Piano Music Japan

シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

新国立劇場「くるみ割り人形」イーグリング新振付2017.10.28, 11.03, 11.04批評(No.2539)

2017-11-06 20:43:57 | 批評

チャイコフスキー音楽の「優美さ」「華麗さ」を最大限に生かしたイーグリング新振付新国立劇場版「くるみ割り人形」


 新国立劇場バレエのシーズンオープニングの季節到来。昨年は新規の振付作品が1つも無いシーズンだったが、今年は「くるみ割り人形」をイーグリングが新振付する、とのことなので、足を運んだ。
 大原永子芸術監督になって最初の演目が、イーグリング改訂振付の「眠れる森の美女」で、音楽重視の振付で好感が持て、初演時も再演時も観た。今回は「改訂振付」でなく、「新振付」なので制約無しにイーグリングの思うように制作される、と思われるので期待大。


 「くるみ割り人形」は主役女性が3名、男性4名(公開公演日)と言う多彩なメンバーが踊る。営業は、会員発売日の前に「高校生団体」を埋め、その残りを売る、が「新国立劇場オペラ」との違い。オペラは、会員発売 → 一般発売 で売れ残っていた券を学生団体に売り込むが、バレエは「学生団体の残り」が会員と一般の発売である><


  1. 3日の 米沢唯クララが3日の公演、共演者は 井澤駿 が1日、ムンタギロフ が2日、3日共団体無し


  2. 28日の 小野絢子+福岡雄大 組が2日の公演、当日3階に男子高校生団体が中央ブロックにのみ


  3. 4日の 木村優里+渡辺峻都 組が1日の公演、2階から4階にチラシには「1部」と記載されていたが、女子高校生団体(複数校)が『大半』を占領



 これが営業の見た「人気度」であり、おそらく正確。序曲開始前に会場を見渡した時の私高本の期待度もこの通りで 3日昼 > 28日 > 4日 であったことをここに記す。
 私高本は、バレエも「音響優先」で席を選び、オペラほどカネを掛けない。28日 3-R1-3, 3日昼 4-4-30, 4日 4-L1-3 であった。28日は右奥が見えない、4日は左奥が見えない、拠って右手前端の「クララの寝室」が見えない日で始まり、左手奥の「ドロッセルマイヤー邸」が見えない日で終えた。4日は3日に既に真正面から舞台を見た後だったので、情景が思い浮かんだが、28日は何が起こっているのか、過去の振付から想像するしか無かった。初日に正面席で観ておく方が良かった気もする。(初めから2日以上観る気でチケット購入しているのだから)


 まず、振付から。冒頭に記載通り、「優美さ」「華麗さ」を最大限に生かしている。別の見方をすれば、「速さ」「ダイナミックスさ」はそれほどは求めていない。 チャイコフスキー音楽は、「優美さ」「華麗さ」を求めている曲に感じるので、イーグリングの振付はとても説得力が高い。
 バレリーナ登場前の序曲で、チェロとコントラバスが「完全にお休み」の曲である。「軽やかに」「浮き浮きとするように」「雲に乗ったように」が全曲のテーマ、とイーグリングは捉えている。私高本は感服した! 同じチャイコフスキーバレエでも、ドロドロした「白鳥の湖」とは違う曲想なのである。
 速さをそれほど求めていない、と言っても、「ドロッセルマイヤーの手品シーン」などは素早く魅せるし、後述するが「アラビアの踊り」ではスピードの要求が高い水準で求められている。比率の問題である。
(後日に連載致します。しばらくお待ちください。)
 コールドバレエ(群衆役)の衣装も重厚で、ドロッセルマイヤー家のクリスマスパーティーが「貴族の集い」の雰囲気を醸し出す。舞台の切り替えも素早く、好印象。第1幕幕切れから第2幕冒頭で、気球を使って移動する、と言うのも、高低差を巧みに生かした舞台作りである。勿論、コールドバレエよりも主役陣、脇役陣の方が豪華な衣装である。
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