたいする古典的な知識が頭にうかぶ。
 爬虫類のようなごつごつした青黒い鮫肌の男たち。    

 
 厚木基地での日々。
 ベトナムの戦線から運ばれてきた死体の処理実績があった。
 遠い日々のことではあったが過去その実績はいきていた。      
 湾岸戦争の戦没者の死体がそのために24時間体制で空輸されてきた。
 黒色の死体袋からもれでる。      
 すさまじい死の臭い。         
 わたしは食べ物が喉をとおらなくなった。

 そして……その死体のなかに明らかに銃火器による死体ではないものがあった。

 一刻もはやく死体を焼却処分するようにという命令のなかには、それらの死体が蘇るという確信があったのだろうか。
 もくもくと作業につくものは、なにも感じていないようだった。
 気づいてはいけないことだった……恐怖にたえられかった。
 
 死体が夜のあいだに消えていく
 
 …その恐怖の実体を知った。
 そしてわたしは田舎に身をかくした。

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