1人の歌手による「決定的名盤」が存在しない「幻の名曲 = 子供の不思議な角笛から」の謎を解く(7)
不人気原因その7
「原調」で歌わないと違和感が大きい曲が4曲も存在している!
これは、マーラー と シューベルト だけに存在している問題かも知れない。「ドイツリート」は声楽家の「声質」に合わせて自由自在に移調可能、が大前提になっている。
マーラー は、「子供の不思議な角笛から」の最終2曲 と 「リュッケルト歌曲集」オケ版は「移調用楽譜も同時に世界初出版」したほど!
である。「どの調性が原調か?」を詮索されたくなかったのだろうなあ! 気持ちはよくわかる。
・・・で、「子供の不思議な角笛から」全曲録音を聴いていると、「あれっ?」と感じる曲が数曲あることがわかった。
交響曲楽章に「丸々」転用した楽章は、交響曲楽章の調性で無いと「変」である!
交響曲は移調しない(爆
だから、誰の指揮でどこのオケでも「全部同じ調性で聴く」ことになる。当たり前過ぎて気付き難いかも(爆
原調で無いと「変」な「子供の不思議な角笛から」曲目一覧
Urlicht, Des dur, No.2 4th movement
Des Antonius von Padua Fischpredigt, c moll, No.2 3rd movement
Es sungen drei Engel einen susen Gesang, F, No.3 4th movement
Das himmlische Leben, G, No.4 4th movement
この4曲だけは「移調されていると変に聞こえる」ことは保証しよう。しかも(さらに)マズいことがある。
Alto : Urlicht, Des dur, No.2 4th movement
instrement : Des Antonius von Padua Fischpredigt, c moll, No.2 3rd movement
Alto + Chorus : Es sungen drei Engel einen susen Gesang, F, No.3 4th movement
Soprano : Das himmlische Leben, G, No.4 4th movement
見てほしい。「要求声質」が違うのだ! 「原光」は朗々とした低音の響きが欲しいが、「3人の天使が歌っていた」では、能天気な感じの合唱が歌っていて欲しい。「天上の生活」は(題名に反して)延々と食い物のことが軽やかな声で綴られる。そんなに食っていると日本人だと私高本のように糖尿病になるぞ(爆
「魚に説法する聖アントニウス」は、純器楽曲に編曲されたのだが、これはアルトかな? う~ん、これは困った。
1人の歌手が「手に負える」声域では無いぞ!
これが解決できる歌手がいたならば、フィッシャー=ディースカウ や ハンプソン を超える。いるのだろうか(泣