オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

奇跡の再会コンサート

2008-09-12 | 友人・家族

昨日のセプコンにも出演して下さった平岡麻衣子さんと、彼女のウィーン留学時代の恩師であられるヨハネス・イェス・クロプフィッチュ氏との奇跡の再会コンサートが
日本福音ルーテル広島教会で開かれました。
コンサートのお手伝いに行かせてもらって、いろいろとこのコンサートの経緯を聞かせてもらい、その奇跡ぶりにビックリでした。

7年前、麻衣子さんはピアニストとしての将来を待望されてその才能を伸ばすためにウィーンに留学。そこでヨハネス先生にピアノのレッスンを受けられていたそうです。
そんな中突然事故に遭い、4ヶ月間意識不明の重体、そこからリハビリを始められたもののそれから1年ほどで帰国。そこから6年の歳月を経て去年初めて広島で復帰リサイタルを開催されたのでした。当時は歩くことも出来ず、左手しか動かない状態だったそうです。

今年の1月にふとしたきっかけからルーテル教会に来られ、自分が神様によって救われた命の感謝を返したいということで、月に1度、礼拝で演奏奉仕をして下さるようになり、そのうちに現在ルーテル教会で支援しているイスラエルのパレスチナ人居住地区の教会や子供たちの施設にピアノを贈りたいという夢を持たれました。

現在イスラエルのベツレヘムでは、パレスチナの人々は8メートルのコンクリートの壁で囲まれた地区に住まわされています。イスラエルとパレスチナの紛争を避けるためと言う名目でイスラエルによって一方的に立てられた壁はパレスチナの人々の自由を奪いました。その壁から外へ出るためには、何キロかおきにしか作られてない通用口を通らねばならず、人々は病院へ行くにも学校へ行くにも、その通用口で許可をもらわないと出入りできません。仕事も自由もなく生きていくことさえ困難なこの地域の人々や子供たち。
そこにピアノを贈りたい。自分もそこへ行ってピアノの演奏を届けたい。
それから麻衣子さんは全てのコンサートでチャリティー募金を募り、現在パレスチナの子供たちにピアノを贈るという夢に向けて頑張っておられます。

そんな中、彼女のピアノのレッスンをしてくださっている藤崎先生が、ある日ふとウィーンからピアニストが来て廿日市のさくらぴあでリサイタルがあるという話をされたそうです。その名前を聞いて麻衣子さん親子はビックリ!!なんとウィーン時代に麻衣子さんがレッスンを受けていたまさに先生だったのだそうです。さっそく藤崎先生はそのことをヨハネス先生側に連絡され、そこからこのチャリティーコンサート開催へのドラマが始まったのだそうです。

実はヨハネス先生もご自分の日本人の生徒が突然レッスンに来なくなり、気にかけておられたそうです。しかし麻衣子さんのお母様は当時、レッスンのことは気になりながらも、重い障害を抱えて今日明日を生きるだけの麻衣子さんの命のことで精一杯で、先生に連絡する余裕もなくそのまま帰国してしまっていたのだそうです。

そんな2人の奇跡の再会!!

ヨハネス先生は麻衣子さんの演奏を聴き、当時と同じようにレッスンをされた後、次のように話されました。
「人生にはすべて意味があると思います。時には神様に「どうして自分だけがこんな目に」と嘆きたくなる出来事もあるでしょう。でも全てのことは意味があり全て神様からの恵みです。今日麻衣子さんにお会いして、麻衣子さんの演奏を聴き、すぐ彼女だとわかりました。当時の彼女も音楽的に素晴らしい才能を発揮し素晴らしい演奏をしていました。ただ、今の麻衣子さんの方が当時よりも人生の経験を積んだことで、音楽的に優れた演奏をされるようになられています。音楽に必要なことは技術よりもその人の人生経験です。彼女の「自分の音楽を聴いて欲しい」という強い情熱が、一つ一つの音に込められている。これこそがまさに音楽です。」

コンサートは素晴らしいものでした。200人近くの人が来場されました。
立野牧師からパレスチナとイスラエルの現状が話され、パレスチナの子供達の映像とともに麻衣子さんの「トロイメライ」が演奏され、その後、左手だけの演奏で「左手のためのシャコンヌ」が演奏されました。
藤崎先生が指導されている廿日市ジュネという女性コーラスグループの方のコーラスもあり、その後ヨハネス先生のベートーベンの「ピアノソナタ変ホ長調」。
最後に麻衣子さんとヨハネス先生の連弾でラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」が演奏されました。

素晴らしいコンサートでした。
チャリティー募金もたくさん集まりました。麻衣子さんのパレスチナにピアノを贈るという夢に大きく一歩近づいた夜でした。
麻衣子さんは2年後にイスラエルに行き、パレスチナの教会にピアノを贈り、自分でそのピアノを演奏されるのが夢だそうです。

その夢が花開く2年後に向かって、私もこれからも応援していこうと思います。
皆さんもどうぞ応援して下さいね。