「おはよう」
机に座りながら声をかける。
実際は誰もいない。
一人でここにいる。
同じ一日の始まり。
だが性に合っていた。
砂漠の町のパラボラアンテナ。
ここが僕の職場。
あと4日でこの仕事ともお別れになる。
年齢的な引退だ。
この施設が発足して100年になる。
知的生命体の捜索。
宇宙に向けて24時間休みなく電波を発している。
最初は簡単な図などをFAXの要領で送っていた。
丸、三角、四角。
人類の姿、形のイラスト。
電波は送るが、宇宙人がいたとしても宇宙人のいる星に到達するのに時間がかかる。
要するに、情報を送れど送れど反応はない。
だんだんとあきてくる。
最初こそ公的なブレーンがあれこれと送信内容をチェックしていた。
時間が経つにつれ、ノーチェックとなった。
そうなると送信内容に悪ノリ要素が入ってくるのは仕方のない事だった。
「金送れ」
「宝石送れ」
「宇宙ゴミ送れ」
歴々の担当者は個々の判断で送信内容を決定していたため、記録上存在しないメッセージがバンバン送られていた。
かく言う俺も日々の業務の最後の一文は「何でも送れ」で締めくくっていた。
送信業務と同時に、宇宙人から意味のあるメッセージが無いか、膨大な傍受データを解析する業務もある。
雑音に意味を見いだす癖がついていた。
今日もヘッドホンをつけ周波数を合わせる。
耳に意識を集中する。
その時、自分の耳をうたがった。
はっきりと同じフレーズを繰り返すモールス音が聞こえた。
「宇宙ゴミ送る・送る・今すぐ送る」
ヘッドホンをはずした。
もう俺はあと4日で引退だ。
眉間にシワをよせしばし考える。
そして決定した。
よし、気づかなかった事にしよう。
政府に報告もなしだ。
送信電波到達に片道50年はかかったはずだ。
宇宙ゴミ到着は、まだまだはるか未来の出来事となる。
寝た子を起こす行動をした政府が悪い。
そう思うようにした。
机に座りながら声をかける。
実際は誰もいない。
一人でここにいる。
同じ一日の始まり。
だが性に合っていた。
砂漠の町のパラボラアンテナ。
ここが僕の職場。
あと4日でこの仕事ともお別れになる。
年齢的な引退だ。
この施設が発足して100年になる。
知的生命体の捜索。
宇宙に向けて24時間休みなく電波を発している。
最初は簡単な図などをFAXの要領で送っていた。
丸、三角、四角。
人類の姿、形のイラスト。
電波は送るが、宇宙人がいたとしても宇宙人のいる星に到達するのに時間がかかる。
要するに、情報を送れど送れど反応はない。
だんだんとあきてくる。
最初こそ公的なブレーンがあれこれと送信内容をチェックしていた。
時間が経つにつれ、ノーチェックとなった。
そうなると送信内容に悪ノリ要素が入ってくるのは仕方のない事だった。
「金送れ」
「宝石送れ」
「宇宙ゴミ送れ」
歴々の担当者は個々の判断で送信内容を決定していたため、記録上存在しないメッセージがバンバン送られていた。
かく言う俺も日々の業務の最後の一文は「何でも送れ」で締めくくっていた。
送信業務と同時に、宇宙人から意味のあるメッセージが無いか、膨大な傍受データを解析する業務もある。
雑音に意味を見いだす癖がついていた。
今日もヘッドホンをつけ周波数を合わせる。
耳に意識を集中する。
その時、自分の耳をうたがった。
はっきりと同じフレーズを繰り返すモールス音が聞こえた。
「宇宙ゴミ送る・送る・今すぐ送る」
ヘッドホンをはずした。
もう俺はあと4日で引退だ。
眉間にシワをよせしばし考える。
そして決定した。
よし、気づかなかった事にしよう。
政府に報告もなしだ。
送信電波到達に片道50年はかかったはずだ。
宇宙ゴミ到着は、まだまだはるか未来の出来事となる。
寝た子を起こす行動をした政府が悪い。
そう思うようにした。