田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

デスメタ/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-02-14 02:44:48 | Weblog
4


「翔太こそなにもわかっていない。

アナログなのはおまえら人間のほうだ」 

おもわぬ成りいきとなった。

「ああやめた。

やめた。

こんな小娘の血をすったところでコウフンしないからな。

だったら大麻でもやってトリップしてたほうがましだ。

おい、プレスの男。

翔太とついてくる勇気はあるか。

吸血鬼バンドの出演している地下演奏会の会場へ招待してやる」

「わたしもいく」

悲鳴をあげて青ざめていたのが嘘みたいだった。

「ヒロシ。

わたしだって野州新聞の記者よ。

記者魂はもっている。

吸血鬼さん。

ごいっしょさせて」

「天国の薔薇園の園丁をしていた元祖吸血鬼集団のひとり。

ミヤだ」

ニヤニヤ笑いながら、肩に刺さった矢をぬく。

サツキの矢はこのVにはなんの傷害もあたえていなかった。

翔太はぶるっと武者震いした。

これはたいへんな敵だ。

いままで戦ってきたVと根本的にできがちがっていた。


5

駐車場の地下だった。

いや、地下が駐車場になっているというのではない。

降り口など、案内してもらわなければ。

わからない。

東武デパートの裏手。

昭和の30年代に。

「チャイナタウン」というキャバレーの在ったあとだ。

「もじどうり……。地下演奏会かよ」

ヒロシがイキがっている。

防音の厚い扉をはいる。

耳をつんざく音響がひびいてきた。

デスメタル。

吸血鬼にこそふさわしい場所だった。

仮装の面も服装も必要としないものたちであふれかえっていた。

飲み物はすべて真っ赤だった。

むろんトマトジュースにアルコールをいれたものを飲んでいるのは。

人間だ。

血液パックを一気飲みしているのは吸血鬼だ。

だがそれすら。

この地下にさそいこまれた人間には。

遊びとしかおもえない。





one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
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ああ、快感。

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