ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』ようやく観ました。
いいお話でしたね。
少し感想を書いてみたいと思います(ここから先、ネタバレあります)。
心臓に重い病を抱える少年、翔と、小人のアリエッティの出会いと心の触れ合い。
『風の谷のナウシカ』からずっと根底にある、相容れない二つの種族の出会いと別れはジブリ映画に共通するテーマのように思われます。
『崖の上のポニョ』では「人魚姫は人間になって男の子と結ばれました」という新しい人魚姫観を提供したジブリ映画でしたが、今回は「それぞれの存在を知らない状態(あるいは知っていても知らないことにしておく状態)がお互いの幸せ」というまた新しい関わり方を示した感じでしたね。
この地球に(あるいは宇宙に)住む文化や生き方の違う種族たちは、お互いの存在を知り、関わる事によって交流も深めてきたけれど、一方では関わる事によって戦いや殺し合いも生んできました。
お手伝いのハルさんがアリエッティのお母さんを見つけて捕まえてビンに入れてラップをするシーンでは、日本の子供がカブトムシとかを捕まえてビンに入れる姿が重なって、なんとなく心苦しい気分にさせられました。
考えてみたら人間って身勝手ですね・・。
「君らは絶滅する運命の種族なんだ。」という翔の言葉と、
「違うわ。私たちは生き抜いてみせる。」というアリエッティの涙ながらの力強い言葉。
最後に、翔に生きていく希望と勇気を与えたのは、このほかならぬアリエッティでした。
生きていく希望や生きたいという望みを失いかけていた少年は「守りたいもの」を見つけた時に生きる希望を取り戻す。
人って「自分のため」だけでは生きられないんですよね。
1時間半の映画はハラハラドキドキするドラマチックな出来事はそれほど起こらず、もちろんお母さんが捕まるシーンではドキドキさせられましたけど「もう終わったの?」と思うくらいの長さでした。
でもいつもながら微細なところまで丁寧に描かれた背景画や小道具の美しさは格別。
小人の目線で床下や部屋や道具を見ると、こんな感じなんだなあ~ってその気持ちまで伝わってくる絵は、ホントに素晴らしかったです。
花や草など植物の描き方も、植物好きの私にはツボ。
あと、まるで粘度を感じるような水の描き方も独特でしたね。
小人にとって水はサラサラというよりポテッという感じなんですかね?(笑)
『崖の上のポニョ』の中での水や海の描き方にも驚きましたが、ジブリ映画は結構「水」の描き方にこだわりがあるなあと思います。
それと最後に何よりこの日本の古い洋館の姿の素晴らしいこと。
青森にある『盛美園』がモデルになってるそうです。
私はジヴェルニーのモネの庭かな~?と思ったんですけど、そう言えば睡蓮はなかったですね。
こういう美しい日本の建物はずっと残して欲しい、そしてまた現代の建築に生かして欲しいものです。
『盛美園』いつか一度行ってみたいです。
余談ですが、個人的にアリエッティのお父さんは、どっかの『THE!スイカ』のTさんに似てるなあ~と思ったんですけど。
あの道具とか工具を使ってなにかしら作ってるところとか、ね。
Tさんは今や私のバンド活動に欠かせない、コレを作ってくれた人です。
気になった人はぜひ映画館に足を運んでみて下さいね。