なぜ、私は今日この日に、この方のお見送りをすることになったのだろう。当直先病院で患者さんを「お送り」する時の気持ちです。医者になって、もう数年が経ったころのことでした。大学病院の近くのいわゆる老人病院の当直を頼まれて勤務していました。外来も病棟も著変なく、ぐっすり寝ていると夜中にコール。明治末年生まれの女性、「先ほど呼吸停止、救命処置はなし、です」と。駆けつけてみると心電図モニター上まだ心臓は動いていますが、リズムもとぎれとぎれになりかかり、まさに「いまわのきわ」。この方は身寄りがなく、あらかじめ主治医とご本人の間に「臨終の際はなにもしないでください」という約束がされていました。モニターの波形が停止してから、死亡確認そして死亡時間のコールです。私は時計を見ながら、「午前◯時◯◯分」と言いました。言いながら、不思議な気持ちになっていました。もう一分ゆっくり待ってコールすればその時間が死亡時刻になりますが、そういうことではありません。病院に来られる身内もなく、明治からたった今まで生きてこられた、ついさっきまで私の知らなかったこの方の終わりの時刻を私がここでコールしている、その不思議さでした。当直室に戻ると当時総理大臣だった細川護煕さんが、真夜中に「国民福祉税を創設します」という緊急記者会見をしていました。(1990年代のフィクション+ノンフィクションです)
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