「ザウアー&ライデスドルフ専属」時代の『舞曲自筆譜』と『舞曲出版譜』の絶大な乖離
ベーレンライター新シューベルト全集は「シューベルト自筆譜」について、『舞曲集I』にて(筆写譜も含め)1巻を占めるほど、かつ「第1巻」にするほど重視した。つまり、(旧シューベルト全集を含む死後の)出版楽譜は「基本的に無意味な編集が大半」と主張している。これは、ピアノソナタや小品集に限らず、リートや交響曲や弦楽四重奏曲やオペラを含めて、「ベーレンライター新シューベルト全集 の 最も大きな主張点」なのである。だが、「舞曲自筆譜」側からだけ光を当てるとわかり難い点も多々ある。
シューベルトは、作品番号付き作品を「カッピ&ディアベリ社」にて出版開始した。作品18 まで。「魔王」や「糸を紡ぐグレートヒェン」を含む初期の傑作選である。「シューベルトの思い通り」に出版できた。理由は単純。
費用負担はシューベルトの友人が全額負担で、カッピ&ディアベリ社はリスクゼロ だったから
である。この事実を(シューベルトの誤解で友人に迷惑を掛けながら)理解したシューベルトは「作曲代金を初めて支払ってくれた ザウアー&ライデスドルフ社」に専属出版移籍する。1823初のことである。