日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎本日のお話(最新VRゲーム「ボーダーライン」登場)

2016年01月23日 | ◎これまでの「OM君」
明日は休みだ。
早く家に帰って「ボーダーライン」を立ち上げたい。
「ボーダーライン」とは最近はまっているゲーム。近未来が舞台の銃撃戦ゲーム。
人類同士の争いに、エイリアンが参戦してくる。簡単に言うとそんなお話だが、これだけ夢中になるには理由があった。
ゲームハード自体のナンバリングも10を突破、ヘッドアップディスプレイを装着して遊ぶ仕様となる。
このヘッドアップディスプレーは頭部全体をすっぽりと覆っていた。
360度の視界。
ゴーグル型よりも没入感はハンパない。
しかもつなぎ型の服、手袋、靴も同封なのだ。
これにはインプット、アウトプットのセンサーが搭載されていて、岩を踏めば、岩の感触が足裏に伝わり、川の流水を手で触れば、冷たい水の流れを感じることが出来た。

コウスケはいそいそと帰り支度を始めていた。そのとき
「コウスケ君、今夜いっぱいどうかね」
ヤマモト部長のおさそいに引っかかってしまった。
宮使いの悲しさで反射的に「はいお供します」
もみ手もプラスして返事していた。

赤羽のガード下にあるいつもの居酒屋にピットインする。
「お姉さん生ビール2つ」
そう言いながらカウンター席に座った。
お通しのほうれん草のおひたしをつつきながらビールの到着を待つ。
ほどなく生ビールが到着し、一応の乾杯、ジョッキをカチンとあてて「お疲れ」口元に運ぶ。
一気に半分は飲み干した。
なんだかんだ言ってもビールはうまいし、まあ、そこそこ部長とも気が合う。
「いつもつき合ってもらってわるいね」
部長はそう言った。
「そんなことありませんよ。いつでもおつきあいします」
「まあまあ、ささぐっと一杯」
休日前のビールはうまい。
すすむ。
「ところで個人的な事なんだが聞いてもいいかね」
「はい、なんでも」
「きみ、銀行は何銀行をつかってるの?」
「会社の給料振り込みの関係で部長と同じ銀行を利用してます。知ってるでしょう」
「支店は?」
「○○支店です(今日の部長は変なこと聞くなあ…)」

まあそんなこんなで3時間程度おつきあいしましたよ。
終電間近の時間に家にたどり着き、お風呂で身を清め、「ボーダーライン」の世界に突入した。
一人称視点のシューティングゲームなので、難しいことはない。
お話にそって、次から次に敵がおしよせてくる。
身を隠し、敵を打ち抜き、殴り、前進するのみだ。
しかし、今夜は様子が違っていた。
マップが見覚えのある町だった。
俺んちの近所だ。
たしかに、「ボーダーライン」はネットに繋がっていてマップソフトとも連携していると説明書に書いてあった。
こういうことか。
まさか戦場の舞台が自分ちの近所から始まるとは驚きだ。
ためしに自分のアパートを見てみる。
階段を上り、2階隅の部屋の前に立つ。
俺んちだ。
明かりは点いている。
ドアノブをひねるとドアが開いた。
靴はある。
ゲームの中だが、靴を脱ぎ、部屋に上がった。
おもわず苦笑した。
俺らしき男がツナギを着て、丸い大きなボール型ヘッドアップディスプレーを頭からすっぽりとかぶり、「ボーダーライン」をプレイ中だ。
しばらく観察する。
周囲をみまわす俺、うしろを振り返る俺、しゃがむ俺。
滑稽だな。
そっとしておこう。
自分の部屋を出た。

敵を探す。
何かおかしい。いつもなら敵は波状攻撃をしかけてくる。
息つく暇もない程だ。
静まり返っている。
そのとき、肩をとんとんと叩かれる感触。
うっ
びっくりして振り返る。
パトロール中の警官が二人、パトカーから降り、いつの間にか俺の背後に立っていた。
「ご主人、こんばんわ。こんな時間にどうされましたか」
職務質問…このゲーム凝っているな。
黙っていると「危ないものとかお持ちじゃあ無いですか。そんな丸いのかぶってどうされました?よかったら持ち物みせてもらいませんか」
警官の瞳が青く光ったように見えた。
これは敵か。
装備の一つ、警棒を振り抜き、警官の頭部にたたき込む。
警官は後ろに吹き飛んだ。
「何をするかー!」
もう一人の警官が同じく警棒を抜き襲いかかってきた。
このステージは格闘戦がメインか…
そう思いながら、くるりと振り向き、逃げた。
「待て!」
角を曲がる。
急停止し壁に身を寄せる。
追いかけてくる警官の足を引っかけ転倒させる。
そこに追い打ちの一打を加え、昏倒させる。
ゲームとは言え警官を倒すのは心が痛む。
そう思いながらも次の敵を探す。
だんだんこのステージの目的が明らかになってきた。
警察署に乗り込み、人間にばけているエイリアンを抹殺するのが目的らしい。
ちょうどパトカーがある。
これで乗り込むこととする。
もうゲームなんで、パトカーごと警察署の玄関につっこむ。
騒然とする署内。
車から降りた俺は倒れている警官の腰に手を伸ばし銃を抜いた。
ランヤードにつながれたままの状態で正確に射撃していく。
前進。
しかし、次の角を曲がったところで強烈なタックルを食らった。
悶絶。
昏倒。
意識がうすれる。
ゲームオーバーか。
復活のチェックポイントはどこからスタートになるのかな。
そうおぼろげに考えていた。


ヤマモト部長は警官と話していた。
もう一週間。
無断欠勤をするコウスケを心配してヤマモトはコウスケのアパートにやってきていた。
明かりが点いていて、人の気配もある。
しかし、呼びかけには応答がない。
その時、叫び声が室内から聞こえた。
悩んだあげく、警察のお世話になることを決心した。

管理人立ち会いのもと、警官と一緒に室内に入る。
そこには丸いドームをかぶったコウスケが倒れていた。
「大丈夫かコウスケ」
ヤマモト部長はコウスケを抱きかかえた。
「あっ部長。さっきはごちそうさまでした。えっ、どうしました」
コウスケは警官、管理人、部長その他大勢の人々を見て驚いた。
「どうしたも、こうしたも無いよ!ごちそうさまって何を言っているんだね。君は一週間も無断欠勤をしたんだ。事故か事件にでもあったかと心配したんだぞ!」
「え、会社休んでないでしょう。今日も朝から出勤して、退社後、部長と赤羽のいつもの
居酒屋で飲んだじゃあないですか!」
その場にいた警官が静かに口を開いた。
「あなた、ボーダーラインやってたでしょう」
警官は丸いドーム型ゴーグルを指さす。
「ハッカーに乗っ取られてますね。この案件は最近急増しています。プレイヤーの五感を仮想現実で乗っ取る。
ゲームを終えて現実世界に戻ったと思わせて、実はゲームは終わっていない。
仮想現実の中。
まだゴーグルもスーツもはずしていない。
普段の生活が始まったと錯覚し、日常生活をおくる。
暗証番号を含む、個人情報をすべて丸裸にされ、資産は電子送金され、すべてを奪う。まだ犯行は愉快犯の域をでていませんが、そのうちあなたのすべてをハッカーが奪う。早急にそのゲームはやめなさい!」

ああ、そうなのか…
どこまでが現実でどこまでが仮想なのかが分からない。
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◎本日のなぜ?(なぜブタメンを深海に?)

2016年01月23日 | ◎これまでの「OM君」
なぜブタメンをチョイスしたのか?
小さいからか。
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