シューベルトピアノソナタ ハ長調D613「4楽章版」世界初演
シューベルトのピアノソナタは楽章数がはっきりしない曲が多い。だが、
シューベルトは「4楽章のピアノソナタ」が基本であり、出版社からの作曲依頼があった3曲(D617,D784,D823)と「大量生産年=1817年」作品以外には3楽章作品は「連弾ソナタ」を含めて存在しない可能性が高い
である。
シューベルトの「確定」4楽章ピアノソナタは、後の方から次のように数えられている。
B dur D960(1828)
A dur D959(1828)
c moll D958(1828)
G dur D894(1826)
Es dur D568(1825? 1826?)
D dur D850(1825)
a moll D845(1825)
C dur D840
C dur D812
H dur D575
ソロソナタだけで21曲、と数えられることが多い + 連弾ソナタ3曲 合わせて24曲中10曲なので、これは少ない><
バドゥラ=スコダ補筆完成版ヘンレ版第3巻を読むと、「4楽章ソナタの可能性」の曲が、他に4曲掲載されている。
f moll D625
fis moll D571
e moll D566
C dur D279
ウィーン原典版校訂学者 兼 ピアニスト = ティリモ は、「完全に バドゥラ=スコダ説を踏襲」なので、このパターンの楽譜しか発売されていない。本当なのか???
佐伯周子 は、D537-D958 の「完成したとみなされている全ソロソナタ + 最後の連弾ソナタD823 + ハ長調ソナタD840」をこれまで全て弾いた。これ以前に「完成したとみなされているソナタ」は無い。後に2曲の大ソナタが控えているが。ドイチュ番号で記すと、D537,D567,D575,D760,D784,D840,D845,D850,D568,D823,D894,D958。今回の「D613 両端楽章補筆」に於いても、「素晴らしいシューベルト理解」を示している。これらの曲を卓越した音楽解釈で聴かせてもらったおかげで、猫頭=私高本 といえども、相当に「シューベルト理解」が深まった。
シューベルトは「ピアニスト1人で演奏できる交響曲 = ピアノソナタ」と感じている、が基本
この感性は、「ロマン派作曲家」にはすぐに伝承する。シューマン以降の「ロマン派作曲家のピアノソナタ」は基本は4楽章になる、が歴史。最後は ラフマニノフ にまで至る。
ハ長調ソナタD613 が「3楽章ソナタ」とか、まして「2楽章ソナタ」はあり得ない > 交響曲第6番ハ長調D589 の余韻で作曲されたソナタなのだから!
シューベルトは D589 以降、交響曲が一定範囲で成就した時は、「ハ長調ピアノソナタ(または準じた幻想曲)」を遺した。
ハ長調ソナタD613 が、ハ長調交響曲D589 の余韻を匂わせる名作ソナタ! を感じさせる 佐伯周子 の「4楽章版世界初演」は 1月31日(木)
他にも、「感傷的なワルツ」作品50D779 の「繰り返し時の装飾」やら、即興曲集第2集の充実した演奏やら、「シューベルトファン」だったら、聴き逃したら、次はいつだかわからないモノだらけ。