あまりにも「安全運転」に走ってしまった 飯坂純指揮 シャルパンティエ「ルイーズ」再演
飯坂純指揮 は、東京オペラプロデュースオペラデビュー シャブリエ「エトワール」から、東京オペラプロデュース公演は全ての演目を聴いて来た。他の団体のオペラ公演も出来る限り聴いて来た。シャルパンティエ「ルイーズ」日本初演公演も聴いた。その全ての中で、これほどまでに「オペラの魅力」を引き出せなかった公演は未だかつて無かった。飯坂純は私高本58才よりも相当に若いハズだが、老化したのだろうか? それともどこか体が悪いのだろうか? 今まで、飯坂純指揮 を追い掛けて来たが、本日で休止するかも知れない。
これまで、日本人オペラ指揮者としては 飯守泰次郎に次ぐ 名指揮者 と感じていた 飯坂純 だが、信じられない「安全運転」に走り、ソリストの魅力を大巾に減じてしまった演奏に終始してしまった。主要4役 ルイーズ:菊地 美奈、ジュリアン:高田 正人、 父:米谷 毅彦、母:河野めぐみ 全てが声量豊富であった上、ワンフレーズしか歌わないような端役メンバーまで、きちんと歌えていたのに、
ソリストが歌う時は全て弦楽器を p 以下に抑えて、『ソリストに被せないように音量を下げた』ために、『オケが全く鳴っていない』状況が3時間半に亘って続いたから
である。 弦楽器奏者はソリストが歌っている時は、弓を半分以下しか使っていない。合唱の時はフルに動かしていたので、オケメンバーの問題は皆無。指揮者=飯坂純 の指示である。
馬場 紀雄演出は良かった。音楽しか頭に残らない 猫頭ヒョーロンカ=私高本 は、東京オペラプロデュース日本初演時と、どこが同じでどこが違うか? を明言出来ない><
主役だけでなく脇役まで、「登場から幕切れまで同じ衣裳を着せる」手法は、脇役数が多いので、とてもわかり易かった。大道具を回転舞台で時計廻りにだけ動かす、という 東京オペラプロデュース流 の演出技法は今回も守られ、一貫性を保っていた。衣裳だけでなく、大道具も小道具も良い。
菊池美奈 の2幕2場 のアリアは、歌は最高、なのだがオーケストラ伴奏がスカなので全く映えない。これではソリストはツラ過ぎだろう。3幕エンドの 父親のシーンも全く盛り上がらなかった。こんなことは過去1度も 飯坂純指揮 では無かったのだが。