とある昼下がり、アキオはスマホの画面を凝視していた。この近辺のうまいラーメン屋を検索している。醤油なのか、豚骨なのか、つけ麺なのか……。
ちょうど同時刻、アキオの思考の一挙手一投足を観察するものがいた。
一人はスキンヘッドの男。
「こいつは豚骨に決めそうだ」
スキンヘッドがアキオのフリック入力画面の文字を見ながら言う。
もう一人はマッシュルームカットの男。
「いや、私は醤油とにらんでいる」
マッシュルームの方は、画面を見てはいない。しかし、何を検索しているのかが見なくても分かるようだ。
二人は狭苦しい一室にしつらえた二脚のイスにどっしりと座っている。
「どうだい、賭けないか?」
スキンヘッドが狡猾そうに笑う。
「いいでしょう。私が醤油で、あなたが豚骨でいいですね」
「ああ」
「勝った方が、今夜のスリープを獲得するという賭けでどうですか」
「いいね。アキオは電源を切らないタイプだからしょうがないんだよな。どっちかが起きていないといけないんだ。面倒だよな」
スキンヘッドとマッシュルームはそれぞれの手に持つ、スマホの画面から目を離さずにいた。
アキオ以外の膨大な数のスマホ担当があるので、アキオのスリープを獲得しても、あまり意味の無いことは二人ともよく分かっていた。
ここは複数のスマホを統括するクラウド頭脳の一室。
彼らはユーザーのスマホを管理する傍ら、こんなことをして遊んでいるのだ。
二人はアキオが見ている画面を確認する。十字路を右に曲がると醤油ラーメンのお店。左に曲がると豚骨ラーメンのお店が地図に表示されている。
「まだ分からんよ」
「まだ分かりませんね」
二人の姿勢は気持ち前のめりになっていた。
スキンヘッドがアキオのGPS位置情報を呼び出して地図に重ねて表示させた。
アキオはまっすぐに歩いていく。
右なのか、左なのか。
醤油なのか、豚骨なのか。
アキオは十字路を直進する。直進した先にある牛丼屋に入った。
アキオの独り言が聞こえた。
「ラーメン食べたいけど、今月ピンチやもんねえ。牛丼の並で決まりですわ」
「これだから人間はおそろしいね」
「そうだね」
スキンヘッドとマッシュルームヘヤーの二人は顔を見合わせた。
ちょうど同時刻、アキオの思考の一挙手一投足を観察するものがいた。
一人はスキンヘッドの男。
「こいつは豚骨に決めそうだ」
スキンヘッドがアキオのフリック入力画面の文字を見ながら言う。
もう一人はマッシュルームカットの男。
「いや、私は醤油とにらんでいる」
マッシュルームの方は、画面を見てはいない。しかし、何を検索しているのかが見なくても分かるようだ。
二人は狭苦しい一室にしつらえた二脚のイスにどっしりと座っている。
「どうだい、賭けないか?」
スキンヘッドが狡猾そうに笑う。
「いいでしょう。私が醤油で、あなたが豚骨でいいですね」
「ああ」
「勝った方が、今夜のスリープを獲得するという賭けでどうですか」
「いいね。アキオは電源を切らないタイプだからしょうがないんだよな。どっちかが起きていないといけないんだ。面倒だよな」
スキンヘッドとマッシュルームはそれぞれの手に持つ、スマホの画面から目を離さずにいた。
アキオ以外の膨大な数のスマホ担当があるので、アキオのスリープを獲得しても、あまり意味の無いことは二人ともよく分かっていた。
ここは複数のスマホを統括するクラウド頭脳の一室。
彼らはユーザーのスマホを管理する傍ら、こんなことをして遊んでいるのだ。
二人はアキオが見ている画面を確認する。十字路を右に曲がると醤油ラーメンのお店。左に曲がると豚骨ラーメンのお店が地図に表示されている。
「まだ分からんよ」
「まだ分かりませんね」
二人の姿勢は気持ち前のめりになっていた。
スキンヘッドがアキオのGPS位置情報を呼び出して地図に重ねて表示させた。
アキオはまっすぐに歩いていく。
右なのか、左なのか。
醤油なのか、豚骨なのか。
アキオは十字路を直進する。直進した先にある牛丼屋に入った。
アキオの独り言が聞こえた。
「ラーメン食べたいけど、今月ピンチやもんねえ。牛丼の並で決まりですわ」
「これだから人間はおそろしいね」
「そうだね」
スキンヘッドとマッシュルームヘヤーの二人は顔を見合わせた。