オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

2008-03-26 | おすすめ映画

ノラ・ジョーンズが主演で話題の映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』を観てきました。
ウォン・カーウァイ監督がグラミー賞ミュージシャンのノラ・ジョーンズをスクリーンデビューさせたという映画だけあってちょっと期待の映画でしたが、その期待を裏切らない素敵な映画でした。
なにしろ映像が美しい。色がとてもキレイ。
そして音楽、もちろん特にノラの歌と声がすごくいい。

ストーリーは、ノラ演ずるエリザベスが、失恋の傷から立ち直っていくまでの様子を描いたどこにでもありそうなストーリー。
でも、案外深い・・。

恋人に捨てられたエリザベスが立ち寄った街のカフェ。
そこのオーナーのジュード・ロウ演じるジェレミー。
彼の出してくれたブルーベリーパイ。そのパイの味に次第に傷を癒されていくエリザベス。
カフェのオーナージェレミーもやはり、昔仕事で挫折し、恋人に捨てられた傷を持っておりそのことが忘れられない。忘れないために置いてある彼女の部屋の鍵。
そんな傷ついた2人が出会えば、簡単に恋が始まりそうなものだけど、エリザベスはその傷を癒してくれた相手のジェレミーと、簡単には恋に落ちない。

失恋や挫折から立ち直るために必要なのは、次の恋人ではなくて自信。
エリザベスはジェレミーに何も告げずに旅に出る。
遠い距離を旅して自分を見つめ自信を取り戻し、そんな心の変化をジェレミーに宛てて手紙を書く。そしてジェレミーはそんな彼女からの手紙を読みながら、自分のいる此処という場所でまた自信を取り戻していく。
そして300日後にカフェに戻ってくるエリザベス。
同じカフェ。同じシチュエーション。
だけどそこには、旅を通して変化したエリザベスとその彼女がいない間にやはり変化したジェレミーがいて、2人はもう一度出会い、新しい関係が始まる・・・。

ウォン・カーウァイの映画は、カメラワークが独特。
前ボケや背景のボケ具合がなんともいい感じ。
ストーリーもさることながら、その映し方にうっとりする。
ニューヨークの街やカジノでさえも、ノスタルジックに映る。
失恋して悲しいときって、街の景色も何もかもがにじんで見える、そんな感じ。

ジュード・ロウはもちろんカッコいいし、レイチェル・ワイズやナタリー・ポートマンなど脇を固める俳優も素晴らしく、期待を裏切らない出来映えでした。

あとね・・・。

人は、他人に話さないだけで、誰でも心に挫折や失恋の傷を持ってる。
生きていくことは苦しいことも多いし、お酒やギャンブルで紛らせたいような煮え切らない思いもある。
でももうそんなふうに逃げたりせずに、正面から立ち向かってみようよ、っていうエールをもらったような気がしました。

そんな素敵な映画。ぜひ皆さんも観てみてくださいね。