田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吠えろ主婦!!/麻屋与志夫

2009-10-10 19:20:05 | Weblog
10月10日 土曜日

○エレベーターがちょうど降りてきた。

乗る人はいない。

プラットホームには乳母車を押したヤングママがこれまた乳母車に乳幼児をのせた

母親と楽しそうにおしゃべりをしていた。

動き出す気配がないのでわたしはカミサンと乗り込んだ。

リックを背負っているので周りの人に迷惑をかけないように背中を箱の壁におしつ

けるように立った。

わたしは前向きに入っていた。

だから、よく見えた。

ヤンママが「待ってたんですけど」とすごい剣幕で乗り口まで走ってきた。

「見えなかったのでごめんなさい」隣の男がていねいに謝った。

だれも『閉』のボタンを押さない。

「いまおりますから。見えなかったもんで。御免」男は白い杖をついていた。

目が不自由な人だった。

彼女はすごい剣幕でこちらを睨んでいる。

謝った男はその顔がみえなくてしあわせだった。

わたしもかれにつづいて降りようとした。

まさか先客が並んでいたなどとはおもってもみなかった。

心ないことをしてしまった。

待っていた主婦は割り込み乗車をされた!! 

許せない、といった顔でまだこちらをにらんでいる。

だれかが、ボタンを押した。

エレベーターはするすると上がりだした。

○最近とみに若い女性に吠えられる。

スーパーなどでもぼんやりと立っていると「どけ」とか「じゃまよ」と吠えられ

る。

こちらは最高齢者。

都のシルバーパスをもらっている。

パックの角があたったとバスの中で吠えられたこともある。

無料で都バスに乗せていただいている身分。

なにもいえなかった。

○「触った」と痴漢とまちがえられて冤罪にオチルよりはいいだろう。

もっとも老人だからその心配はないか。

その心配のある気の弱い若者が「混んでいる電車に乗るのがこわいです」といって

いるのをきいたことがある。

○長引く不況にわかい女性が、とくに母親がいらいらしているようだ。

ことしはボーナスも史上最低とテレビで報じている。

そしてテレビはグルメ番組の花盛り。

勝ち組が高い料理をぱくついている。

それも大食い競争。飽食。こちらは、貧食なんだよね? なんてことばあるかな!!?

○ともかく格差社会。

負け組の老人にはきびしい冬のはじまりだ。

自らは頭髪も歯もぬけおちて吠えることができない。

吠えろ主婦。

ただし吠える対象からは、哀れな老人は除外してください。

あなたたちの若い吠え声をむけるべき対象を見極めて、次元の高い社会問題にむか

って、おおいに吠えてください。

   紫雲
       
    pictured by 「猫と亭主とわたし


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